雲、西南に流る の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
同じ作者さんの「東京城残影」に続き、戊辰戦争での敗者が味わう戦争後が描かれている話。 今回は伝習所でフランス語を学び、伝習隊の通訳としてフランス軍事顧問団の人々と共に行動し、箱館戦争まで戦った源三郎が主人公。 フランス人達と行動する為、また違った視点で戊辰戦争が読めるのも面白かった。 1章分を、どうして明治3年の横浜に辿りついたのかに割かれていて、榎本武揚、大鳥圭介なども少し登場する。 戦争から戻り、数年怪我を癒し、自分の家に戻ってみれば一家離散状態で自分は死んだ事になっており、妻は再婚…と悲惨な状況があるが、フランス語が堪能な主人公は少しずつ前に進み、富岡模範官営製糸場にフランス語通訳で関わり、その後益田考の推薦で工部省横須賀造船所、管轄が変わる為に大蔵省…と出世していくので明るく読めた。 西周、ポール・ブリューナ、益田考なども出てくる。 横浜毎日新聞の記事を書いている岩淵と、益田、そして主人公の稲村の3人で牛鍋代を受講料に岩淵に情報をもらえる牛鍋会談が面白かった。 個人的に「東京城残影」よりこちらの方が好きだった。
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