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新しいタイプの公立学校 の商品レビュー

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2012/04/28

以下、本の紹介というよりは、コミュニティスクールについて説明する。 【コミュニティスクールとは】  日本におけるコミュニティスクールという概念は、慶應義塾大学教授である金子郁容が、イギリスの学校理事会をはじめとしたLMS(Local Management of schools)...

以下、本の紹介というよりは、コミュニティスクールについて説明する。 【コミュニティスクールとは】  日本におけるコミュニティスクールという概念は、慶應義塾大学教授である金子郁容が、イギリスの学校理事会をはじめとしたLMS(Local Management of schools)とアメリカのチャータースクールを部分的に採用してつくられた。金子の著書である2000年に出版された『コミュニティスクール構想』がきっかけで、コミュニティスクールという概念が広く知れ渡ることになった。  法律上は「コミュニティスクール」という名称は正式なものではない。法律上では「学校運営協議会を設置する」という表記がされているため、正式には「学校運営協議会による学校」ということになる。  コミュニティスクールは以下の四つの特徴をもつ。 1, 設置主体は市町村である。 コミュニティスクール設置にあたり、コミュニティスクール設置を希望する保護者、地域住民は文科省や当道府県に要望するのではなく、より小さな単位の市区町村教育委員会がおこなう分権的な制度である。(設置主体の分権化) 2, 市町村が校長を募集して、有志の提案を市町村が審査して学校を設置する。 「こんな学校を作りたい」という地域の親や、有志や既存の公立学校の先生たちが学校設立を申請することで公立の学校をつくる」チャータースクールの理念であるボランタリズムに基づいて学校設立が行われる。(ボランタリズム) 3, 校長はマネージメントチームを任命して教員採用をもって学校経営を行う。 学校長は経営チームを持つことができ、それは「数名のスタッフないし教頭からなるもので、会計、地域や支援起業とのリエゾン、教員リクルーティングなど、それぞれの専門分野で校長と一緒に学校経営の責任を負うスタッフである。そのスタッフを、校長が、自分で選べることとする。」(校長の権限の明確化と説明責任) 4, 市町村ごとに設置する地域学校評議会が定期的に学校経営と成果をチェックする 校長が教育や学校運営の基本方針を作成し、保護者や地域住民からなる学校評議会に説明をおこない意見をすいあげ、承認してもらう必要がある。(市民の意見の反映) ※上記の特徴は政令指定都市以外の小中学校を対象にしたものである。 【チャータースクールとは】  チャータースクールとは、アメリカにおける学校の「使命や志を同じくするボランティア(有志)が学校設置のため結社し、政府や教育行政機関が学校法人として認可するもでるである。」 また、日本の私立学校もこの理念に基づいている。チャータースクールが作られる理由は様々であるが、米国内のチャータースクールの多くが「(公立学校とは異なる)ビジョンを実現する」という考えのもと設立が行われている。その他には「スペシャルニーズに対応」、「自治権を得る」などがある。設立には州と学区に申請が必要で、申請の審査後は、申請者と州・学区が、学力などに関する契約を結ぶことでチャータースクールは誕生する。チャータースクールでは州や学区の法令等が免除されるため、設置者の独自のビジョンに基づいて教育活動を行うことが可能である。しかし、学校運営に関わる権限の委譲があるかわりに、情報公開、教育成果の責任を問われる。じっさいに達成できずに閉校した事例もある。チャータースクールの有志による学校づくりというボランタリズムの理念が、コミュニティスクールには反映されている。

Posted byブクログ