推理と論理 の商品レビュー
講談社現代新書の『シャーロックホームズの推理学』と『パズルとパラドックス』の合本。 前半は、形式論理学から離れた一般の推論がどうなっているかを、ホームズの推理を題材として、扱ったものです。 私もミステリファンの端くれとして、ミステリにおける推理についてはいろいろと考えるところがあ...
講談社現代新書の『シャーロックホームズの推理学』と『パズルとパラドックス』の合本。 前半は、形式論理学から離れた一般の推論がどうなっているかを、ホームズの推理を題材として、扱ったものです。 私もミステリファンの端くれとして、ミステリにおける推理についてはいろいろと考えるところがあります。 手がかりをC、仮説をHとすると、ミステリにおける推理はだいたい次のような推論形式になっていると思います。 C1 C2 … Cn H1→(C1∧C2∧…∧Cn) ―――――――――――――――― ∴H1 (手がかりC1,C2,…,Cnがある。仮説H1はすべての手がかりを説明する。よって仮説H1が正しい。) この推論は正しくありません。なぜかと言えば、ほかにC1からCnまでのすべての手がかりを満たすような別の仮説がいくらでも存在するかもしれないからです。H1が真とは限らず、H2やH3が真かもしれません。したがってすべての手がかりを説明できたからといって、その仮説が正しいとは論理的には導けません。 しかしミステリの場合によくあるように、説明しがたい謎が存在し、仮説が他に思いつけない場合に、すべての手がかりを説明できる仮説が提示されれば、その仮説はある程度の説得力を持つことになります。「他の仮説が思いつかないから」です。その説得力は形式論理学的な推論の妥当性とは異なります(だから「どんでん返し」みたいなことが起こりうるわけです)。一般にミステリの解決編が読者を納得させるのは、こういう仕組みになっていると思われます。 後半はルイス・キャロルをネタにして、パズルとギャグを織り交ぜた軽い読み物になっています。ゲーデルの不完全性定理(第一・第二)をわずか30ページ程度で理解できるように解説するという離れ業をやってのけています。
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完全・完璧に見えるホームズの推理も、実は確率的に正しいと思われるものを選んでいるにすぎないということか。論理学から見たアリスも、翻訳を読んだ時には理解できなかった部分が分かってスッキリした。
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この人の本は好き嫌い分かれると思います。 論理や哲学の話を取り上げて、テーマは面白そうなのですが… 全体がストーリーとゆぅか、会話仕立てで書かれてあります。 この会話を面白いと思えるかどうかは、本当人それぞれ。 私は、読んでいて辛かった派デス。
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