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しずり雪 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2015/03/16

時代物の短編小説集です。 ですよね!? 装丁の儚げさに惹かれて手に取りました。装丁から感じる通り全編に横たわる物悲しさと人の暖かさ。 これは人の愛の話なのか、と読み終わった後に考えてようやく腑に落ちました。というのも短編集という知識がなかったためか、読んでる間中ずっとしっくりこな...

時代物の短編小説集です。 ですよね!? 装丁の儚げさに惹かれて手に取りました。装丁から感じる通り全編に横たわる物悲しさと人の暖かさ。 これは人の愛の話なのか、と読み終わった後に考えてようやく腑に落ちました。というのも短編集という知識がなかったためか、読んでる間中ずっとしっくりこなかったんです。あれ、この話もうここで終わるの?あの謎は回収しないの?読み落とした?それとも伏線じゃない?そもそもどうしてあなたはそう思ったの?なんで?どうして?ってずっと思ってました。軽く歴史物を読みたい方向けです。

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2014/12/10

どの作品も市井の人々の生き方がとても丁寧に書かれている人が人を思いやる気持ちが温かな文体で書かれていて、爽やかな感動を与えてくれる。物語はどこにでもある単純な物語だが、どれをとっても、人生の哀感に心がうたれて、感動に溢れる。まさに、珠玉の時代小説。いつか再読したい一冊だ。

Posted byブクログ

2011/11/16

この作者の文章、痺れます。 心のひだを上質の絹布がそっと撫でて通るような感じです。この感覚をいつまでも味わっていたくて、読み進むのがもったいないくらい。

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2011/08/11

■老中・水野忠邦の改革が始まり、苛烈な奢侈取り締まりで江戸庶民たちの心も暮らしも冷え切っていた。幼なじみの小夜と所帯を持ったばかりの蒔絵職人・孝太も、すっかり仕事が途絶え、苦しんでいる。そこへしばらく連絡もなかった幼い頃の友達が、ご禁制の仕事を持ち込んできた―。切ないほどの愛、友...

■老中・水野忠邦の改革が始まり、苛烈な奢侈取り締まりで江戸庶民たちの心も暮らしも冷え切っていた。幼なじみの小夜と所帯を持ったばかりの蒔絵職人・孝太も、すっかり仕事が途絶え、苦しんでいる。そこへしばらく連絡もなかった幼い頃の友達が、ご禁制の仕事を持ち込んできた―。切ないほどの愛、友情、そして人情。長塚節文学賞短編小説部門大賞を受賞した表題作『しずり雪』ほか、三編を収録。珠玉の時代小説はどれをとっても人生の哀感に心が震える。 ■■切なく優しいお話でした。文章が軟らかで心情の綴り方が丁寧で繊細。

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2009/10/04

 空虚。孤独。純粋。無垢。冷たさ…。どれも白という色を思い浮かべたとき、思い浮かぶ言葉です。連想されるものも多々ありますが、なかでも雪というのは、白のイメージと、とても結びつきやすいものなのではないでしょうか?  世は老中・水野忠邦の時代。奢侈(しゃし)取り締まりにより、贅沢品・...

 空虚。孤独。純粋。無垢。冷たさ…。どれも白という色を思い浮かべたとき、思い浮かぶ言葉です。連想されるものも多々ありますが、なかでも雪というのは、白のイメージと、とても結びつきやすいものなのではないでしょうか?  世は老中・水野忠邦の時代。奢侈(しゃし)取り締まりにより、贅沢品・娯楽品は禁止、とのおふれ。蒔絵職人として独り立ちした孝太は、入る仕事も入らなくなり、空虚な日々を送ることに。幼なじみで所帯をもった小夜は、風邪をこじらせたまま。これまた幼なじみの佐次は、偶然再会した時にお金を貸してからというもの、ことあるごとにお金を借りに尋ねてくるのだった。佐次は仕事もなく、孤独な身の上。どうやら手に入れたお金で賭場にも顔を出しているらしい。そんな佐次に警戒心をいだくも、純粋で無垢だった子供の頃の記憶を辿ると、孝太は佐次を突き放せないでいるのだった。ある風の冷たい冬の日、佐次は突然、禁令のでている蒔絵仕事を持ってくる。佐次の頼みと、切望していた蒔絵仕事を前に、孝太は仕事をひきうけることになるのだが…。  なぜ、雪に皆心を惹かれるのでしょうか?白を暗くしていくと、やがて黒になります。マンセルという色の規格に、最も明るい白色を10、最も暗い黒を0とした数値表示がありますが、最も明るい明度10の白色というのは、物理的には見ることができないそうです。とすると、雪の白さも完全に真っ白ということではないようです。純粋で無垢で空虚で、そして、本当は少しよどみのある白。そんな雪の白さに、純粋ではいられない人生感を重ね合わせてしまうのでしょうか。  この作品には、本題になっている『しずり雪』の他に、『寒月冴える』『昇り龍』『城沼の国』の3編を収録しています。時代小説というと、ついついコテコテの“粋”な台詞や殺陣などを想像してしまいますが、そんな懸念はいりません。また、あまり難しい言葉や時代背景などは描かれていないので、初めての方でも十分楽しめるのではないでしょうか。

Posted byブクログ