口笛吹いて の商品レビュー
解説で嘉門達夫さんが言っていた通り、重松清は弱者を描くのが上手いですね。 五話収録の短編集ですがどれも世間的に言われる「負け組」「しがない中年」がメインテーマです。が、主人公ではありません。 しがない中年の負け組みおっさんたちは淡々と日々を過ごし、それを眺める周りが主人公です。 ...
解説で嘉門達夫さんが言っていた通り、重松清は弱者を描くのが上手いですね。 五話収録の短編集ですがどれも世間的に言われる「負け組」「しがない中年」がメインテーマです。が、主人公ではありません。 しがない中年の負け組みおっさんたちは淡々と日々を過ごし、それを眺める周りが主人公です。 多分誰もが一度は思うであろう、「このおっさん、定年間近なのに役職なしで生きてて楽しいのかな」とか「この人まじで存在感無い。家族とか大丈夫かな」とか、そんな視点で話は進みます。 代表作、「口笛吹いて」では少年時代のヒーローが暗く卑屈な営業マンに成り下がった様を発見した幼馴染が、「タンタン」は生徒にまで無視される高校教師、「かたつむりの疾走」は子会社に下ろされてなお背広を着て通う親父と息子の葛藤・・・ 本当に日常的で、誰もが一度は思うであろう卑屈な見下しとか、他人に対する期待や希望と現実のギャップとか、ウ~ンとうなる、上手い話です。 とくに「タンタン」と「かたつむり」は若いうちに読んでほしい!まだ本当の社会の姿を知らなかった高校生の純粋な気持ちを忘れないうちに、「社会」や「大人」に反発しながらも一方で期待を寄せて甘えていたあの時代を忘れないうちに!! その気持ちを頭に残して、と情けない大人を見たときの何ともいえないがっかり感が思い描ければ、いっそう楽しめるかと。 残りの二話はそういう人生に詰まってしまった大人が主人公です。 ただ、学生気分が抜けないからでしょうか、人生に躓いたことがまだないからでしょうか、「タンタン」と「かたつむり」が一番印象に残りました。
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ちょうどいいタイミングで読んだからだと思うけど、泣きそうになった。 いわゆる「負け組」を優しく、緩やかに描写した短編作品が5つ。 最終的には結局、何も解決しないんだけど、逆にそこがいいと思う。 当初、短編集には抵抗があったんだけど、すぐ入り込んでしまった。 これ読むと、自分...
ちょうどいいタイミングで読んだからだと思うけど、泣きそうになった。 いわゆる「負け組」を優しく、緩やかに描写した短編作品が5つ。 最終的には結局、何も解決しないんだけど、逆にそこがいいと思う。 当初、短編集には抵抗があったんだけど、すぐ入り込んでしまった。 これ読むと、自分が誰かに勝ったとか負けたとか、深層心理でどれだけ意識しているかよく分かる。 人生、絶対勝ちっぱなしというワケにはいかない。歯ぎしりするほど悔しかったり、一回負けるともう這い上がれなかったりすることがきっとあると思う。 そんなとき、もう一度この本を開きたいと思う。 個人的には誰かに薦めたい。
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■重松清さんの全作品を感想文にしてブログで挑戦中です。 重松清ファン必見! http://wwjdkan01.blog68.fc2.com/
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「口笛吹いて」高校野球で挫折を体験した晋一の物語。 「タンタン」 熱血教師を挫折した先生の物語。 「かたつむり疾走」リストラされた親父を見守る高校生の息子 が親父の行動を追跡する。 「春になれば」産休代理教師とレオ君の物語。 「グッドラック」 大学の同級生夫婦の共...
「口笛吹いて」高校野球で挫折を体験した晋一の物語。 「タンタン」 熱血教師を挫折した先生の物語。 「かたつむり疾走」リストラされた親父を見守る高校生の息子 が親父の行動を追跡する。 「春になれば」産休代理教師とレオ君の物語。 「グッドラック」 大学の同級生夫婦の共稼ぎでの様々な問題 を含んだ作品。 確かにどの作品も重松作品の真骨頂でいわゆる負け組にスポットを当てている。でも負け組・勝ち組ってことばに反応しやすくなってしまっていることが自分の生を評価しているんでしょう。50すぎるとそんなことばかり気になってしまい、中味を問わなくなってしまう。おーー嘆かわし。
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少年時代ヒーローだったサラリーマン、熱血教師だった先生、落ちていく父親、問題を抱える生徒、離婚寸前の夫婦…。どれも読んでいて痛かったです。自分をまっすぐに保つのは難しい。自分に置き換えてみる。私は何もしていないじゃないか。環境に関わらず、読む人全てが自分に問いかけたくなるような内...
少年時代ヒーローだったサラリーマン、熱血教師だった先生、落ちていく父親、問題を抱える生徒、離婚寸前の夫婦…。どれも読んでいて痛かったです。自分をまっすぐに保つのは難しい。自分に置き換えてみる。私は何もしていないじゃないか。環境に関わらず、読む人全てが自分に問いかけたくなるような内容ではないかと思う。
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重松清の小説はどれもダークだなぁ。リストラ、いじめ、離婚が決まり事のようにたくさん出てくる。でもこういったものは現代において特に多発しなおかつ深刻になっている問題でもあるんだろうなぁ。だからこそ読みながら何回も「…リアルやぁ。」って思っちゃう。「重松清=ダーク」こんな方程式が僕の...
重松清の小説はどれもダークだなぁ。リストラ、いじめ、離婚が決まり事のようにたくさん出てくる。でもこういったものは現代において特に多発しなおかつ深刻になっている問題でもあるんだろうなぁ。だからこそ読みながら何回も「…リアルやぁ。」って思っちゃう。「重松清=ダーク」こんな方程式が僕の中で出来上がりつつある。 最近は小説ばっか読んでるんでそろそろ専門書に着手するとしますかー!!
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弱いとか強いとか。それを認めるとか認めないとか。こどもとかおとなとか。。。。。。 そういうことを考える。 おとなになったら、当たり前だけど、どんどん変わっていくんだろうな。 社会の汚い部分に慣れていく人、それがダメで、もまれちゃって、結果子供から弱いとか言われちゃう人。 そんなこ...
弱いとか強いとか。それを認めるとか認めないとか。こどもとかおとなとか。。。。。。 そういうことを考える。 おとなになったら、当たり前だけど、どんどん変わっていくんだろうな。 社会の汚い部分に慣れていく人、それがダメで、もまれちゃって、結果子供から弱いとか言われちゃう人。 そんなこと、強いとか弱いとかじゃないよね。 正しいなんてだれが決めた? 人生を達観するような深い話。 特にお父さんが左遷で作業着着て倉庫で働くようになる(少年の高校と同じ駅)でもそれを隠してスーツで出社、ロッカーで着替える。。。 それを知る息子。 そのお父さんがホームレスが少女を襲ってて喧嘩、怪我して運ばれる。作業着のこと、当然バレバレ。 お互い「言わない」 言わなくていいこと、伝わること・・・・胸が締め付けられた。 世渡りベタな「お父さん」が主人公な作品が多かったから、なんかね、救われて欲しかった。正直。でもそういうわけにいかなくてさ。 家族背負ってるから。 でも「生きてる」「働いてる」お父さん。これ、本当の意味で「強い」 なんかそんな気がした。
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この人は、おじさんを書かせたら日本一なんじゃないかと思う。 んで、少年少女を書かせたら、ほんわかするおじさんと子供の交流を書かせたら、もしかして世界一かも。 おとうさんに、いつかおとうさんになる人に、そうしておとうさんの娘だった、息子だったあなたのために。 珠玉の逸品。...
この人は、おじさんを書かせたら日本一なんじゃないかと思う。 んで、少年少女を書かせたら、ほんわかするおじさんと子供の交流を書かせたら、もしかして世界一かも。 おとうさんに、いつかおとうさんになる人に、そうしておとうさんの娘だった、息子だったあなたのために。 珠玉の逸品。 重松作品の中では流星ワゴンの次に、好きかも。
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30代後半〜40ぐらいの男女が主役の短編集。久々の重松作品。最近警察ものばかり乱読していたので、ちょっとギャップが・・・。解説の嘉門さんが、いい味出してます。
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久々に重松清の本が読みたくなって読んだ本。 望郷もの(ってか少年時代の憧れの人との再会)1編、家族もの2.5編、教師もの1.5編と、 作者らしいラインナップ。こんなジャンル分けをするのが馬鹿らしくなるほど「重松清もの」というジャンルが確立しているような気がしたりしなかったり。
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