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2019/04/22

難しい言い回しは避けて平易な言葉でソシュールの学説を解説してくれている。講義形式的な文章で親しみやすくもあるが、冗長に感じられなくもない。好みの問題ですが、個人的には前回読んだ「言葉とは何か」(丸山圭三郎)のほうがすっきりしていて好き。 私がソシュールの学説をちょっとだけ知って...

難しい言い回しは避けて平易な言葉でソシュールの学説を解説してくれている。講義形式的な文章で親しみやすくもあるが、冗長に感じられなくもない。好みの問題ですが、個人的には前回読んだ「言葉とは何か」(丸山圭三郎)のほうがすっきりしていて好き。 私がソシュールの学説をちょっとだけ知って、面白いと感じるポイントは以下。 単語は何か特定の事物を指し示すラベルではなく、あくまでも「認識の区別」だということ。めちゃくちゃ抽象的な世界の話ってことですよね・・・単語が作る抽象世界みたいなのを思い浮かべるとゾクゾクします(感覚的な話)。 「言葉とは何か」において、「ソシュール言語哲学の根本に『言葉は記号ではない』という認識がある」という説明がなされており、しかもかなり重要な部分。 一方、本書には「人間が知覚することができる図形や音などの対象によって意味を表す手段を、ソシュールは全体として『記号』と呼びました。単語も人間が知覚できる音声という対象によって意味を表すのですから、当然のことながら単語も記号の一種になります。」との記述。ここで一瞬「言ってることが前のと違うなあ」と混乱した。 この部分に関しては、どちらも原典の引用が明(示されていたわけではないのでソシュールが実際何て言ってたのかはわからない。 ただ、前者が出てきたのは「言葉は事物の名称リストではない」というソシュールの主張を解説する文脈。この主張は後者の後半にも出てきていて、矛盾していない。 ちなみに後者の記述は、「ソシュールは『記号学の祖』と言われるようになった。そして記号学の研究を進めるために言語学がヒントをくれると考えられる」という文脈で出てきている。

Posted byブクログ