生前葬と父の本 の商品レビュー
本人ではなく、家族が主催して生前葬(「語らう会」)を行った記録。筆者は、主人公の娘である。 本書中で何度も断っているように、生前葬をやる人が多数派になるとは考えづらい。また、本件のように本人ではなく家族が主催するのは、まれ。その点でレアなケースであることは間違いない。ただ、「お...
本人ではなく、家族が主催して生前葬(「語らう会」)を行った記録。筆者は、主人公の娘である。 本書中で何度も断っているように、生前葬をやる人が多数派になるとは考えづらい。また、本件のように本人ではなく家族が主催するのは、まれ。その点でレアなケースであることは間違いない。ただ、「お別れ」についてのたくさんの気づきや知恵が書かれているので、この本から学べるものは少なくないはずだ。単に読み物としても、臨場感があり、感動できるし。 本書のもう一つの目玉は、「一生涯一冊運動」の提案だ。追悼文集や遺稿集と違い、生前にまとめる本を筆者は「悦生本」と呼ぶ。生前葬まで踏み込めない人も、これは作ってみる価値があるんじゃないだろうか。 家族が一致結束して、周囲の協力や理解を得ながら、本を準備し、会を執り行う。そして、本人がそれをとても喜ぶ。死に臨んでも、そして亡くなってからも、本人と家族の絆はさらに強くなっていく。うらやましい気持ちを、強く持った。この本を読んでからは、生前葬を十把一絡げに「不謹慎だ」などとは絶対に言えないと思う。
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