現象学と二十一世紀の知 の商品レビュー
哲学研究を文献を緻密に読んでいく伝統芸能的な研究と、現代的な問題にどう貢献するかについてこうさつする研究に分け、後者の研究に焦点をあげ、特に、現象学が現在の学問分野(認知、社会、技術など)が抱える問題にどう応答できるかを9つからなる論文によってオムニバス形式で探求している。 ...
哲学研究を文献を緻密に読んでいく伝統芸能的な研究と、現代的な問題にどう貢献するかについてこうさつする研究に分け、後者の研究に焦点をあげ、特に、現象学が現在の学問分野(認知、社会、技術など)が抱える問題にどう応答できるかを9つからなる論文によってオムニバス形式で探求している。 個人的に興味を持ったのは、1、2、5、9章である。1章では認識論について、現象学と分析哲学の立場をその創始者とも言えるフッサールとフレーゲから出発して論じられている。2章では身体について、第三世代の認知科学と呼ばれる世代を現象学、特にメルロ=ポンティの仕事と結び合わせて考察している。5章では、ロボットが心を持ちうるかについて、現象学的に、志向性や間主観性概念などを導入しつつ論じている。(個人的には4章で論じられている他者論よりも他者について関心が持てる内容だった)。9章では技術(ハンマーなどの道具から星雲を観測し、記録する観測器など)について、主にハイデガーの道具分析などを中心として、運用しつつも批判的に論じている。
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