クロス・ゲーム の商品レビュー
すらすらと読み終わり、まあおもしろかったけどちょっと物足りないな、なんて思っていたのだが、あとになってから思い当たったことがある。 これって、「ミステリ」として考えるなら、かなり「意外性」のある作品だったんじゃないだろうか。 フーダット(誰がやったか) 古典的な趣向を使...
すらすらと読み終わり、まあおもしろかったけどちょっと物足りないな、なんて思っていたのだが、あとになってから思い当たったことがある。 これって、「ミステリ」として考えるなら、かなり「意外性」のある作品だったんじゃないだろうか。 フーダット(誰がやったか) 古典的な趣向を使っているので、わかっていれば「嗚呼、これね」という感じではあるが、知らなければ意外な犯人といえるかもしれない。登場人物の描き方が何気なくうまくて、おかげで意外な犯人、というか意外な展開になっているのではないか。作者の技ありだと思う。 ハウダット(どうやってやったか) 前述の通り、古典的な趣向(トリック)。ただ、この手の趣向では絶対に必要となる「ふたりの接点」に現代的な仕掛けをつかったところがミソかな。その「現代的な仕掛け」が、そういうふうに利用できるというのは、知らない人にとっては意外なはず。知っていれば、それだけのこと。 ホワイダット(なぜやったか) しばらく考え込んだのがここである。これを、意外な真相と見るか、それとも「そんなことで殺人なんてあり得ない!」と切って捨てるか。最初僕は後者の気分だったんだけど、次第に前者が作者のねらいのような気がしてきた。そして、そう考えると、このミステリそのもののねらいが見えてくるように思うのである。 つまり、これはミステリの趣向を借りた別のもので、ネットの持っているある側面をミステリに応用した作品なのである。だから、ネットに対して持っている予備知識によって、まったく違う側面を(どのくらい衝撃的で、どのくらいわざとらしくてみたいなことを)決めてしまうのではないだろうか。僕はちょうどすれすれのところにいたらしく、わりあい楽しく読めたし、荒唐無稽ではなく意外性として設定を楽しめた。 ちなみに、表面的ではあるけど個性的な登場人物たちが魅力的で、描き分け方もなかなか達者だと思った。ちょっと楽しみな作者である。
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思ったよりは、ていうか、割と面白かったです。オチも凄かったし。あんな理由で人殺すかぁ・・・みたいな。
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PCのオンラインゲームにまつわる殺人事件の話。 オンラインゲームになぜはまるのか分かるような気がする。
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この作品はサントリーミステリー大賞最後の受賞作「セカンド・サイト」でデビューした中野順一の長編第二作です。「ゲーム(仮想世界)の中で愛と憎しみが生まれる」って帯にあったので、どんなものかなと思ったら、パソコンゲームのオンラインゲームが重要な要素になっている本でした。 しかし、オン...
この作品はサントリーミステリー大賞最後の受賞作「セカンド・サイト」でデビューした中野順一の長編第二作です。「ゲーム(仮想世界)の中で愛と憎しみが生まれる」って帯にあったので、どんなものかなと思ったら、パソコンゲームのオンラインゲームが重要な要素になっている本でした。 しかし、オンラインゲームってやったことがないんですよね。それでも、ゲームの事はある程度分かるし、書かれている事も理解できたけど、どこがミステリーかと言うと、最後に「なるほど、そうだったのか」と思いついたのはいいけど、じゃ、どうして?って言う動機が気になり始めるけど、それはもう最後の2〜3ページのところです。最後は一気に行った感じです。 主人公の沢口航太は帰宅途中、見知らぬ中年男にいきなりナイフで襲われる、そんなシーンで物語が始まります。彼には恋人・根岸優衣がいるけど遠距離恋愛で(オンラインゲームの「ソロモン2」で知り合った〉会う事もままならない状況だけど、そんな彼にさらなる危機が襲いかかってきます。 一方、店舗を持たずに少額から高利で貸し付けるヤミ金の妹尾光彦とその彼女、本田沙也加、さらに金を借りている町のおもちゃ屋の熊井茂夫。こんな登場人物がどうクロスしていくのか、それがこの物語のテーマでもあるのだけど、もうひとつの「クロス」が隠されているのが面白い構成になっています。 こんな動機は・・って思うけど、ありそうで怖い現実の世界です。
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