レ・コスミコミケ の商品レビュー
Qfwfq氏が、宇宙…
Qfwfq氏が、宇宙創世以来のあらゆる出来事語るという構成で12個の不思議な短編集となってます。カルビーノらしく非常に奇抜な内容と、独特な構成にびっくりさせられます。『柔かい月』(河出書房新社から文庫で出てます)と一緒に読まれることをお薦めします。
文庫OFF
幻想的な作品を集めた…
幻想的な作品を集めた短編集。引き込まれますよ。
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2008年12月7日~8日。 宇宙規模の法螺話。 奇想天外なのに、妙に納得してしまう。 科学的知識が無くても楽しめるのではないだろうか。 ただ、語尾を不愉快に感じることも多かった。 これは翻訳の責任であり、雰囲気作りのためなのだろうが「~なのであった」という言...
2008年12月7日~8日。 宇宙規模の法螺話。 奇想天外なのに、妙に納得してしまう。 科学的知識が無くても楽しめるのではないだろうか。 ただ、語尾を不愉快に感じることも多かった。 これは翻訳の責任であり、雰囲気作りのためなのだろうが「~なのであった」という言い方はあまり好きではない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
*どれだけ硬質な科学的な短い記事を読んでも、「ああそうそう、わしはそのころ……」とQfwfq老人が語る、その法螺吹きが吹く法螺に身を任せる快楽。 ■月の距離★ (とはすなわち、彼女を恋うるわしと、わしの従弟が恋着する月そのものになりたい彼女、との距離。)……人以外に恋着する人、を恋した人、に恋した人の悲劇。恋を重視する本書の開幕にふさわしい。 ■昼の誕生 (に立ち会った家族のどたばた。真っ暗に絶望するが、それは夜というものなのだ。) ■宇宙にしるしを (つけたはいいけれど。しるしの連鎖。) ■ただ一点に★ (集まったわしらをばらばらにしたのは、「スパゲッティをつくるスペースがあれば」という彼女のひとことだった。)……恋心が宇宙を作ったというロマンチックな感覚。 ■無色の時代★ (、すなわち地底、に居続けるアイルと、色の時代、すなわち地表、に取り残されたわしと)……恋の相手を探して地上をも地底をも問わず縦横無尽に探し回るという、凄まじくダイナミックな移動。赤く爛れた溶岩や無色に変化を好まない岩やがアクロバティックに混在する、アヴァンギャルドな読後感。 ■終わりのないゲーム (で、わしと相手は無限に交互に連続することになる) ■水に生きる叔父 (すなわち魚類、に引け目を感じる両生類の私、の爬虫類の彼女は、しかし叔父に興味を抱く) ■いくら賭ける? (と、わしは学部長と賭けのやりとり。あらかじめの賭けが回収されていく。わし優勢から学部長優勢へ。) ■恐龍族★ (の最後のひとりになったわしは、新生物の群れと交流し、消え去ることで永続することを知る。)……最後の一匹が噛み締める旧種族への愛憎は、象徴的。新種族の中に衒いなく溶け込む自分の成分を見て、自分は死んでも生き延びるという誇りを半ばにする諦念を、語り手は抱くが、これって子を見るときの親の感慨だ。 ■空間の形 (永遠に出会わない3本の平行線で、わしは恋し、嫉妬する。)……たった3本の平行線が、ここまでふくらみのある小説になるんだね。 ■光と年月★ (光速すなわち億年を往復する時間を隔てて、見る/見られる関係が成り立つ。別々の星雲の立て看板が列を成す。)……究極に近い思考実験。見られている気まずさ、から、見られているから安心。 ■渦を巻く★ (ことで、わしは恋心=貝殻を作った。わしに視覚は備わらなかったが、便乗してきた者らの視覚を借りて、わしは彼女を見るのだ。)……谷川俊太郎の「なんでもおまんこ」を連想できるほど、生命の根源に思いを馳せさせてくれる。人間を含む有機生物を「無色、不定形の存在、にわか仕立ての臓物袋といった手合い」と呼ぶちょっとした記述に共感したりもした。
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科学の洗礼を経た現代の神話。宇宙創生叙事詩とも言える。トランス状態じゃなきゃたどり着けないような夢見心地の筆遣いについていくのは苦労したが、なんてことない、酔えばすんなり読むことが出来た。お気に入りは「月の距離」と「無色の時代」。
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妄想の書。中には全く意味不明なものや面白みがないものもある。感性が合えば、面白いと感じるのかな。 個人的には無色の海がよかった。
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カルヴィーノの到達点の一つとの誉れ高い一冊だが、実は初読。ビッグバンの瞬間から、広がっていく宇宙、太陽の誕生、地球上に大気が生まれ色彩が広がるとき、月が地球から離れていくとき、水生生物が陸に上がるとき、恐竜が滅びた後などを全て実体験した Qfwfq 老人が語る連作短篇。果てしない...
カルヴィーノの到達点の一つとの誉れ高い一冊だが、実は初読。ビッグバンの瞬間から、広がっていく宇宙、太陽の誕生、地球上に大気が生まれ色彩が広がるとき、月が地球から離れていくとき、水生生物が陸に上がるとき、恐竜が滅びた後などを全て実体験した Qfwfq 老人が語る連作短篇。果てしない想像力で描かれる物語世界が、Qfwfq 老人の軽快な語り口とあいまって、どれも素晴しい。ところどころに挿し挟まれる物悲しい離別の物語もペーソスが効いている。 お気に入りのシーンは何といっても「ただ一点に」に描かれるビッグバンの瞬間。Ph(i)Nk 夫人が「ねえ、みなさん、おいしいスパゲティをみなさんにご馳走してあげたいわ!」という一言がきっかけになって、この宇宙は生まれたのであった! 久しぶりにカルヴィーノ熱が再発しているので、何冊か読み返してみるつもり。
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原題『Le cosmicomiche』つまり宇宙コミック。コンピュータおばあちゃんを遥かに超越する超銀河おじいちゃんことQfwfq翁にかかればどんな科学書の一文も「そうそう、ワシが若かったころは~」な与太話に早変わり。短編の中で時にはメタな語りが顔を出しつつも、多くは恋愛語りや寓...
原題『Le cosmicomiche』つまり宇宙コミック。コンピュータおばあちゃんを遥かに超越する超銀河おじいちゃんことQfwfq翁にかかればどんな科学書の一文も「そうそう、ワシが若かったころは~」な与太話に早変わり。短編の中で時にはメタな語りが顔を出しつつも、多くは恋愛語りや寓話としての親密さに満ちているのだが、それが宇宙創生以前やら数億年のスケールやらで展開するのだからたまらない。理解不能なものを人間の一生に引き付けて語り下ろすとは神話の模倣であり、これはカルヴィーノなりの古典に対する挑戦なのだろう。
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大まじめに大ホラ吹きな宇宙創世を書いている。 一話一話ふざけている故に、なんだかチャーミング。ウキウキにしてくれた。 絵本にしたら子供は大喜びするでしょうに。 その分翻訳がありきたりなのがもったいない。 円城塔さんが翻訳して出し直したらどうだろう。
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〈宇宙誕生以前から世界の成り立ちを見続けた老人が語る物語。〉 イタノ・カルヴィーノ 初カルヴィーノ。壮大な大法螺ふき。 宇宙の誕生はスパゲッティを作るためだとか。 魚と陸上に上がった生物のジェネレーションギャップとか。 宮沢賢治以上の空想世界に、嘘か真か定かではない科学...
〈宇宙誕生以前から世界の成り立ちを見続けた老人が語る物語。〉 イタノ・カルヴィーノ 初カルヴィーノ。壮大な大法螺ふき。 宇宙の誕生はスパゲッティを作るためだとか。 魚と陸上に上がった生物のジェネレーションギャップとか。 宮沢賢治以上の空想世界に、嘘か真か定かではない科学知識をこれでもかと注ぎ込んでいます。 世界ってこうやってできたのか!w
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