考えるヒント 新装版 の商品レビュー
一時は大学入試によく…
一時は大学入試によく出題されるということで読まれたみたいだけど、そんなことを抜きにしても、とても面白いですよ。格調ある文章に触れるだけでも読む価値あり。
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小林秀雄がただの文芸…
小林秀雄がただの文芸批評家ではないことを証明している作品
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小林秀雄の本居宣長な…
小林秀雄の本居宣長なんかは敷居が高い、と思う人は「考えるヒント」から読むと、小林秀雄に興味が持てるんじゃないでしょうか。
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印象に残ったエッセイ「良心」について一言。世の中の効率的・能率的に物事を済まそうとする風潮は、一見、合理的で理智的に見えるが、実は個人が「考えない」ことを促す風潮でもあるという筆者の指摘は、現代社会の本質をついているように思えた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
短いエッセイ集。『モォツァルト・無常ということ』に比べれば言葉遣いが平易であった。収録作品の「平家物語」を読むために手に取ったが、その他「四季」より「お月見」「花見」、「ネヴァ河」が好きだった。全然詳細を覚えていないドストエフスキーたち、久しぶりに読み返そうかな…その前にシェイクスピア読み返したいんだよな…など読書欲も刺激された。 「平家物語」 "「今でも、「平家」は折に触れて読むが、「源氏」となるとどうも億劫である。…私は自分の好みを言うので、説を成そうと思うのではないが、「平家」の語る無常観というよく言われる言い方を好まない。「平家」の人々は、みな力いっぱい生きては死ぬ行動人等であって、昔から「平家」に聞き入る人々の感動も、その疑うべくもない鮮やかな姿が、肉声に乗って伝って来るところにあったであろうと考えている」"(p.131) まず源氏は読むのが億劫という小林秀雄に「それな~」と同意してしまったが、「平家」の語る無常観に関しては、いやそういう要素もあるし、それは何も登場人物らの生の躍動を否定するものではないと思う。無常の中だからこそ彼らの精一杯の生きざまが余計にまぶしく見える。が、小林秀雄の言いたいところが「無常観の一人歩き」ともいうべき状態を危惧しているのだとすると、そこは全力同意で、「諸行無常」ではあるが、だから生に必ずしも積極的ではない場面や価値観かというと、そうではないというところまでがセットだと思う。『平家物語』を読んだ人には、読めばそりゃわかるとなるが、言葉だけが先走るのは確かに怖さがある。 p.131続き "「平家」は、曖昧な感動を知らぬとは言うまい。だが、どんな種類の述懐も、行きついて、空しくなる所は一つだ。無常な人間と常住の自然とのはっきりした出会いに行きつく。…これは「平家」によって守られた整然たる秩序だったとさえ言えよう。また其処に、日本人なら誰も身体で知っていた、深い安堵があると言えよう。…「平家」の命の長さの秘密は、その辺りにあるのではあるまいか" ここも注釈が必要な気がするなあ…笑 「常住な自然」に行きつくことはもう少し説明が欲しいが、日本人にとって?、自然が秩序としてそこに在ることが平家で描かれていることは、確かに安心要素なのだけど、そここそが「平家」が語り継がれてきたゆえんであると置くところが、小林秀雄なのだなあ。
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この本は、「知の巨人」と呼ばれた小林秀雄さんの本ですが、著者の本は初めて読みました。 この本は、私には難しく、なかなか読み進まないので、苦労しました(泣) もっと著者の考え方や時代背景を知った上で読んだほうがよかったと思いました。 ぜひぜひ読んでみて下さい。
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「読者は自らそれと知らずに考えはじめている」と裏表紙にある通り、思考の呼び水となる本。問いかけ・問題意識が優れているのだと思う。人間の熱い精神を重視している。内容は結構難しい。それより自分の中で思考が勝手に進んでいくのに興奮した。 歴史・政治・古典についてその中で生きている人の...
「読者は自らそれと知らずに考えはじめている」と裏表紙にある通り、思考の呼び水となる本。問いかけ・問題意識が優れているのだと思う。人間の熱い精神を重視している。内容は結構難しい。それより自分の中で思考が勝手に進んでいくのに興奮した。 歴史・政治・古典についてその中で生きている人の心・魂が直接伝わってくるような生きた言葉を重視しているようだ。
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評論家の文章力という点で一番頭が良いと惚れ込んだ小林秀雄。何より文章が読みやすい、白黒はっきりしていて迷いがない、誤魔化しがない。考えるヒントはタイトル通り、思考のためのヒントがいっぱい詰まっている。そして無意識のうちに色々考えさせられる名エッセイである。プルダーク英雄伝、常識な...
評論家の文章力という点で一番頭が良いと惚れ込んだ小林秀雄。何より文章が読みやすい、白黒はっきりしていて迷いがない、誤魔化しがない。考えるヒントはタイトル通り、思考のためのヒントがいっぱい詰まっている。そして無意識のうちに色々考えさせられる名エッセイである。プルダーク英雄伝、常識などどこから読んでも脳がフル回転させられる
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本の題名「考えるヒント」は小林秀雄が言いたいことを整理してまとめた本ではなく、思考する様子をそのまま書くことで、インスピレーションを伝えようとしているからだろうと感じた。 何年か前に読んだ時は、難解に書いているが本当に意味のあることを言っているのだろうかと思ったものだったけど、今...
本の題名「考えるヒント」は小林秀雄が言いたいことを整理してまとめた本ではなく、思考する様子をそのまま書くことで、インスピレーションを伝えようとしているからだろうと感じた。 何年か前に読んだ時は、難解に書いているが本当に意味のあることを言っているのだろうかと思ったものだったけど、今読んだらすごい本だと分かる。現代にこれ程幅広く思想や文化を自分の中で消化している人はいるのだろうか。
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嫌いという感情は不毛である。 主張と告白の違い。 作品とは孤独から解放されんがための機会なのである。 笑→嘲笑と、人生の楽しさから来る笑 言葉が息を吹き返す 個性とは外部への適応能力である。 思考を変えるだけでは人間の人格は分裂するだけだ。 不徳を語る言葉は人の心の動...
嫌いという感情は不毛である。 主張と告白の違い。 作品とは孤独から解放されんがための機会なのである。 笑→嘲笑と、人生の楽しさから来る笑 言葉が息を吹き返す 個性とは外部への適応能力である。 思考を変えるだけでは人間の人格は分裂するだけだ。 不徳を語る言葉は人の心の動きに注目すれば、すぐにでも徳を語る言葉に転じる。 批評とは人を褒める特殊の技術だ。 死は背後からやってくる。 人生の根本は闘争にある。 何者も信じないということだけを信じ通す決心がヒトラーにはあった。
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