ひととせの の商品レビュー
1937年生まれ、吉井由吉氏の「ひととせの」(東京の声と音)、2004.1発行です。初読み作家さんです。1年の季節の移ろいに応じたエッセイ集であり、半生の記であり、同時に昭和の回顧だと思います。一応(ささっと)読了して、この方の本を(沢山刊行されてますね)これから読むかどうか・・...
1937年生まれ、吉井由吉氏の「ひととせの」(東京の声と音)、2004.1発行です。初読み作家さんです。1年の季節の移ろいに応じたエッセイ集であり、半生の記であり、同時に昭和の回顧だと思います。一応(ささっと)読了して、この方の本を(沢山刊行されてますね)これから読むかどうか・・・、かかえる必要もないのに、頭をかかえてしまいました(^-^) この本を自慢話に感じた私が、ひねくれ者かもしれません!
Posted by
季節を巡っての随筆を記すとなれば、誰に教わったわけでもないのに春から始まり冬の終わりで締めくくる流れで記すのが自然だと感じる。新たに始まる息吹で循環も意図することになるし。しかしひょっとしたらそれを何の疑いもなく受け入れているのは、自分がまだ若いと言うことなのかも知れない、と古井...
季節を巡っての随筆を記すとなれば、誰に教わったわけでもないのに春から始まり冬の終わりで締めくくる流れで記すのが自然だと感じる。新たに始まる息吹で循環も意図することになるし。しかしひょっとしたらそれを何の疑いもなく受け入れているのは、自分がまだ若いと言うことなのかも知れない、と古井さんの随筆を読んで思う。古井さんの一年は冬から始まり冬で終わる。 人生の終末を常に意識した視線、その立ち位置を裏付けるような一巡りなのである。強いこだわりがある筈であるのに、一切、拘泥することのない筆運び。拘泥する暇も惜しいということなのか。しかし、そのような感情は往々にして諦観につながり、何か他人を突き放したような心持ちにも陥り易い筈だと思うのに、古井さんの視線にはどこか温かみもある。 それにしても人の五感に強くこだわる人である。特に音に関する想いにはぐっと惹き付けられる何かを感じる。 おっかない小説を書く人、という印象が強かったのだが、随筆から見えてきた人物は意外に仏のような境地に達した人なのかとも思えた。
Posted by
- 1