奇跡の人 ヘレン・ケラー自伝 の商品レビュー
盗作ではないかと糾弾された過去があったことに驚いた。自分の目で見て、聞くということと、他人からの情報を自分のものにすることの違いを考えた。 ヘレン・ケラーの見える世界は現実よりもはるかに美しく、その感受性には宗教的な影響も含まれていたと思う。
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好きなところを備忘的に抜粋。 ・人は音も光もない「孤独の谷間」を歩く時、あたたかい愛情というものを知らないのである ・旧約聖書には、「アロンの杖」が突然花を咲かせる奇跡が語られているが、私の場合も、ことばが、奇跡的に世界に花を開かせてくれたのだった ・新たな力に気づいた魂が、ついに束縛から逃れ、かたことのことばを通じて、あらゆる知識、信念を手に入れようと動き出したのである
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アンドリューカーネギーが5千ドルの終身年金の付与を申し入れたが、資本主義の不公平な配分について批判していたので一度は断ったが、最後には受け取っている。 1937年4月来日 1948年来日 1968年87歳死
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小説としては物足りないが、言葉を獲得することによって知識が爆発的に増え、世界が広がっていくところにはやはり感動する。
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原題は「The Story of My Life」。 あっ「ストーリー・オブ・マイ・ライフ/わたしの若草物語」と同じだ。 ヘレンも「若草物語」好きだと言ってるし。 読んだのは新潮文庫、小倉慶郎による訳。2004年。 角川文庫の「わたしの生涯」のカバーイラストが印象深い。1966年訳。 (角川文庫の訳者の岩橋武夫もまた社会事業家で、ヘレンと直接の面識があるみたい。) 映画「奇跡の人」でヘレン7歳を見た。 コテンラジオでヘレンの生涯を知った。 で、本書ではヘレン22歳当時の考えを読んだ。 不用意な表現かもしれないが7歳で再度世界に対して「開かれて」、いかに世界を知ったか、いかに学んだか、大学生としての考えはどうか、といったところまで。 コテンラジオリスナーとしては、後年貧窮して半ば見世物小屋出演せざるを得なかったが意外と本人は楽しんでいたことや、スウェーデンボルグへの接近などを期待して自伝に手を伸ばしてみたが、ずっと手前の22歳の執筆なのだ。 自分より100年くらい年上なので歴史の遠近感覚が狂い、もう歴史上の偉大な人物という予断で読んでしまうが、22歳なんて意外と若僧なんだなと、むしろ親しみを感じた。 いや率直にいえば「萌え」を感じた。 200ページ近い本だが、例の「water」は30ページくらい。 映画ののち、いかに頑張って「得た」かがつらつら書かれている。 敢えてこんな表現をするが「上り調子アゲアゲ」だなー、と。 そして大学生現在の記述として思わず笑ってしまったのが、好き嫌いハッキリしとるなー、ということ。 とにかく数学は苦手、を通り越してたぶん嫌い。 大学生活も思い描いていたものと随分違う。 文学作品が至上で、批評なんて大した価値ないよ、とまで。 わざとこう書いちゃうが、ツイッターで「#名刺代わりの小説10選」を挙げた上で「理由は長文になるので note に書きました」とリンク張っちゃう、新進作家のような、微笑ましさを感じた。 第21章で、自分の好きな本について書いているのだが、ちょくちょく「好きじゃない」本についても書いていて、この書きぶりが辛辣で面白い。 好きな作品の中にも嫌いなところがあったり、聖書を最初は苦手だったがいつしか特別に愛読しているとか。 うんうん、読書ってそういうものよね。 そして末尾に「要するに、文学は私のユートピアなのだ」と。 三重苦だとか人類への業績だとか、かたや読んでいる私は木っ端のような庶民であるとかいった、時空の垣根を、ガバッと取り払ってしまう一文がある。 これだけで読んだ価値あり。162p。以下引用。 「要するに、文学は私のユートピアなのだ。文学の世界では、私はふつうの人と変わらない。障害があっても、本という友人との、楽しく心地よい会話から締め出されることはない。本は、恥ずかしがらずに、気さくに私に話しかけてくれる。私がいままでに学んだことも教えられたことも、かすんでしまうほどの大きな愛と慈しみを、本は私に注いでくれたのである。」 少し戻るが、「霜の王様」事件(第14章)については、ヘレンにとって相当なインパクトがあったのではないか。 ちょっと憶えておきたいところ。 今後は、10を超える著作があるのでもちろん作家追いは難しいが、その後の自伝や、コテンラジオ参考文献にある「ヘレン・ケラーはどう教育されたか―サリバン先生の記録」あたりを読みたいな。 「Midstream: My Later Life」は「The Story of My Life」と合本されて、先述の「わたしの生涯」になっているらしい。 (wikipediaでは新潮文庫の本書が合本になっている、と誤った記述。) 村岡花子「伝記 ヘレン・ケラー」(偕成社文庫)とか。 あとは塙保己一について調べるか。
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本書は、視覚と聴覚に障害を持ったヘレン・アダムズ・ケラーが、22歳のときに月刊婦人雑誌「レディース・ホーム・ジャーナル」に掲載した自伝を、翌年(1903年)、『The Story of My Life』として出版したものの新訳(2004年)である。(尚、ヘレンはその後も自伝を書き...
本書は、視覚と聴覚に障害を持ったヘレン・アダムズ・ケラーが、22歳のときに月刊婦人雑誌「レディース・ホーム・ジャーナル」に掲載した自伝を、翌年(1903年)、『The Story of My Life』として出版したものの新訳(2004年)である。(尚、ヘレンはその後も自伝を書き、1929年に『Mid-stream:My Later Life』を出版している) ヘレンは、1880年に米国アラバマ州で生まれ、1歳半の時に高熱に伴う髄膜炎に罹患して視力と聴力を失ったが、7歳のときに家庭教師のサリバン先生に出会い「話すこと」ができるようになり、20歳でラドクリフ・カレッジ(現ハーバード大学)に入学。卒業後、世界各地を歴訪して障害者の教育・福祉の発展に尽くし、84歳のときには米国最高の勲章「自由勲章」が贈られ、1968年に87歳で死去した。3度の来日経験もある。 私は子供の頃に伝記を読んだ記憶はあるが、今般改めて「自伝」を読んでみた。 障害者が一般的にどのように世界を認識しているかについては、伊藤亜紗の『目の見えない人は世界をどう見ているのか』の中に、健常者が目をつぶった場合は、4本脚の椅子の1本が欠けたのと同じような状態で、傾いてしまうが、視覚障害者は、もともと3本脚で立つように作られた椅子と同じように、バランスがとれた状態なので倒れることはない、と非常にわかりやすい例で書かれており、それを意識して本書を読み始めた。 また、ヘレンの状態・気持ちを想像するために、読みながら、目を閉じ、耳を手で覆ってみることもあった。 しかし、読み進めるうちに強く感じるようになったのは、ヘレンはやはり「奇跡の人」なのではないかということだった。健常者が外界から得る情報の8~9割は視覚からと言われ、また、人間同士の情報のやり取りの主たる手段である言語は、基本的には、目で見、耳で聞くものである。視覚・聴覚両方に障害があったヘレンは、それ以外の感覚で世界を捉えていた(言葉は触覚による)わけだが、知れば知るほど、ヘレンが成し遂げたことへの驚きとリスペクトは大きくなるばかりだ。 何がそれを可能ならしめたのかは、本書を読んでわかることもあるし、わからないこともある。 子どもが偉人伝として読むのであれば、「努力することが大事」ということになるのだろうが、ヘレンの天賦の能力(特に、物事を吸収する能力と想像する能力であろうか)が無二のものであったことも間違いなく、それ故「奇跡」は起こったと思われるのである。 (2022年8月了)
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ヘレン・ケラー23歳のときの自伝。 自然に触れながら育ったので、自然の描写が多い。 触れることで世界を認識していったからか、理論よりも自分の感覚、体験を重視しているよう。 流れる水に触り名前の存在を知る(第四章) 抽象概念を理解する(第六章) 文章を書くことの難しさ(自分の考えと、本で読んだ考えとを区別できないことがある)に直面した「霜の王様」事件(第十四章) が印象的。
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見えない聞こえない世界を想像できない。 嗅覚味覚触覚はある。運動能力はある。 この状況を頭の中ではどのように構築するのか。 言葉を獲得し,文法を獲得し,それを運用する。 指文字,点字,タイプライター,さまざまな道具や方法で知識を入れ,思考を出力する。 本当にそんな人がいたのか。ま...
見えない聞こえない世界を想像できない。 嗅覚味覚触覚はある。運動能力はある。 この状況を頭の中ではどのように構築するのか。 言葉を獲得し,文法を獲得し,それを運用する。 指文字,点字,タイプライター,さまざまな道具や方法で知識を入れ,思考を出力する。 本当にそんな人がいたのか。まさに奇跡の存在か。 ヘレンケラーはその時代の中では恵まれた環境にいたのだろうが,環境がよいからといって本人の努力なしではなし得ないことである。世界を知ろうとする好奇心の追求なのか。 ・知識は力なりという。しかし,私は知識とは幸福だと思う。 (p.143)
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ヘレンケラーが22歳の時に上梓した自伝。 電話の発明で有名なベル博士の紹介で盲学校を知り、サリバン先生と出会う。
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ただただ、素晴らしかったです。 自分が見失っている事、気付かず染まっている事をヘレンが直接教えてくれているように感じました。 早く読み進めたい気持ちと、読み終わってしまうのが惜しい気持ちが交差する書籍。本書から得た学びと幸せは、一生の宝物と思えます。おすすめです。
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