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あの薔薇を見てよ の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2015/08/20

原著で読みたい!と思わせる作品群。一気に惹き込まれる冒頭から展開のすみずみ、そして物語のおさまり。ワクワクさせられ、そして想いを馳せる楽しみ。

Posted byブクログ

2014/12/03

エリザベス・ボウエンの短編の中から、ミステリとしても読めるものを集めた選集の第1巻。 『ボウエン・ミステリー短編集』と副題にはあるが、ジャンル読者が考える『ミステリ』とは一線を画したものばかりが収録されており、雰囲気的には国書刊行会の『ボウエン幻想短篇集』に近い。序文でアガサ・ク...

エリザベス・ボウエンの短編の中から、ミステリとしても読めるものを集めた選集の第1巻。 『ボウエン・ミステリー短編集』と副題にはあるが、ジャンル読者が考える『ミステリ』とは一線を画したものばかりが収録されており、雰囲気的には国書刊行会の『ボウエン幻想短篇集』に近い。序文でアガサ・クリスティと比較されているが、ちょっと違うんじゃあ……? 収録作はどれも20ページ前後、人間心理の綾に焦点を当てたものが多いので、サスペンス、ホラー短編として読むことも可能。表題作にもなっている『あの薔薇を見てよ』の余韻が素晴らしい。『手と手袋』の滑稽さと悲哀のバランスも良かった。

Posted byブクログ

2012/02/20

ミステリーという副題だが、どちらかというと幻想小説集だと思った。どの話も澄みわたり、恐ろしいほど寂しい。 小池滋氏に師事したという訳者のなみなみならぬイギリス文学への思い入れが、美しい文章から伺える。 エリザベス・ボウエンを知らなくて、最初はマージョリー・ボウエンかと思って手にと...

ミステリーという副題だが、どちらかというと幻想小説集だと思った。どの話も澄みわたり、恐ろしいほど寂しい。 小池滋氏に師事したという訳者のなみなみならぬイギリス文学への思い入れが、美しい文章から伺える。 エリザベス・ボウエンを知らなくて、最初はマージョリー・ボウエンかと思って手にとったのだけど、その偶然に感謝。 「アン・リーの店」、「父が歌った歌」、「林檎の木」、「幻のコー」が良かった。 登場人物、特に女性が魅力的。

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2010/02/24

少女を主題とした作品も多く、特に「チャリティー」「ザ・ジャングル」では、あの時代の捉えどころのなさやひりつくような心情が鮮やかに描き出されている。同時にボウエンは少女的なものに疎ましさを感じてもいたのか、と思ってみたり。生計を立てているという意味では自立した女性ではあっても、社会...

少女を主題とした作品も多く、特に「チャリティー」「ザ・ジャングル」では、あの時代の捉えどころのなさやひりつくような心情が鮮やかに描き出されている。同時にボウエンは少女的なものに疎ましさを感じてもいたのか、と思ってみたり。生計を立てているという意味では自立した女性ではあっても、社会的地位は高くなかった、当時のお針子や家庭教師といった職業婦人の、隙がなく謎めいた描き方には、田舎屋敷のお嬢様であったボウエンの意識が反映されているのかなぁと思ってみたり。 どの作品も印象深いが、スタイル重視で感情に流されることのない夫の、舞台でいえば、暗転後の行動を想像させて怖い「段取り」、除隊後の生活に苦しむ父親への娘の愛がせつない「父がうたった歌」、何が何でも結婚せねば・・という姉妹の執念が愚かで悲しい「手と手袋」、おせっかいで毒舌家で、というおばさんの典型のような夫人が若い娘にとりついた幽霊を退ける「林檎の木」がよかった。 それにしても、この訳者の日本語の選び方はどうなんだろう。“情報不足の目で男を見た”(「アン・リーの店」)って・・・・(原書ではlooking at the man not quite intelligentry)。あとがきの作品解説でも、それは違うんでは・・・と思うものもあり(「手と手袋」など)、なんだかなあ・・・

Posted byブクログ

2009/10/04

たとえば、向こうから投げられたボール、テニスボールくらいなもんだろうと、思ってたら受け取れば、何でこんなに重い? ずしっと重みを感じて、たじろぐ。 たとえば、話ずきの猫が、面白い話をしてくれてる。話に引き込まれて、聞いていれば、つと 「話はここまで」と突然やめて、どこかへ。 ほん...

たとえば、向こうから投げられたボール、テニスボールくらいなもんだろうと、思ってたら受け取れば、何でこんなに重い? ずしっと重みを感じて、たじろぐ。 たとえば、話ずきの猫が、面白い話をしてくれてる。話に引き込まれて、聞いていれば、つと 「話はここまで」と突然やめて、どこかへ。 ほんとに猫がどこかで、「話はココまで、あとは自分で・・・」と言われてる気分。 話は佳境へ、さてどうなる?って思った矢先におしまい。 「おい、こらまてっ、どうなるんだ、この後」と一人ごちてしまった。でもこの感覚は癖になる。 さて次の話はいったいどこまで語ってくれるんだろうか・・・予想は大概はずれるのだけど。 作者、ボウエンは、日本ではあまり有名ではない、翻訳されたのもごくわずか。(でも、不思議、この本は図書館にリクエストしたもの(昨年の12月はじめ頃) やっと手元に来たのは今月のはじめ、約2ケ月も待たされた。 その上、「次の方がいますので・・」(延長は不可)と図書館の人言う。 妙に引っ張りだこ。) 「ミステリー短編集」と副題はついてるが、いわゆる謎ときではない。 緻密な文章、一見すれば絵になる風景、そして、人がつむぎだす「魔」そして「秘密」 少女のアンバランスな心の風景。 「あの薔薇を見てよ」 バラが恐ろしいほど、違和感あるほど咲き誇っている家の中にすむ母娘 そこに惹かれるように訪れた、不意の客。 「値切り品」 さほど、裕福でない家庭、有能な家庭教師は、なぜそこに。 中には、主人公の心的情景が、なんかよくわからんな、と思うものもある。 でも、読まずにはいられない、不思議な魅力。 やはり「魔」かな。

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2009/10/04

ミステリーと言っても事件が起きて犯人を割り出して・・・というのではないです。全てを明らかにせず、敢えて隠すことで読者に想像させ怖がらせる。恐怖は明文化すると限界ができてしまうけど、想像力にゆだねられるといくらでも膨らんでいくんだということが分かりました。多感な少女の想像力を描いた...

ミステリーと言っても事件が起きて犯人を割り出して・・・というのではないです。全てを明らかにせず、敢えて隠すことで読者に想像させ怖がらせる。恐怖は明文化すると限界ができてしまうけど、想像力にゆだねられるといくらでも膨らんでいくんだということが分かりました。多感な少女の想像力を描いた作品を多く残していることからも、この作家さんの「想像力」を大切にする姿勢が見える気がします。それだけに読む方にも想像力が必要。怖い話は本当に怖いです。でも想像できないと、何が言いたいの?で終わってしまいました。

Posted byブクログ