無限連鎖 の商品レビュー

楡周平(著者)

2013/05/16

テロって怖いよね。
でもさ、やる側はテロって思ってないかもしれないよね。
報復とかさ、復讐とかさ。
それに対してまた報復だよね。
それに対してまた……。対してまた……。また……。また……。
まさに無限連鎖……。

この本を読むと痛快とか、面白いとかじゃなくて、悲しくなります。
虚無感に襲われます。
ひところ「テロとの戦い！」ってよく叫ばれてたけど、
あれは「無限連鎖」に突入します！ってことなのかもしれないなぁ。
と、思ったりしました。

ラスト、悲劇で終わったからこそ色々と考えさせられました。
もしハッピーエンドで終わっていたら、また違った感想になっていたはず。

いい本だと、思います。

2012/10/13

同時多発テロを題材にしたパニックサスペンス。東京湾危機管理としての問題提起作品。さすがに楡らしい。
テロ集団によりシ―ジャックされ爆弾を積んだ30万トンの原油満載の巨大タンカーが東京湾に侵入。
「もし、これほどの原油が流出すれば重い成分は東京湾の水面をヘドロのような層で覆い、空港、コンビナート、物流、発電、そして住居すべてが機能不全の長期間封鎖となる。」日本がパニックになれば全世界に深刻なダメージ連鎖が。犯人の要求に日米首脳の非情な決断。

「Cの福音」でデビューした楡氏の「半生の集大成」という本らしいが、確かにこれ以降「再生巨流」「ラストワンマイル」「プラチナタウン」などハードボイルド作品というより、経済・企業・社会小説にシフトしているように見える。

2011/10/16

これは、面白い！
一気に引き込まれて、ぐいぐい読んでしまった。

この手の作品て結構読んでるけど、
こんな悲劇的な終わり方するのって初めて。
でも、こっちの方がよっぽどリアリティがある気がする。

というか、これ、冷静に考えたら、
いくらでも起こりうる事態なんだよなって思うと、
背筋が寒くなった。

日本て平和ボケしてるからか、
自分らが直接手を汚していないからか、
こういう国際犯罪に巻き込まれるってことに対する危機感が、
あまりにも薄すぎる気がする。
もちろん、私も含めて。

世界のどこかで起きていることは、
どこまでも対岸の火事としか捕らえていないというか。
で、自分とこに火の粉が飛んできたら、
慌てふためくだけで何もできないというか。

フィクションなんだけど、
どこか現実めいている内容に、
匕首を突きつけられた気になった。

2011/08/21

楡さんお得意のミステリーもの。
「Cの福音」系がハマった人は、
必ずヒットするはずです。

９．１１をベースにアメリカと日本でテロが起こるというストーリー。
「テロリスト達に悪用されたら？」と
本気で心配してしまうくらい
話がとてもリアルに構成されています。
６００ページを超える大作ですが、
本当に一気に読み切れてしまいます。
（その分、寝不足気味ですが…。）

楡さんの小説はハズレがなく、
安心して没頭できる数少ない著者ですね。
早く他の単行本も文庫にならないかぁ。。

2010/05/20

悲劇の結末。。。
ホントに考えさせられる作品ですね。

本作品も実際にできそう？と思わせてしまう内容で、
平和に生きている日々に感謝です。