ヨーロッパ市民の誕生 の商品レビュー
ヨーロッパの多様性と画一性という2つの相反する要素を「人」の視点から分析した良書だと感じた。冒頭はシチズンシップの定義など、私のような素人にはわかりづらく、かつあまり関心のない議論も含まれてはいるが、全般的に各国(特にドイツ、フランス、イギリス、スペイン)の事例をふんだんに盛り込...
ヨーロッパの多様性と画一性という2つの相反する要素を「人」の視点から分析した良書だと感じた。冒頭はシチズンシップの定義など、私のような素人にはわかりづらく、かつあまり関心のない議論も含まれてはいるが、全般的に各国(特にドイツ、フランス、イギリス、スペイン)の事例をふんだんに盛り込み、わかりやすいと感じた。 私が特に関心を持ったのは「ヨーロッパ市民」の誕生?という点であった。欧州ではイギリスのウェールズ、スコットランド、スペインのカタルーニャ地方、バスク地方など、国よりも地域を自身のアイデンティティとして強く認識している人が生まれている一方で、彼らは自分達をヨーロッパ人とも認識している傾向がある、という議論である。またフランスのマルセイユに住む人々は自身をマルセイユっ子として認識する傾向が強いという。人種や民族を超えて、地域への愛着で人々が結び付いている姿は今後他の地域でも大いに参考になるのではないか。Unity in diversityという言葉が実感できる本だった。
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ヨーロッパにおけるシティズンシップやアイデンティティの醸成や課題を挙げ、振り返って日本への問題提起がされている。 ひとつにはヨーロッパの移民政策が方々で失敗の側面ばかり語られることに対して、そうした面もあるが前進しているということを知ることができる。 またそこには民族、言語、市区...
ヨーロッパにおけるシティズンシップやアイデンティティの醸成や課題を挙げ、振り返って日本への問題提起がされている。 ひとつにはヨーロッパの移民政策が方々で失敗の側面ばかり語られることに対して、そうした面もあるが前進しているということを知ることができる。 またそこには民族、言語、市区、国、欧州としての様々な背景や状況があることへの言及も詳しい。 日本においてはまたそれらとは別の背景、状況があり、著者の提起に即頷けるものではないが、それが停滞している理由にならないことはよく理解できた。 単一民族国家としての未経験さや未成熟なアイデンティティ、舵を切るには無知かつ既得権に縛られた政治といった日本の弱点が改めて感じられる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 地域統合と分権化が深まり、外国人労働者や難民の定住もすすむヨーロッパ。 国民国家のありようが問い直される中で、国籍や社会的諸権利の考え方も大きく変わりつつある。 この動きは日本社会にどんな意味があるのか。 長らくヨーロッパ社会を観察してきた社会学者が、多層化するシティズンシップの行方を探り、新しい社会の姿を描く。 [ 目次 ] 序章 なぜシティズンシップなのか 第1章 再生するネーション 第2章 言語、アイデンティティ、シティズンシップ―カタラーナの世界 第3章 新しい移民大陸ヨーロッパ 第4章 どのようにシティズンシップを保障するか 第5章 EUシティズンシップの理想と現実 第6章 移民とローカル・シティズンシップ 第7章 家族、ジェンダー、平等―少数派からのシティズンシップ要求 第8章 逆風とチャレンジ [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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異なる言語、異なる文化が一つの市民になることができるのか 大きくなればなるほど問題が顕在化してくるEU うまくいけばいいのに
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これ読んだ直後に前原さんの外国人献金問題で辞任ってなったのは何ともタイムリーな気がする。書評はあとで書こう
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EU憲法制定へ暗雲が立ち込める中、ヨーロッパ市民は何を思うのか。 移民やジェンダーにも触れつつ、ヨーロッパに住む人達のアイデンティティーを探る一冊。
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