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安心のファシズム の商品レビュー

2.9

22件のお客様レビュー

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斉藤氏が今日の監視強…

斉藤氏が今日の監視強化体制を「安心したがる人々によって生み出されてきた」と一刀両断。かつてのファシズムとは異なる新たな脅威について語る。

文庫OFF

2022/11/19

日本は静かに戦争ができる状態に向かっていって近い将来""民主主義""という言葉だけ残っていくとずっと思っている。監視カメラで人々のプライバシーはなくに等しくなるというのはすこし飛びすぎだと思うが現在進行形でマイナンバーカードとかいう訳の分か...

日本は静かに戦争ができる状態に向かっていって近い将来""民主主義""という言葉だけ残っていくとずっと思っている。監視カメラで人々のプライバシーはなくに等しくなるというのはすこし飛びすぎだと思うが現在進行形でマイナンバーカードとかいう訳の分からないものを推し進めている現状では道が違うだけで終着地点は同じなのかもしれない。

Posted byブクログ

2022/02/12

自由を制限されることを日本人はあえて望んでやしないか。そんな問題提起をする本。2004年の本で、当時の日米のトップ(小泉首相、ブッシュ大統領)の言動への批判も。 ジョージ・オーウェルの有名なディストピア小説「1984年」が引用され、極端に管理された社会に日本が近づいているという...

自由を制限されることを日本人はあえて望んでやしないか。そんな問題提起をする本。2004年の本で、当時の日米のトップ(小泉首相、ブッシュ大統領)の言動への批判も。 ジョージ・オーウェルの有名なディストピア小説「1984年」が引用され、極端に管理された社会に日本が近づいているという例を挙げている。当時普及し始めたネット、自動改札、ケータイなど技術面からの管理や日本人の思想の変化など。 スマホがないと社会生活で不便を強いられる現在を考えるとあながち外れてもいないと思うが、そこに国家的に統制を進めようとしている思想があるというような展開はやや飛躍しすぎと思える。 ファシズムがこの国で進んでいるというよりは、技術も経済も成熟してしまい、新しい技術をなんとか新しい収益にしたいという経済活動が生み出してしまった結果なのでは、と思える。

Posted byブクログ

2019/06/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内容的には感情的・被害者意識の強い内容で困惑するものであったし、半分読んでから食傷気味になったのも確かである。 イラク人質事件を受けて突き動かされた感情のままに書いたとあとがきに記されていたのと、最後の章でシベリア抑留を11年間強いられた挙句に亡くなられるまで公安の監視を受けた父の存在で、国家への不信感を抱き、権力や自由に敏感になるのも仕方が無い事だなと思った。 現在ではケータイから進化したスマホ、監視カメラ・自動改札機は改良され当たり前で。サイバネティックスにどっぷりと浸かり、本書は過ぎ去ったもう戻りはしない時代に逆らう叫びを切り取った形である。 日本ではIT革命が起き、世界はリーマンショックの2008年以前と以後で変わったとされている。綺麗で学術的に洗練された言葉を求めるならば、フロムやフーコーを読んだ方が遙かに有益ではあるが、本書が発行された2004年から見える視点や、新しいテクノロジーや制度・体制への不安・疑問を筆者の当時の感情や空気をむき出しにぶつけて貰って良かったと思う。 残念ながら、これを読んだことで「防犯カメラの撤去を、自由とプライバシーの回復を!」「ICカードなど使ってなるものか!」とは私は思わない。便利だからだ。煩くないからだ。「監視される事で安心を得て」いるからだ。今は平時であり多数派だからで、圧倒的な利便さに頼っている。支配されたがる人々と軽蔑されても構わない、私はリヴァイアサンを必要としているのである。しかし、平然と存在するものの歴史を知ったり、利点と欠点を考える時間は有益だろう。 地方で切符を切って頂いた時には「旧態然」であり機械化する以前の、やりとりの源流に触れた気がした。筆者が自動改札機を恐れるのも分かるし、機械化された利用者が不気味に映るのも致し方ないと思う。 現在でファシストの指導者といえば、ヒトラーの他に、ムッソリーニ、そしてスターリンであり、全体主義と権威主義は大衆につきもので、思想が保守主義者であれ進歩主義者であれ社会主義者・社会改良主義者であれ陥るもので、小さなコミュニティから国家に至るまで、大衆が求めればファシズムはやってくるだろう。それを打ち破るものと言えば「疑問を感じること」そして「寛容であること」で、健全な民主主義の機能を維持する事だと思う。

Posted byブクログ

2019/03/01

タイトルに惹かれて購入。 一言で言うと、題名とコンセプトに比べて内容がやや残念。著者も引用しているようにエーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」を彷彿とさせる内容で、自由と権力の問題に果敢に切り込んでいる。 と、そこまではいいのだけど、全体的に深め方が浅いのか、なんとなく陰謀論的な...

タイトルに惹かれて購入。 一言で言うと、題名とコンセプトに比べて内容がやや残念。著者も引用しているようにエーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」を彷彿とさせる内容で、自由と権力の問題に果敢に切り込んでいる。 と、そこまではいいのだけど、全体的に深め方が浅いのか、なんとなく陰謀論的な記述が多いように思えてしまったし、著者の熱が伝わりすぎて逆にそれが内容に冷静さを持たせることを邪魔してしまったような。 岩波新書っぽくないかな、正直。悪くはない本だけど、敢えて誰かに進めるということもない本。

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2019/01/18

タイトルが秀悦。おかげさまで落胆は大きかった。 一般的に「安心」はいい、「ファシズム」は悪い状態という認識が共有されている。なのに、その二つが結託するのはどういうメカニズムなのか。悪いとされているファシズムがどう人々に安心をもたらしているのか。これを社会科学的なアプローチで説明...

タイトルが秀悦。おかげさまで落胆は大きかった。 一般的に「安心」はいい、「ファシズム」は悪い状態という認識が共有されている。なのに、その二つが結託するのはどういうメカニズムなのか。悪いとされているファシズムがどう人々に安心をもたらしているのか。これを社会科学的なアプローチで説明しているのではないかと期待してしまった。まあ、期待しすぎでした。フロムは引いているけど。各章での議論は焦点がぶれぶれで不満ぶちまけっていう感じのところもある。 そもそも全体を通してファシズムというより広義の権威主義を扱っている印象(ざっくりした印象としてファシズムは権威主義のサブカテゴリでは。詳しくない。誰か教えて)。用語の定義もされていないので不明瞭な部分が多い。 星二つあげるのは、扱っているトピックは面白かったこと、フロムやっぱり読みたいなぁと思わせてくれた点から。生まれてこのかた自動改札を利用してきたもので...。監視カメラの話も合わせて、監視の目線が内在化した現代人ですね私もと思いました。(それならフーコーとか引けばいいのにって悶々としていた) にしてもちょっと残念!

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2018/10/28

【由来】 ・「民族とネイション」のamazon関連本。 【期待したもの】 ・ナショナリズムについてのシントピカルによさげ。 ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・...

【由来】 ・「民族とネイション」のamazon関連本。 【期待したもの】 ・ナショナリズムについてのシントピカルによさげ。 ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・

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2018/05/27

フロム『自由からの逃走』に『1984』を混ぜて自身のイデオロギーを語るという「やりたいこと」は理解できるが、全体的に浅くて稚拙。 「監視カメラの心理学」なんて章があるのを見つけてフーコーなんかに絡めて書かれていると勝手に勘違いして読み始めた自分もあれだけど、呆れるほど浅い内容で...

フロム『自由からの逃走』に『1984』を混ぜて自身のイデオロギーを語るという「やりたいこと」は理解できるが、全体的に浅くて稚拙。 「監視カメラの心理学」なんて章があるのを見つけてフーコーなんかに絡めて書かれていると勝手に勘違いして読み始めた自分もあれだけど、呆れるほど浅い内容でマジ呆れた。心理学のかけらもなく、ただ被害者意識を全開にしてるだけで、過度の一般化も中学生レベル。 あらゆる公権力に反対する、という姿勢もここまで教養なく語られると「落書き」レベルでしかない。オワタ。

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2015/11/02

他人の指図だけは受けたくないと強く願っているわたしとしては、最近の安倍内閣を支持する人々が全くもって理解できず、「なぜ、そんなに支配されたがっているのか?!」と悶々としていた時に、ふと、いつものブックオフで見つけた本。 副題は、「支配されたがる人びと」!!! まさにその時のわた...

他人の指図だけは受けたくないと強く願っているわたしとしては、最近の安倍内閣を支持する人々が全くもって理解できず、「なぜ、そんなに支配されたがっているのか?!」と悶々としていた時に、ふと、いつものブックオフで見つけた本。 副題は、「支配されたがる人びと」!!! まさにその時のわたしの悩みにジャストミートであった。読んでみて、この本が書かれた2004年にはもう既に2015年いま現在の路線が決まっていたのであった。現状に照らして、深くふかく納得… 同時に読んでいたノーベル賞受賞者クリック博士の「DNAに魂はあるか」の結論にぴったりマッチしていたのには驚いたし、希望が持てた。ぜひ皆に読んで欲しい! Mahalo

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2022/06/01

戦後60年を間近にして、という頃の本。 それよりもう10年ぐらい前は、「デモをするだけで平和が来るなんて、甘い夢など見ちゃいねえさ」と忌野清志郎は歌っていた。 現在は、デモよりサザンのほうが民主的だとか、民主主義なので最終的には多数決で決めるとか、そういうことを仰る方々も...

戦後60年を間近にして、という頃の本。 それよりもう10年ぐらい前は、「デモをするだけで平和が来るなんて、甘い夢など見ちゃいねえさ」と忌野清志郎は歌っていた。 現在は、デモよりサザンのほうが民主的だとか、民主主義なので最終的には多数決で決めるとか、そういうことを仰る方々もいる。 10年ほど前、世の中の「雰囲気」はどうだっただろうか。 「自己責任」論を唱える人たちの、尋常でない視点の高さが指摘されている。 自動改札や携帯電話も、いまほど統合が進んでいないが、ちょうどSuica専用改札が登場した頃だ。携帯との一体化で、巨大なシステムに操られ(ると思わず、むしろ心地よく感じ)る時代がくる、と。 憲法は、戦争よりもむしろ心の教育、というあたりが論じられている。滅私奉公的雰囲気をつくる社会のこと。 監視カメラについて。飛行機の速度=0なら、飛行機は動かない。人間の自由=0なら、人間は罪を犯さない。 (でも、監視カメラは抑止になっているのか? 監視されていることを理解している人には抑止になっているかもね) 10年後の目で読むと、慧眼といえるかもしれないが、でも当たり前のようにも見える。もう、10年前がどうだったか、自分にもわからなくなっているのだ。 ファシズムは、そよ風とともにやってくる。10年前というのが、すごく昔のようにも感じるし、つい昨日のことのようにも思える。 ただ、10年前よりも、支配されたくない、と言っている人は増えている、ような気がする。それも、操られ、なのかどうかはわからない。 10年後はどうなっているか。どうしたいか。僕は年々、したいことの増加以上に、どっちだっていいことが増えた。10年も経つと、この心境は、他者への無関心へと繋がって、やがては(相容れない人に徹底的に無理解な)ファシズムへつながってしまうのかもしれないなあ、などと考えている。考えるだけマシだろう。

Posted byブクログ