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平家物語 の商品レビュー

4.2

15件のお客様レビュー

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記物語の代表作である…

記物語の代表作である。この作品がいまだに価値を持つのは、実に様々な人々の生き方を活写しているからである。平清盛、木曽義仲、源義経ら主人公はむろんのこと、滅び行く平家一門でもその生き方・滅び方は様々である。清盛はいつも大悪党である。宗盛はいつもかっこ悪い。知盛はいつも涼やかで、教経...

記物語の代表作である。この作品がいまだに価値を持つのは、実に様々な人々の生き方を活写しているからである。平清盛、木曽義仲、源義経ら主人公はむろんのこと、滅び行く平家一門でもその生き方・滅び方は様々である。清盛はいつも大悪党である。宗盛はいつもかっこ悪い。知盛はいつも涼やかで、教経はいつも激しい。彼らの強い印象を忘れる事はできないだろう。

文庫OFF

2022/10/28

戦後の歴史学を領導してきたひとりである著者が、文学作品としての『平家物語』について考察をおこなっている本です。 著者は「あとがき」で、『平家物語』にえがかれている治承・寿永の乱の歴史について研究をおこなっているときに、「いつもこの物語のことが念頭にあってはなれない」と語っていま...

戦後の歴史学を領導してきたひとりである著者が、文学作品としての『平家物語』について考察をおこなっている本です。 著者は「あとがき」で、『平家物語』にえがかれている治承・寿永の乱の歴史について研究をおこなっているときに、「いつもこの物語のことが念頭にあってはなれない」と語っています。そして、すでに江戸時代から『平家物語』の記述が歴史上の事実そのままではないという指摘がおこなわれてきたことに触れつつ、「平家物語を独立の物語=文学として正しく理解する努力を自分でやってみてはじめて、歴史の研究者は平家のもつ力から解放され、平家物語を全体として歴史研究のなかに生かすことができよう」と述べています。 著者は、平氏の滅亡へといたる道筋をえがいた『平家物語』の運命観に注目しながらも、歴史のなかに生きる人間たちの種々相が「物語」のかたちであつかわれているところに、その文学的な生命を見ることができることを主張しています。また、貴族の信濃前司行長によって原作が生み出され、琵琶法師によって音曲に乗せられて語られることになったこの作品の「語り物」としての性格に注目し、『平家物語』がどのような歴史的条件のもとで生まれ、人びとに受け入れられていったのかということについて考察を展開しています。 著者は歴史学者ですが、それだけいっそう「文学」としての『平家物語』の輪郭を外から明瞭にえがき出すことに成功しているように思います。

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2020/09/20

日本を代表するマルクス主義歴史家による平家物語論。「保元」や「平治」にはない平家のスケールをその戦乱の規模から論じたり、平家物語の増補過程を琵琶法師と貴族・民衆との関係性から論じたりする点は、石母田のマルクス主義的史観の面目躍如だろう。

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2014/08/10

作者の登場人物の捉え方がおもしろくて、平家物語への理解が深まりました。特に、平知盛。前から登場人物の中で1番好きだったけど、どうして好きなのか、説明してもらえました。 西行や鴨長明といった同時代の遁世者と比較して、平家物語の作者の「人間」に対する興味と愛情を論じていますが、それは...

作者の登場人物の捉え方がおもしろくて、平家物語への理解が深まりました。特に、平知盛。前から登場人物の中で1番好きだったけど、どうして好きなのか、説明してもらえました。 西行や鴨長明といった同時代の遁世者と比較して、平家物語の作者の「人間」に対する興味と愛情を論じていますが、それは同時に石母田正氏のそれと通じるものがあるような気がしました。それこそが、1957年に出版されたこの本が読み次がれている理由なのでしょう。

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2014/02/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内容はともかく、語り口が面白く思わず笑ってしまったり唸ったり。例えば私たちは歴史上の人物や事件について、「これって当時でもあまり評価できないことしてるんじゃ…」と思っても「まあ昔のことだし、今の我々には理解できないこともあるかもね」と評価を留保することがほとんどだと思うけど、石母田正はきっぱり「いつの時代だろうと、堕落は堕落!」と言い切ってしまう。言い切るのが面白いし気持ちよい。それももしかしたら良くないのかも、と思わないでもないけど、文学論としてならアリかも。

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2014/02/05

昔の本なので、さすがに現在の研究の水準から見て満足できる内容ではないかもと思いながら読み始めましたが、反して現在でもかなり通用しそうな良い内容でした

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2013/11/06

『平家物語』研究の基礎文献です。本来、歴史研究者である石母田正が書いた作品論です。これを読まずに「平家」は語れません。『平家物語』の物語の進行にそって、その内容を歴史社会学派の立場で論じていきます。

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2012/05/07

大学時代に木下順二の『子午線の祀り』に大感動して手にとりました。日本古代史、中世史の研究者による解説書です。大河ドラマのおともに!

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2011/10/23

平家物語という文学を文学史の中で捉えなおした史学的文章であるような印象を受けた。 私が根本的な興味を抱いてるのは「平家物語に描かれた平家」ではなく歴史の史上の人物としての平家一門だけれども、「史」としての彼らだけでなく、平家が人々にどのように捉えられていたのか、平家の滅亡が人々の...

平家物語という文学を文学史の中で捉えなおした史学的文章であるような印象を受けた。 私が根本的な興味を抱いてるのは「平家物語に描かれた平家」ではなく歴史の史上の人物としての平家一門だけれども、「史」としての彼らだけでなく、平家が人々にどのように捉えられていたのか、平家の滅亡が人々の中でどのように消化されていったのかという「歴」の点に関連して、平家物語に対して新たな興味を抱くことができた。良書。

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2011/05/21

[ 内容 ] すぐれた古典文学のひとつである平家物語は何故に長くかつ深く日本人の心をとらえてきたのか。 その力は一体どこにあるのか。 歴史家でかつ古典文学を深く愛好する著者が、時代についての学問的造詣と清新な感覚によって、平家物語の文学としての本質を追究し、登場人物とその運命を生...

[ 内容 ] すぐれた古典文学のひとつである平家物語は何故に長くかつ深く日本人の心をとらえてきたのか。 その力は一体どこにあるのか。 歴史家でかつ古典文学を深く愛好する著者が、時代についての学問的造詣と清新な感覚によって、平家物語の文学としての本質を追究し、登場人物とその運命を生きいきと描く。 [ 目次 ] 第1章 運命について(新中納言知盛;生への執着 ほか) 第2章 平家物語の人々(平清盛の遺言;平家物語の保守的政治思想 ほか) 第3章 平家物語の形式(平家には性質のちがった物語が集成されていること;年代記的叙述の分析 ほか) 第4章 合戦記と物語(橋合戦;作中人物への共感 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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