軍事情報戦略と日米同盟 の商品レビュー
21世紀に入った現在、米国の軍事覇権は多くの衛星を必須の部分として含む情報通信システムにますます依存するようになっている。衛星を中枢とする部分は軍事宇宙システムと呼ぶことができそれはグローバルでリアルタイムな軍事情報の収集・送受信を可能にし、戦力を劇的に強化してきた。(中略)冷戦...
21世紀に入った現在、米国の軍事覇権は多くの衛星を必須の部分として含む情報通信システムにますます依存するようになっている。衛星を中枢とする部分は軍事宇宙システムと呼ぶことができそれはグローバルでリアルタイムな軍事情報の収集・送受信を可能にし、戦力を劇的に強化してきた。(中略)冷戦後、軍事宇宙システムの役割は、早期警戒・統合戦術警戒・攻撃評価、天候。環境モニター、衛星通信、監視・偵察、航行誘導・位置確認、そして宇宙空間支配などに拡大している。(中略)様々な兵器システムの統合的、総合的な運用能力に依っている。新たな戦闘様式は情報通信技術、センサー技術、長距離精密誘導兵器を有機的に組み合わせ、「戦場の霧」を晴らし、集権的な指揮・統制を可能としつつある。1996年に、米統合参謀本部は「統合ビジョン2010」を発表して、支配的軌道、精密交戦、全次元防護、効率的平坦を特徴とする「軍事における革命(RMA)」を目指すことを明らかにし、RMA路線を強化してきた。しかし、国防費が大幅に削減されるなか、RMAの具体的内容や優先順位について「総論賛成、各論反対」の様相が強まった。ブッシュ政権のラムズフェルド国防長官は政権発足直後、国防費を大幅に増額する予算案を作成したが、民主党が上院の過半数を有するなか、そのままの成立は困難な様相を呈した(もっとも、2001年9月の同時多発テロによって劇的に脅威感が高まり、米会議は大幅な国防予算の増加を認めた)。つまり、陸海空、三軍の軍事官僚組織は冷戦時代からの軍備という形に具現される既得権益を守ろうとして、兵器調達政策の大幅な変更を拒み続けている。真のRMAはなかなか現実されそうにない。軍事宇宙システムにおける衛星の枢要性を考えると、新たな衛星の調達・配備問題はRMAの成否を左右する。
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