文学の徴候 の商品レビュー
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-20090731 著者は、ラカン研究者の宮本忠雄が提唱する「エピパトグラフィー」を、作家の創造行為の中の病理的表現を個人の病理としてでなく、その関係性から考え ようとした点で画期的だったと評価し、作家個人の人間関係だけでなく、作家と作品、作家と共同体、作家と社会といった様々な関係性が、創造の孵卵器としての環境に転ずると、本来は健常であった作家の作品が、病理的なエレメントをいっぱい孕んだものへと変質する。その一種の相互作用に似た仮説的な場を「病因論的ドライブ」と呼ぶ。
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この本はただの書評じゃない。精神科医から見た、精神分析的な見地からの書評で、それを書いた著者の心理そして登場人物の心理まで推測する。これは作品のいい悪いではなく、あくまで心理的な立場で分析する画期的な書評なのです。
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