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すべての小さきもののために の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2016/05/14

サマーズさんの「あれは命だよ、坊や。雌牛の形をした命だ」と言った言葉は、決して雌牛のことだけを指している訳じゃないんだろう。子どもから大人になるまでの間に、虫も殺したこともないって人はあまりいない。人は人を殺すとその理由に関わらず罪になる。でも、人は人に対して命を奪わない殺生をす...

サマーズさんの「あれは命だよ、坊や。雌牛の形をした命だ」と言った言葉は、決して雌牛のことだけを指している訳じゃないんだろう。子どもから大人になるまでの間に、虫も殺したこともないって人はあまりいない。人は人を殺すとその理由に関わらず罪になる。でも、人は人に対して命を奪わない殺生をすることがある。自分が優位に立つため、自分を守るため、相手が気に入らないため、いろんな自分勝手な理由で。食べるため以外の殺生だ、社会的な抹殺っていうか。デブは結果的に私欲のために自らの命を失うけど、天敵がいなくなったボビーはその後、幸せに暮らせるのかな?優しい人たちとだけ接することができたり、あるいはできるだけ人と関わらずに暮らすことができるのなら、人畜無害でいられるかもしれない。でも、生きることに必死だったら正直、難しいなぁと思う。オイラもまともに生きているつもりだけど、たくさん人を傷つけているし、オイラのことが大嫌いって人もたくさんいると思う。デブみたいにはなりたくないけど、ボビーにもなりたくない。あっ、でもボビーは大金を手にしたんだっけ・・・そうかぁ、ひとりは寂しいけどそれもありかも。

Posted byブクログ

2016/04/12

 “あの日、それはみんな魔法っぽかった―”  幼いころの事故がもとで成長が遅れ、無垢な心をもったまま大人になったボビー。義父の虐待を逃れコーンウォールの森に迷い込んだ彼は、車に轢かれた小動物の埋葬をする小さな人間サマーズと出会う。彼の手伝いをしていく中で、ボビーが学んでゆく大切...

 “あの日、それはみんな魔法っぽかった―”  幼いころの事故がもとで成長が遅れ、無垢な心をもったまま大人になったボビー。義父の虐待を逃れコーンウォールの森に迷い込んだ彼は、車に轢かれた小動物の埋葬をする小さな人間サマーズと出会う。彼の手伝いをしていく中で、ボビーが学んでゆく大切な事とは何か。  「あれは命だよ、坊や。命だ」  学校にも通ったことが無いボビーには、難しい話は分からない。でもそれは絶対に知らなければならない事、そして忘れてはいけない事。一緒に生活しながらサマーズが教えてくれる、生死の授業と三つの約束。  「人生が長く、暗く、湿った午後のように感じられ、死にたくなった」  虫、猫、馬、そして人間。みんな等しく生きているはずなのに、その命の重さが違うように感じられるのは何故か。存在を粗末にする人間に対し怒りに震えるサマーズが、今の仕事を始める理由となった悲しき過去。  「死んだ人たちはもどってこない。でも朝がくるときは、いつもうれしい」    新たな生活を始めたボビーに、やがて逃れたはずの義父の手が迫る。強さと憂いを知ったボビーに迫られる、彼が下すべき決断とは。生と死が直接的に示されるこの物語の結末も、その事柄なしには語られない。  『コーンウォールの森へ』という邦題で映画化もされている本作。終始主人公の視点で語られるこの小説は、寓話のように不可思議で純朴な語り口でありながら、そのストーリーは現実のように残酷。生きるということについて読者に真っ直ぐに問い掛けるこの物語を、すべての小さき僕らのために。  そんなお話。

Posted byブクログ

2009/10/07

「人間たちは生きものを殺す。わたしは埋める。ハリネズミや小鳥やカエル、それにカタツムリだって」森で出会った小さな人は言った。とてもイノセントな物語。小さい頃の事故が元で知能の進みがゆっくりな主人公ボビーは、母の再婚相手からの嫌がらせから逃れて家を出て、森で出会った小さな人・・・車...

「人間たちは生きものを殺す。わたしは埋める。ハリネズミや小鳥やカエル、それにカタツムリだって」森で出会った小さな人は言った。とてもイノセントな物語。小さい頃の事故が元で知能の進みがゆっくりな主人公ボビーは、母の再婚相手からの嫌がらせから逃れて家を出て、森で出会った小さな人・・・車にはねられた小さな生きものたちを埋葬するサマーズさんと一緒に仕事をすることにした。

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2009/10/04

義父の虐待から逃れて森の中にやってきた主人公が、「小動物の埋葬」という仕事を通して少しずつ自立していくというお話です。人間の文明のために犠牲にされがちな小さきものへの愛情、そういうものに無神経な人々への怒りがお話のベースにあります。どんな小さな生き物にも生命としての尊厳があるのだ...

義父の虐待から逃れて森の中にやってきた主人公が、「小動物の埋葬」という仕事を通して少しずつ自立していくというお話です。人間の文明のために犠牲にされがちな小さきものへの愛情、そういうものに無神経な人々への怒りがお話のベースにあります。どんな小さな生き物にも生命としての尊厳があるのだということをこの本は教えてくれます。・・・でもこの本、こういう結末でいいのかな??勧善懲悪もやり過ぎては内容が薄っぺらくなるようで、ちょっと残念に思います。

Posted byブクログ