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ミシェル城館の人(第2部) の商品レビュー

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2022/03/18

フランス王室と宗教戦争の行方がますます混迷をきわめるなか、ミシェルはボルドー高等法務院裁判官の職を辞してモンテーニュの塔の一室をわが城とし、いよいよ『エセ―』の執筆を始める。 エセ―とは、随想であり試みの意であるという。ここでミシェルがおそらくヨーロッパ世界で初めて試みたこととは...

フランス王室と宗教戦争の行方がますます混迷をきわめるなか、ミシェルはボルドー高等法務院裁判官の職を辞してモンテーニュの塔の一室をわが城とし、いよいよ『エセ―』の執筆を始める。 エセ―とは、随想であり試みの意であるという。ここでミシェルがおそらくヨーロッパ世界で初めて試みたこととは、自らを研究対象とすることであった。「ク・セ・ジュ(われ何をか知る)」というモンテーニュの言葉は「懐疑主義」と一般に言われているが、それは、わたしが本書を読むまで想像していたような、すべてを疑い自らが恃みとする理性の力で「真理」を明らかにしていこうとするような重く暗く硬い思想のことではなかった。それはむしろ、どこまでも明るく軽やかで肯定的な視点だ。身体の喜びを否定せず、矛盾だらけでうつろいやすい自分を面白がり、絶対的な正義の基準をふりかざして他人を断罪したり自らを枠にはめることを避けようとする姿勢(裁判官だったのに!)。それが「中庸」という言葉の意味することなのだった。 あいかわらず16世紀のフランス・ヨーロッパの政治情勢をまるで今起きていることの世間談義のように語りつつ、『エセ―』の中身へと誘ってくれる堀田善衛の筆の見事さ心地よさよ。

Posted byブクログ

2020/04/09

「ミシェル城館の人 第二部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.11.25 495p ¥880 C0193 (2020.04.09読了)(2013.09.24購入) 副題「自然 理性 運命」 単行本は、1992年4月に刊行。 【目次】 第一章 ~ 第二十五章 覚書 解説  菅野昭...

「ミシェル城館の人 第二部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.11.25 495p ¥880 C0193 (2020.04.09読了)(2013.09.24購入) 副題「自然 理性 運命」 単行本は、1992年4月に刊行。 【目次】 第一章 ~ 第二十五章 覚書 解説  菅野昭正 ☆関連図書(既読) 「王妃マルゴ」アレクサンドル・デュマ著・鹿島茂訳、文芸春秋、1994.12.20 「広場の孤独」堀田善衛著、新潮文庫、1953.09.25 「インドで考えたこと」堀田善衛著、岩波新書、1957.12.19 「キューバ紀行」堀田善衛著、岩波新書、1966.01.25 「ゴヤ 第一部」堀田善衛著、新潮社、1974.02.15 「ゴヤ 第二部」堀田善衛著、新潮社、1975.03.20 「ゴヤ 第三部」堀田善衛著、新潮社、1976.03.20 「ゴヤ 第四部」堀田善衛著、新潮社、1977.03.25 「スペイン断章」堀田善衛著、岩波新書、1979.02.20 「情熱の行方」堀田善衛著、岩波新書、1982.09.20 「スペインの沈黙」堀田善衛著、筑摩書房、1979.06.20 「方丈記私記」堀田善衛著、ちくま文庫、1988.09.27 「時代と人間」堀田善衛著、日本放送出版協会、1992.07.01 「バルセローナにて」堀田善衛著、集英社文庫、1994.10.25 「路上の人」堀田善衛著、新潮文庫、1995.06.01 「上海にて」堀田善衛著、ちくま学芸文庫、1995.11.07 「ミシェル城館の人 第一部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.10.25 (「BOOK」データベースより)amazon 城館にこもったモンテーニュはどのように思索の日々をおくったのか。想像を絶する冬の寒さ、夜の暗さの中、孤独を愛し、病に悩まされつつも、「エセー」初版を刊行する。自然、理性、運命の三要素と正面から向き合う彼の内面劇を緻密に描きつつ、中世ヨーロッパを読者の目の前に現出させる。和辻哲郎文化賞受賞。

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