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びっくり そっくり しゃっくり ようかん の商品レビュー

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2009/10/04

この物語は、'04年3月に毎日新聞に掲載された連載童話が一冊の本にまとめられたものである。 まん丸にふとっていることから「まるちゃん」とあだ名された山中小学校の校長先生は、子供達と一緒になってにこにこと遊んでくれる人気の校長先生。しかし、そんな先生が最近は校庭の巨木を眺...

この物語は、'04年3月に毎日新聞に掲載された連載童話が一冊の本にまとめられたものである。 まん丸にふとっていることから「まるちゃん」とあだ名された山中小学校の校長先生は、子供達と一緒になってにこにこと遊んでくれる人気の校長先生。しかし、そんな先生が最近は校庭の巨木を眺めながら溜息ばかり。 そんな先生を元気づけようと、甘党であることを知っていた太一は「栗ようかん」を持ってきてあげる!と励ます。 太一の家は古くから続く和菓子屋であり、その四代目となる予定なのが太一なのだ。 太一の励ましにぱっと顔をほころばせる先生に、太一は続けて言う。 おじいちゃんが研究している新作の栗ようかんを食べて欲しいと。 実はこの新作のようかんは、太一が去年物置で偶然見つけたひいおじいさんの帳面に書かれた方法にのっとり、作ろうとしているようかんなのだ。 そのひいおじいさんの帳面には、そのできあがったお菓子は「びっくり」「そっくり」「しゃっくり」になると書いてあったが、いったい何のことなのか、食べてみるまで分からなかった……。 太一はそれまでと違った立場に置かれることで、今までの自分が何をしてきたのかと言うことを考え、自分が採る行動によって結果が生じると言うことを知る。また、校長先生は枷となっていた立場や体や視点から一時解放されることで、それまで内に籠めていた想いを行動に移す事が出来るようになる。 この二人のでこぼこコンビぶりがほほえましく、また、ラストでは校長先生を中心とした物語の展開になっており、冒頭にさり気なく描かれていた伏線が結びつく様が読んでいてしっくりときた。 この物語の主役は、多分太一ではなく校長先生なのだなぁと。 あとがきにて、著者は語る。この不思議なお菓子は本当にある、と。 その後に続く言葉からは、まずは自分で見つけようと言う姿勢が無くては変らないのだよ、と言われているように感じられた。

Posted byブクログ