アメリカは日本をどう報じてきたか の商品レビュー
アメリカの新聞記事を用いて、主として開国の頃から第二次世界大戦のアメリカにおける日本報道を説明する。 著者はロサンゼルスに長く在住している人物で、取り上げる新聞もLAの物が多い。 お茶や雑貨の輸入や文化的な交流といった軽い話題から、一旗揚げようとする若い男性や売春婦のアメリカ流...
アメリカの新聞記事を用いて、主として開国の頃から第二次世界大戦のアメリカにおける日本報道を説明する。 著者はロサンゼルスに長く在住している人物で、取り上げる新聞もLAの物が多い。 お茶や雑貨の輸入や文化的な交流といった軽い話題から、一旗揚げようとする若い男性や売春婦のアメリカ流入、といった日本の貧しさを感じさせる展開に。 これが日露戦争後に一変し、農民として定着した移民が成功し根を下ろし始めたのと期を一にして、日本人は助力が必要な弱者ではなく、むしろ太平洋の西岸に存在する脅威、西部の土地を買いあさる侵入者として捉えられるようになっていく。 「悪の国家の軍事的な脅威」「成り上がりものの異人種」への批判は安手なマスコミの好むところで、新聞は日本批判のキャンペーンを張り、また対日批判をライフワークとする活動家も生まれるようになった。 ハースト系のLAエグザミナー、それに加えてLAタイムズといった西海岸の新聞が主に紹介されている。 西部で発生した日系移民批判、そして教育の分離、土地所有制限といった差別的政策は当時の日本人を激怒させ、日本人の対日イメージを大きく悪化させていく下りは大変やるせないものだった。 本書では、この後戦争直後のあたりまで扱って締めるのだが、外交や戦闘といったテーマの紹介が多く、本題の報道についてはかなり分量が少ない。 戦争の前後については、ジョン・ダワーのような専門家の本を読めばいいよね。 図書館の蔵書
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