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夏の約束 の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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繊細な文章で描かれる…

繊細な文章で描かれる日常。重い題材ながら、暗くなりすぎないのがいい。芥川賞受賞作。

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きれいな文章にさすが…

きれいな文章にさすが芥川賞と感心しました。社交辞令的な約束について考えさせられました。約束は果たすためにするんですよね。現実は違うことが多いけど・・・

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ゲイが出てくる作品も…

ゲイが出てくる作品も入っていたので社会のことを考えさせられた

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みんなが労りあってい…

みんなが労りあっているような優しいお話です。でも、決して甘っちょろい物語ではありません。登場人物たちが、本当の気持ちを直接的に読者に明かさない(これは、藤野さんのスタイルのように感じます・・)のが、なんだかすごく切ない。

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2編収録されてます。…

2編収録されてます。表題作は芥川賞受賞作。気軽にスラスラ読めるのに書かれているテーマは深いです。考えさせられる良書です。

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ジェンダー問題など考…

ジェンダー問題など考えさせられる部分もある作品。芥川賞受賞作。

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芥川受賞作としては読…

芥川受賞作としては読まず。ビアン系が多く手許にあるのでゲイ系を探してみた。暗く殺伐としたものではなく爽やか。そしてヒカルがどこまでもカワイイ。

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芥川賞受賞作です。テ…

芥川賞受賞作です。テーマは重いけど気楽な登場人物たちに好感が持てます。主人公は食べすぎ(&太りすぎ)だと思う。

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表題は芥川賞受賞作品…

表題は芥川賞受賞作品。ジェンダーの問題も絡んでいますが、重すぎずバランスが丁度良いです。

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2024/06/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夏の約束 著者:藤野千夜 発行:2003年2月15日 講談社文庫 「夏の約束」:初出「群像」1999年12月号、単行本2000年2月 「主婦と交番」:初出「東京小説」2000年4月(紀伊国屋書店刊) 3年前に単行本で出版された「じい散歩」が最近文庫化され、売れているらしい。僕は去年、「団地のふたり」という短めの長編小説を読んだが、なかなか面白かった。じい散歩を読むつもりだが、その前に藤野千夜という人がどういう小説を書く人なのか、四半世紀近く前に芥川賞を受賞した「夏の約束」を読みたくなった。 「夏の約束」 第122回(1999年下期)芥川賞受賞 たぶん、主人公は松井マルオ。29歳で新宿副都心の高層ビルに入る会社で働く。昭和の人気力士だった増位山似の男性で、身長175センチ、体重95キロ。なぜ太ったかという高校生の頃の経緯も書かれている。 それに対し、フリー編集者の三木橋ヒカルは小柄のようだ。2人はゲイカップルで、ヒカルが「おねえ」だという表現を使っている。20世紀末に書かれた小説、今とのLGBTに対する感覚の違いも少し感じられる。言うまでもないが、この小説はそうした問題について最先端の理解者でもある。 この2人、一緒には住んでいない。お互いの家に泊まったりするが、一緒に住むという話題もたまに出るけれど、「そんな気ないくせに」という言葉を返すなど、なんか距離感がすごくいいのである。ヘテロ(男女)の恋人カップルでも距離感のいいカップルがいるけれど、この2人は結構、心地良い。「好きだ」というのも、あっさりとたまにしか言わないが、それもほどよい感じ。 岩淵のぞみは24歳のOLで、会社での人間関係がうまくいかず、不満を持って暮らしている。田辺菊江と仲良し。彼女は25歳の売れない小説家で、三木橋ヒカルとは幼なじみ。この4人は、よく会っていて、今度キャンプに行こうという話になるが、マルオも行こう行こうといいつつ、いい加減にしか聞いていない。 岡野さんという女性は、マルオが住む家の1階に住んでいて、マルオとヒカルが手をつないで歩いているところを何度も見ており、マルオがゲイであることを知っている。岡野さんは会社の上司と不倫をしていたが、それがバレたら遠ざかられてしまった。 平田たま代は、男→女のトランスジェンダーで、オスなのにアポロンという名の犬を買っている。叔母さんが経営する美容院で美容師をしていて、ヒカルの髪を切っている。 こんなメンバーがなんということのない日々を過ごす。最後、少し事件はあるが、ストーリー的に大きな展開ではない。各人の人生の背景のようなものが語られていく、そちらが主題であり、性的マイノリティーとそうでない人との、表だった対立があるわけではないが、相容れない、不寛容な部分を柔らかくえぐっていくような、さらにいえば、菊江の兄の弱々しい幼少期の話などが語る障害者などのマイノリティーの問題なども意識させられる小説。一見、なんということのない短い話の中に、複雑に弱者やマイノリティーの問題をからめている文学作品だった。 主婦と交番 29歳のなつ美(専業主婦、夫はスポーツ新聞社に勤めて単身赴任中)は、小2の娘・美加から、ある日、どうして交番に女性がいないのか、という質問をされる。交番に興味などなく、まともに見たこともなかった彼女だったが、買い物のついでに見てみると、いろいろと見えてきた。ピーポくんというぬいぐるみが置いてあることを知る。彼女はそれを「ピーポーくん」だと思っていた。サイレンからとっているのだろうと。しかし、ピーポだと娘から指摘される。 杉並区に住む彼女は世田谷区の境界に近く、各2箇所ずつの交番に足を運び、観察するようになる。そして、娘から警視庁に行きたいといわれる。交番に張ってあるピーポくんが、ポスターで警視庁の見学ができると案内していた。 彼女は乗り物に乗れない。高校生の時に、人身事故の車両に乗り合わせ、人が轢かれた様子を勝手に想像し、満員電車の中で吐いてしまい、その体験が尾を引いていて狭い乗り物に入ると気分が悪くなった。警視庁の見学にいくと、エレベーターの中で吐きそうになり、緊急で降りることに。1階で乗り、5階へ行くのに、3階で緊急停止。階段で上がると言ったが、案内の警察官にそれはだめだと言われる。すべて団体行動で見学してもらう、と。見学辞退を申し出たが、それもだめだと。全員の見学が中止になる、とまで言われた。 そんな警視庁では、ピーポくんは、ピープルとポリスから命名していることを説明される。

Posted byブクログ