棟方志功 ヨロコビノウタ の商品レビュー
作品とその作品に沿う、時々の作家の心象をまとめた本。氏の作品を深く研究したことなどはないが、それぞれの言葉の中にいちいち極めて深い思いがあることがひしと伝わってきて、それらは決して軽々しいものではない。ありきたりの所感など書いても仕方ないと思えるほどだが、あえて言えば、いまさらな...
作品とその作品に沿う、時々の作家の心象をまとめた本。氏の作品を深く研究したことなどはないが、それぞれの言葉の中にいちいち極めて深い思いがあることがひしと伝わってきて、それらは決して軽々しいものではない。ありきたりの所感など書いても仕方ないと思えるほどだが、あえて言えば、いまさらながら、一人の人として、ここまで一つのこと、すなわち氏の場合は版画(あるいは氏の言う「板画」あるいは「板行」)というものにその命のすべてをかけて向き合う、というようなことができるものであろうかと、一凡人としては思うしかない。それはそれ自体がすでに偉業であり、やはり稀有のことであろうと思う。
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<棟方志功展>を観に行った。 大阪南港のATCミュージアムで開催されており、 近いことだし、おまけに招待券が手に入ったことだし、出かけない手はないと。 6年前、東北を旅した際も、 生誕の地、青森の棟方志功記念館を訪ねているので、 直に作品に触れるのはこれが初めてではないが、 その記念館でも、所蔵作品の内、1/4ずつを 四季ごとに展示換えしているとのことだったから、 まだ見ていない作品にも お眼にかかることができるという期待感もあった。 その期待どおり、 初めて相対する作品がいくつもあった。 とりわけ、志功曰く 「この版画で、はじめて、 まっ黒い身体の中に刀(とう)をあてて、 人間の身体を出す方法をつかみました。 わたくしはこの線をいかすことによって、 版画自体の根源的なものにふれてゆくことを 身の程にしたいと思いました。」と解説する 「鐘渓頌(しょうけいしょう) 全24柵」を拝めたのは収穫。 -志功は作品の一枚一枚を、~~柵と名づける。 版画ハ、 色デイエバ 金ヤ銀ノヨウナ、 色アッテ、 而モ無色ナモノデス。 ソレ程ニ微妙ナ 案配ノモノデス。 イクラ人ガ 出カソウトシテモ、 出来ナイヨウニ ナッテイルトコロニ、 版画ノ大キサガ アルノデス。 ダカラコソ、 生マレテクルノヲ 待チ遠シクシテイルノガ 嬉シイノデス。 ヨロコビモ、 オドロキモ、 カナシミモ、 湧イテ来ルヨウニ、 版画ガ湧イテ来マス。 有難イコトデス。
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