老人とカメラ の商品レビュー
赤瀬川原平のフォト&エッセイ集『老人とカメラ―散歩の愉しみ』を読みました。 このタイプの作品は昨年読んだ沢木耕太郎の『天涯』以来かな。 ------ カメラマニアの著者がとらえた日常にひそむどこか不思議な世界。 ページをめくるたびに現われるハッ!とする写真と絶妙なコメント。 思...
赤瀬川原平のフォト&エッセイ集『老人とカメラ―散歩の愉しみ』を読みました。 このタイプの作品は昨年読んだ沢木耕太郎の『天涯』以来かな。 ------ カメラマニアの著者がとらえた日常にひそむどこか不思議な世界。 ページをめくるたびに現われるハッ!とする写真と絶妙なコメント。 思わずふき出し、抱腹絶倒!おかしな看板や落書き満載。 ------ 1998年(平成10年)に刊行された路上観察の第一人者による写真と文のエッセイ集です。 愛用のカメラを片手に東へ西へ! ふと目にとまった珍妙奇妙な風景にレンズを向ける… 「写真は趣味に限る」という著者が、「面白い」被写体を見つけて撮ったユニークな写真コント集、、、 看板、壊れたトラック、屋根の上の動物など気になるものが続く… カメラ片手に散歩をすれば愉快な世間が見えてくる……。 日常の風景に隠されたユーモアを見つけ出す才能に驚きましたねー 散歩しながら撮影した写真とコメントが紹介されているのですが… 写真は、特別なものではなく、どこかの町の普通の風景やものなのに、どこか不思議でおかしな世界が見えてくるんですよね、、、 ページをめくるたびに次々と現われる謎の物件やおかしな看板、落書き等々と絶妙なキャプションに魅せられましたね… 愉しく読めました。
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観察眼を磨けばこういうものをみつけられるんでしょうか。それとも才能でしょうか。好奇心でしょうか。町中にあふれる面白くてちょっと不思議なものの写真と、それに対するコメント集です。 決して狙ったわけではなく自然に、偶然にできあがった「もの」。きっと大真面目に作られたのに思わぬ意味を持...
観察眼を磨けばこういうものをみつけられるんでしょうか。それとも才能でしょうか。好奇心でしょうか。町中にあふれる面白くてちょっと不思議なものの写真と、それに対するコメント集です。 決して狙ったわけではなく自然に、偶然にできあがった「もの」。きっと大真面目に作られたのに思わぬ意味を持ってしまった「もの」。写真をみてまず「!」「?」と感じ、文章を読んで著者の視点と感想に笑う。楽しいと同時に、自分とは全く違う著者の価値観の世界に近づけてくれます。普段動かしてない筋肉をストレッチするような気持ちよさと、違う自分になれたような高揚。こんな感覚で毎日を過ごせたらどんなにいいでしょう。 面白いものを見つけて、好きなものをくまなく観察して。生前のインタビューで仰っていた「見たことのないものを見たい」という気持ちがよくわかります。
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赤瀬川原平さんが散歩の途中、気になったものをパチパチ撮った写真集。恐らくほとんどの人が気にも止めず、通り過ごしてしまうであろう風景を切り取っている。 一枚づつに一ページ程度のエッセイがついているのだけれど、考えても見なかった視点からの語りにノックダウンされる。
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「週間小説」に連載されていた「路上写真 キョロキョロ堂」をもとに構成されたもの.「手がいつの間にかカメラを持っていて,足がいつの間にか散歩に出かける.そうして路上でぶつかったものを写真に撮りキャプションをつける」とこうなるのだそうだが,凡人には及びもつかない. 著者がいうように...
「週間小説」に連載されていた「路上写真 キョロキョロ堂」をもとに構成されたもの.「手がいつの間にかカメラを持っていて,足がいつの間にか散歩に出かける.そうして路上でぶつかったものを写真に撮りキャプションをつける」とこうなるのだそうだが,凡人には及びもつかない. 著者がいうように,歩いていると頭の独走を止めることができる.「路上で予想もしないものにぶつかり目を奪われる.目を奪われたときには頭がきょとんとしている.その頭のきょとん感が体には気持ちいい.で,カメラを構えてシャッターをパシン.頭が考えるのはそれから.写真を並べ変えたりあれこれ意味を考えてみたり.」頭がきょとんとしたところで考えずにシャッターを切れるか.まだその感覚はつかめない.頭がきょとんとしなければ散歩が足りないそうなので,ひたすら散歩に出てみよう. また著者は「自分が撮ってきた写真を眺めて自分の中での入選作品を決める.この作業は楽しく目が鍛えられる.」という.この感覚はよく分かる.デジタルになって写真を眺めることも容易になった.ネットを介することで同じ写真を違う場所で眺めることもできる.写真を眺めている文脈が変わればその印象も変わる可能性がある.「写真の良さというのは,案外隠れていたりする.はじめから出ていると思った良さが,だんだんでしゃばりに感じられてきたりもする.写真の並べ方によっても違う.」のだから,もっと自分の写真を繰り返し眺めることでトレーニングを重ねよう. さらに「写真に言葉(タイトル)をつける.そこでうまい言葉がつくとますます写真が輝くし,なかなかいいのがつかないと写真そのものもふにゃふにゃとしおれてきたりする.」という.これまでブログなどで写真にキャプションをつけることは意識していたが,タイトルはキャプションをまとめるような形で決めることが多かった.先にタイトルをつけてからキャプションを考えてみるのもいいトレーニングになる気がする.制約が厳しいタイトルを先につけてみよう.
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