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清沢洌評論集 の商品レビュー

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 大正・昭和にかけて…

 大正・昭和にかけて活躍した評論家清沢洌の在アメリカの若き日から戦時下、逼塞のなかにあった時代までの評論のいくつかまとめたもの。アメリカと戦うことなかれといい続け、当時にあってその批判の筆は価値あるものなのはもちろんであるが、感じ入るのは清沢の自由主義に対する思いであろうか。彼は...

 大正・昭和にかけて活躍した評論家清沢洌の在アメリカの若き日から戦時下、逼塞のなかにあった時代までの評論のいくつかまとめたもの。アメリカと戦うことなかれといい続け、当時にあってその批判の筆は価値あるものなのはもちろんであるが、感じ入るのは清沢の自由主義に対する思いであろうか。彼は自由主義こそが社会を進歩させると説く。私が理解するに彼の「自由」は主義というより知的態度、物事に臨む心構えと捉えてみると有益な言葉であろうと思う。その自由主義には学びたいが、それは骨の折れることでもある。清沢自身、進歩は石垣を一つ

文庫OFF

2015/05/17

戦前,戦中のジャーナリスト清沢洌の評論集.不勉強で知らなかったのだが,日経,朝日,報知で活躍した人らしい.今読んでみると,日本の立場についてちょっと身勝手な意見もあるように思うが,極めて真っ当で,当時としては相当勇気の必要なことを書いているのではないかと想像する.いや,こういう骨...

戦前,戦中のジャーナリスト清沢洌の評論集.不勉強で知らなかったのだが,日経,朝日,報知で活躍した人らしい.今読んでみると,日本の立場についてちょっと身勝手な意見もあるように思うが,極めて真っ当で,当時としては相当勇気の必要なことを書いているのではないかと想像する.いや,こういう骨太で真っ当なリベラルの人って,今いないんだよなあ.現在のこの状況って,なんでこうなっちゃってるんでしょうね.

Posted byブクログ

2013/12/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「たとえば現在、東京の大新聞は何れも水道からみみずが出るということについて、大袈裟に書きたっています。どの新聞を見ましても、それが最も重要な記事なっている。(中略)しかしこれに一体どれだけの社会性があるのでしょうか。何が重要で、数日に渡ってこんなことが東京の大新聞のタップを飾りうるのでしょうか。」(現代ジャーナリズム批判) 「水道水からみみずが出る」という部分をさしずめ「うなぎの産地が偽装である」とでも変奏すれば、そのまま21世紀の日本のジャーナリズム批判になりうる文章である。全編がこの如く現在に通用する、いやむしろ現代人こそ傾聴しなければならない哲学に溢れている。 半世紀以上も前の日本にこれだけ地に足の着いた思考をもった知識人があった事実を、我々は今一度噛み締めるべきだし、そうすることによって彼の鳴らした警鐘が如何に空しく響いたかについて思いをめぐらせて欲しい。

Posted byブクログ