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指先で紡ぐ愛 の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2016/11/07

福島智さんの奥様のエッセイ。旦那さまは東京大学助教授(当時)にして盲聾で、という「障害者の妻」の立場から書かれた一冊。 図書館で偶然見付けて福島さんの本も読みたくなった。 冒頭のシリアスさから一転、「おもろい夫婦」ぶりも、妻は夫の介助をして当然という考えに苦悩するくだりも、マスコ...

福島智さんの奥様のエッセイ。旦那さまは東京大学助教授(当時)にして盲聾で、という「障害者の妻」の立場から書かれた一冊。 図書館で偶然見付けて福島さんの本も読みたくなった。 冒頭のシリアスさから一転、「おもろい夫婦」ぶりも、妻は夫の介助をして当然という考えに苦悩するくだりも、マスコミに紹介される時の通り一辺倒の紹介のされ方への違和感など、考えさせられる要素が満載。 他人の、出身や考え方が違う男と女が結婚して、日本の社会で生きていくうえで「対等に」って、言葉にするのは簡単でも、なかなか大変ですね。 二人で手をつないだ裏カバー折り返しの写真がとてもいい。

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2016/11/13

著者の夫は盲聾の大学教授、福島智。 障害者のそばにいる人は自動的に介護人と見なされがちで、それは時にどちらにとっても失礼になる。 「母」や「妻」ならなおさら、献身的な介助者役を求められる。 手伝うのが嫌なんじゃなくて、介助者にされてしまうことに違和感がある。 そういう、「障害者の...

著者の夫は盲聾の大学教授、福島智。 障害者のそばにいる人は自動的に介護人と見なされがちで、それは時にどちらにとっても失礼になる。 「母」や「妻」ならなおさら、献身的な介助者役を求められる。 手伝うのが嫌なんじゃなくて、介助者にされてしまうことに違和感がある。 そういう、「障害者のおくさん」のエッセイ。 ケンカしてムカついてるから本当は手も触りたくないんだけど、コミュニケーションツールが指だから手に触れながらケンカをする。 そこで触るのをやめて(障害を利用して)勝つのは人としてダメだから、それはぜったいにやらない。 もし私がそこで手を離す人だったら夫も私と結婚しなかったと思う。 というエピソードが好き。

Posted byブクログ

2010/04/20

福島智さんの妻・光成沢美さんによる、福島智と出会うまで、出会った頃、その後をいろいろ書いた本。生井さんの『ゆびさきの宇宙』がよかったので、続けて読んでみた。 これがゲラゲラ笑える。福島さんがパジャマで授業した話とか、福島さんがどんどんデブになっていくところとか。笑える中に、愚痴...

福島智さんの妻・光成沢美さんによる、福島智と出会うまで、出会った頃、その後をいろいろ書いた本。生井さんの『ゆびさきの宇宙』がよかったので、続けて読んでみた。 これがゲラゲラ笑える。福島さんがパジャマで授業した話とか、福島さんがどんどんデブになっていくところとか。笑える中に、愚痴があり、喧嘩があり、ときめきがある。 福島さんがスポーツジムで入会できへん話は、実にわかりやすいサベツ。福島さん本人と会っている現場のジムでは受け入れますと言っているのに、東京の本部が「アカン」と言うてきたという。どうやったら安全に使ってもらえるか現場は考えようとしてるのに。 5章の「障害者の妻ってなんだろう」で、光成さんが「グチが言えないつらさ」を書いている。福島さんが金沢へ赴任したとき、指点字の通訳ができる人が金沢にはまったくいなかったので、当面のあいだ光成さんが一人で通訳一切を担っていた。休む間もなく、疲れがたまっていき… ▼ 「夫の通訳が大変で」  と言っても、 「そんなこと、分かった上で結婚したんだろ」  と、取り合ってくれない男性もいた。 「あなたは奥さんなんだから、それがあなたの仕事でしょ」  と、年輩の奥様に言われた時が一番つらかった。逆に、 「何にもお手伝いできなくて申し訳ないですねえ」  などと言われても居心地が悪いので、 「大丈夫です」  と、笑って見せるしかなかった。  そんな時、ポロッとグチの言える相手は、夫しかいなかった。しかし夫に、 「あー疲れた!」  と言っても、グチのつもりがグチにならない。 「オレにどうしろと言うのだ?! 何か具体的な提案があるなら言え!」  と、とたんに怒りをかう結果になる。…私に夫を責めるつもりはなくても、そこに利害関係が存在すれば、夫としては責められた気になる。夫が怒るのも当然だ。 〈やらなければいけないことは、やる。けれども、ちょっと、グチを言ってもいいじゃない〉  と思うようになった。障害をもった人と結婚したら、気軽にグチも言えないのだろうか。(PP.216-217) 「障害者を夫にもつ妻」というのは、知らず知らずのうちに、「女性の役割=女性は男に尽くして当然だ」という役割と、「家族の役割=家族こそが障害をもつ家族に作るのが当たり前だ」という役割、この二つを担わせられているのではないか、と光成さんは書く。分かる気がする。しかも、共感してくれるのは、障害をもつとかどうとかではなく「妻」の立場の人たちだったという。そうやろうなーと思う。 「障害者を夫にもつ妻」の生糸の会。 光成さんは同い年だった。広島の福山方面の出身ということにも親近感。私も広島に3年住んでたことがあるし、福山にはイトコもいるし。 いま、NHKの連ドラで「ゲゲゲの女房」が始まっているが、片腕のない男に嫁ぐ、背高のっぽの女は、「障害者を夫にもつ妻」というやつでもあるのだろう。片腕のない男も背高のっぽの女も、当時は(今もか)「男らしさ/女らしさ」からはずれた存在で、なんとかめあわせるのに周りは苦心したように描かれている。このあと、どういう展開なんかなーと思う。

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2010/03/29

娘の学校に福嶋さんの講演があったのを機に、メディアでしか知らなかった人が、ぐっと身近になった。女性の立場から、ご主人との関係に興味があって、読んでみた。 確かに、福島さんは窺い知れない孤独を抱えている。それを理解し、共に生きる奥さんもまた、立派な方であると思った。

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2009/10/04

主人公の福島智さんは、9歳で視覚を失い、18歳で聴覚を失い、全盲聾になりました。 このエッセイには、二人の出会い、結婚生活のエピソードが笑いを交えながら、深いメッセージと共に書かれています。 福島さんは指点字というコミュニケーション方法を使っています。 相手が話した事や見えるもの...

主人公の福島智さんは、9歳で視覚を失い、18歳で聴覚を失い、全盲聾になりました。 このエッセイには、二人の出会い、結婚生活のエピソードが笑いを交えながら、深いメッセージと共に書かれています。 福島さんは指点字というコミュニケーション方法を使っています。 相手が話した事や見えるものを、その指点字で通訳する光成さんのエピソードで印象的なものを書きます。 福島さんの講演会などで、通訳者が手配出来ない場合、光成さんが同行することもあるそうなのですが、その時主催者側から 「妻が夫の介助をするのは当然」というように見られるのだそうです。 もちろん家族である事に変わりはないけど、通訳者としての仕事を認めてほしいという思いがそこにあるのは当然の事だと思います。 また、取材などを受けるといつも「真摯に障害のある夫を支える妻」という風に取り上げられるのも疑問に思っているのだとか。 福島さんが全盲聾である事を知っていて結婚したのだから、愚痴を言うのをはばかられて、納得いかない思いが募っていくというエピソードが印象的です。 このエッセイから、福島さんが障害者だから光成さんに支えられているのではなく、 お互い対等な立場で支え合っているのだという事を感じました。 やっぱりどちらかに何らかの障害がある夫婦、カップルは障害がある方を無い方が「支えている」という風に映るのでしょうか? 夫婦のあり方を考えるいい作品でした。

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2009/10/07

盲ろう者の夫との、出会いから結婚生活を綴った本。 読み進めていくうちに、著者が夫・福島氏に惹かれた理由がわかる気がしました。 障害者との結婚、家族が介助や介護をすることの難しさなど、興味深いエピソードがもりだくさんで読者を飽きさせません。

Posted byブクログ

2009/10/04

障害者の妻としてでなく 一人の女として深くご主人を愛されているんだということや普通の主婦と同じような愚痴が 普通にこぼれていることに共感を覚えたりw楽しい素敵な一冊でした

Posted byブクログ

2009/10/04

TVのドキュメントをはじめて見た時に、すごく感動しました、 気づかせて頂く感性を福島先生に頂きました、日頃から、目に見えない世界とは感覚の世界、そこに障害的な立場から健常者である私たちが、得なければならないような事柄を教えて頂ける温かいッセイの一つです。

Posted byブクログ