はなれわざ の商品レビュー

クリスチアナ・ブランド(著者),宇野利泰(訳者)

2011/07/16

世界ミステリ作家事典 本格派篇では、ブランドのほかの作品より若干落ちると紹介されているが、そんなことはない！確かに実現性という意味ではどうかと思う部分があるが、そんなの分かってのこのタイトルがつけられているのだろうし。他の作品に比べてサスペンス性が優れており、野球場で試合が始まったのも気にせずに一気に読んでしまった作品です。

2011/02/24

再読。おなじみの多重解決風の展開に加え、それ自体をミスディレクションとし、シンプルな真相から目をくらませる手腕はさすが。
伏線の貼り方や底意地の悪い人間描写も素晴らしい。

2010/07/11

人間の裏も表も知り尽くした、ちょっと意地悪風味の筆致で、キャラクターそれぞれが見事に描き出される。この筆力をもってするから、あの大胆なトリックも、おお、そうかい！とほくそえんで受け入れられてしまう。
私も大好物○○○○トリックです。

2010/01/31

幾分地味かなあ……と思いつつ読んでいたのだけれど、これはたしかに「はなれわざ」。特に真相が分かるシーンには感服。この時点ではまったく気づかなかったのだけれど、真相が分かった後で読み返してみると……あの意味深な文章の訳がようやく判明。数々の伏線が見事な一作。

2010/01/12

最初はまったく登場人物の名前が覚えられなかった。何度も登場人物一覧を繰ってみた。そのうちに慣れてきたが、伏線が後になって「あのとき誰それはああいった」という形で表れてきて、何度もどこにそういった表現があったか繰った。

半分ほどで犯人と、動機が分かってきた。（この頃からやっと面白くなってきた。）

私はミステリを「解きながら」読み進むほうではないが、それでも犯人が分かってきた。

クリスティとも違う、パトリシア コーンウェルとも違う。
かと言って、コージーでもない。

最初に登場人物が覚えられなかったことで分かるように、あまり面白いとは思えなかった。人物自体はいろいろなパターンが登場していたが。

2009/10/07

そんな長期間騙されんやろ！

ブランドは嫌いではないけど、クリスティの方が好き。
でも、ミステリ好きさんたちにはクリスティは不人気なのか？

短編にしたほうがキレがあったかも。
グダグダしすぎなのとキャラが定まらないのが微妙だった。
でも、ブランドらしくて面白い。

2009/10/04

　コックリル警部は休暇を過ごすため、ツアーに参加した。その場所はサン・ホアン・エルピラータ島。そして、その場所で殺人事件は始まる。

　世評が高く、期待して読んだのですが、辛口で言うと、このトリック、実現可能か？　という疑問があります。ですが、読書中はその描写に圧倒され、力技で納得させられます。

　相変わらずのころころ変わる容疑者、そして、そのつど登場人物への見方までかわり、翻弄されっぱなしのストーリー展開はやはり健在。

2009/10/04

典型的な不可能犯罪モノ。登場人物全員に動機があるので、綿密に着実にそれぞれの可能性を絞って潰していくのだが、その過程で停滞してしまった。訳に閉口したのか文章自体が合わないのか、とにかくもどかしい。特に見せ場があるわけでもなく、進展のないままスローペースで同じことを繰り返され、途中で根を上げてしまった。序盤でクリスティをイメージしてしまったのが原因かもしれない。映像化したシーンが脳裏に染み込んでくるのだが、最後までクリスティとタブっていた。パズラー好みの本格ミステリ。見事な「はなれわざ」をやってのけた作者には感服する。

2009/10/04

巧みなミスディレクションとちりばめられた伏線、サスペンスフルな展開、どれもこれも一級品。さらに終盤からは惜しげもないダミー解とどんでん返しの連発！どれもが意外な物なのにそれでも間違った答えという凄さ。真相もまさにはなれわざ。ちょっとしたミスディレクションで一度目を向けそうになった真相から簡単に目をそらしてしまう手際のよさもさすが。