聊斎志異(下) の商品レビュー
中国に伝わる様々な怪…
中国に伝わる様々な怪異。日本文学にも影響を与えています。
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中国短編小説の最高傑作と言われる「聊斎志異」。下巻では、491篇のうち50篇を訳出し収める。幽鬼のために塾を開く「小謝」、仙女を妻とする「青蛾」、あの世での冤罪訴訟を描く「席方平」、恐妻家を描く「馬介甫」、「江城」、狐の賢妻を描く「張鴻漸」、美技と結ばれる「瑞雲」、菊の姉弟との交...
中国短編小説の最高傑作と言われる「聊斎志異」。下巻では、491篇のうち50篇を訳出し収める。幽鬼のために塾を開く「小謝」、仙女を妻とする「青蛾」、あの世での冤罪訴訟を描く「席方平」、恐妻家を描く「馬介甫」、「江城」、狐の賢妻を描く「張鴻漸」、美技と結ばれる「瑞雲」、菊の姉弟との交流を描く「黄英」、牡丹と椿の精と交流を描く「香玉」など。
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主に17世紀後半に書かれたもののようだ。清に生きた作者蒲松齢(ほ しょうれい 1640-1715)が昔の書物からネタを取ったり、人づてに聞いた話を集めるなどして書き溜めた全491編がこの『聊斎志異』。この岩波文庫上下2冊にはそのうち92編が収録されているに過ぎない。 幽霊(幽...
主に17世紀後半に書かれたもののようだ。清に生きた作者蒲松齢(ほ しょうれい 1640-1715)が昔の書物からネタを取ったり、人づてに聞いた話を集めるなどして書き溜めた全491編がこの『聊斎志異』。この岩波文庫上下2冊にはそのうち92編が収録されているに過ぎない。 幽霊(幽鬼と書かれている)が出てきたりと怪異な話ばかりだが、全体としては民話・寓話のような類が多い。はっきりとホラー的な感触があったのは上巻P82の「12 犬神」。これはちょっと衝撃的な図像が描写されている。 幽霊の他に頻繁に出てくるのは人間に化ける狐。そういえば、日本の昔話・民話に出てくる「化ける狐」のモティーフは、中国から輸入されたものだったか。 登場する幽霊や狐はみんな「仙女のような」美女ばかりで、主人公の男性たちは幽鬼・狐と知りつつも関係を結んだりする。あまつさえ結婚し、子を産みもするのだが、その子は普通の人間だったりする。そんな神話的なシーンが多彩に繰り広げられ、恐怖というよりもおおらかな物語集という感じだ。 読んでいて実に楽しく、昔話集なんかを読むのよりも遥かに面白い。語り口が上手いのだろう。もちろん、フローベールなどのような西洋近代小説とは非常に異なる書き方で、細かいディテールの書き込みは少なく、やはり神話的な梗概に近い場合が多い。本書を楽しく読みながら、やがては「物語」なるものの祖型を探るべく考えこんだ。 それにしても、本書に登場する男性主人公たちはそのほとんどが公務員志望で、みんなして公務員採用試験・昇進試験にあくせくしており、彼らにとっての人生の目標はそれらの試験を制覇し高い地位の公務員になることなのだ。当時の清の人びとはこんなにまで一律に公務員志望だったのだろうか。公務員になり昇進することでしか、経済的な豊かさを求める術はなかったのだろうか。実は作者蒲松齢じしんが、生涯をかけてこの公務員試験に邁進した人だったようで、ただ単にその人生観がこれらの作品の世界を限定したのだったかもしれない。 下巻にふたつ入っている「悍婦」ものは、壮絶に暴力的な奥さんたちの猛烈さと、彼女に全く逆らえない男性たちの弱さに、苦笑してしまった。 これまで中国の小説類は(長いのが多くて)敬遠してきたのだが、本書を読んで、そこにはやはり日本文化の源泉も明らかに窺えるし、読んでみて素朴に面白いので、これまで読まなかった有名な本も読んでいきたいと思っている。
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上巻に続いて下巻をほぼ一気の読み終わる。 感想等は上巻とほぼ変わらず。 追記するとすれば「なんで登場する男は揃いもそろって女と判れる時に泣き崩れるのだろう」ってところか。 あとはそうだなぁ……「亭主操縦術」なんて男性にとってはホラー以上に怖い話が収録されていたりする...
上巻に続いて下巻をほぼ一気の読み終わる。 感想等は上巻とほぼ変わらず。 追記するとすれば「なんで登場する男は揃いもそろって女と判れる時に泣き崩れるのだろう」ってところか。 あとはそうだなぁ……「亭主操縦術」なんて男性にとってはホラー以上に怖い話が収録されていたりする(苦笑)。 この岩波文庫上下巻で「聊斎志異」全体の約3分の1を読むことが出来る。 ということは残り3分の2はまだ未読な状態な訳で、機会があればぜひとも読んでみたいと思っている。
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中国のこの手の話は艶やかで大人向けの話が多い。似たような内容を少しずつ違えているような感じもしなくもない。 それにしても狐が登場する話が多い。日本の昔話にも狐の話は多いが、人間と同一視されるような存在として登場するのは何故だろう。
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読了すると寂しく感じる。長い付きあいだった。 蒲松齢の序文に(上巻解説から) 「酒を友に筆を執り、ようやくにして成ったのがこの『孤憤』の書だが、我が心を託すよすががこのようなものかと思えば、悲しみもまたひとしおである。」とある。 科挙の試験に落第し続けた蒲松齢が心のよすがとして成...
読了すると寂しく感じる。長い付きあいだった。 蒲松齢の序文に(上巻解説から) 「酒を友に筆を執り、ようやくにして成ったのがこの『孤憤』の書だが、我が心を託すよすががこのようなものかと思えば、悲しみもまたひとしおである。」とある。 科挙の試験に落第し続けた蒲松齢が心のよすがとして成したのが本書であり、書かれた時代やら読み継がれたことやら美女の幽鬼・狐ばかり登場する内容やらで、何とも言えない気持ちになる。 折に触れて読み返したい。
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日本の妖怪とはまた違う味わい。風流。やっぱり大陸は不思議がいっぱい、夢があるなあ。ハロウィンともまた違うんだなあ。国家単位のすごさを知る。
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生と死を当たり前のように行き来する物語はスゴいヽ(;▽;)ノ狐や幽鬼の情愛の濃さに感動してしまいますヽ(;▽;)ノ
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怪異の話で妖狐が出てくるとなんかときめいちゃうw 鬼狐伝の言葉にあるように狐の話しがいっぱい。 あとは幽鬼の美女と生きた男の恋が多かったね。
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