考える力を伸ばす世界史の授業 の商品レビュー
作者も本内で繰り返し言ってますが、この本で示された「考える力を伸ばす」の世界史授業は、現在の受験制度の中では実現しないでしょうね。しかし、私は今の世界史に関する受験体制や教科書の内容は必ずしも批判的ではありません。まず、日本の歴史教科書ほど中立的な内容はあまりないのではないでしょ...
作者も本内で繰り返し言ってますが、この本で示された「考える力を伸ばす」の世界史授業は、現在の受験制度の中では実現しないでしょうね。しかし、私は今の世界史に関する受験体制や教科書の内容は必ずしも批判的ではありません。まず、日本の歴史教科書ほど中立的な内容はあまりないのではないでしょうか(十分かどうかは人によるが)。それに、あまり知識のない学生が「考え」ても、教員のリードの仕方で左右にぶれてしまいますし、それなら思考の土台となる「知識」を詰め込んだ方が歴史的思考力を培うことにもなるのではないでしょうか。我々教員は、生徒たちにたくさんの知識とたくさんの考え方、世界を触れさせ、「生きる力」となるべき思考力の土台作りを行うことが重要なのではないかと思います。著者は何度かアメリカなどの「議論を中心」とした授業を模範としてますが、ではそのアメリカは歴史に鑑みた正しい道を進んでいるでしょうか?今でこそブッシュ前大統領は低支持率で退任することになりましたが、彼を2期8年間務めさせたのは紛れもなくアメリカ式の歴史教育を受けたアメリカ国民です。自国の利益や正義感を他者に押しつけそれが間違っていたと疑わなかった、そして今の大不況の原因を作った国のやり方を無批判で受け入れるのはどうかと思います。それに対し日本は、ドイツと並んで「最も世界に好影響を与えている国」としされています(イギリスBBCの調査による詳しくはhttp://sankei.jp.msn.com/world/europe/080402/erp0804021314005-n1.htm)。ちなみにドイツはアメリカ式の討論方の歴史授業らしいですが。繰り返しますが、私は知識は「考える力」の土台だと思っています。詰め込みが必ずしもいいとは言いませんが、なるべく多くの情報を与えることは世界史教員のつとめではないかと思います。遠回りかもしれませんが、高校生くらいまでは確実に知識をつけた方が、最終的には広く使える「考える力」がつくのでは無いかと思います。
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