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屋上物語 の商品レビュー

3.5

29件のお客様レビュー

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2016/02/13

短編連作 デパートの屋上のスタンドで働く名物オバサンと、そこに集まる人たちの事件の話 あんまり後味良く終わらない

Posted byブクログ

2022/11/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

デパートの屋上で発生する数々の事件を,稲荷社の使い狐,観覧車,ベンチなど無生物の視点から描いた連作短篇集。救いのない話ぞろいで,後味の悪さは一流。なかなか忘れられないインパクトがある。ある短篇の脇役が次の短篇で重要な役割を果たすという構成は見事なのだが,全体の構成がイマイチ。個々の短篇のできもそれなりに面白いのだが,香菜里屋シリーズには及ばない。裏京都シリーズよりは上という印象。短篇の名手,北森鴻作品としては及第点ギリギリか。★3で。 ○ 始まりの物語 稲荷社の使い狐が語り手。デパートの女性店長の自殺,店長の子どもの万引き,いじめといったネガティブ要素が満載な作品。いじめられていた西尾隆一という少年の飼っていた子猫の命が助かることだけが救いだが…この少年の存在は,あとの話の伏線になっている。 ○ 波紋のあとさき 観覧車が語り手。「始まりの物語」で黒幕だった警備員の中岡という男が殺害される。中岡と仲がよかったペットショップのるみちゃんという少女が宗教にはまってしまうなど,この話もブラック要素満載。事件の真相は,中岡が自身の悪巧みを原因とする事故で死んでしまったというもの。 ○ SOS・SOS・PHS 波紋のあとさきで宗教にはまってしまったるみちゃんからPHSを使ったSOSがあったが,宗教団体に殺害されてしまう。るみちゃんの活躍で,集団自殺を防ぐことはできたのだが…。るみちゃんの死が,この話のやるせなさを引き立てる。 ○ 挑戦者の憂鬱 SOS・SOS・PHSで,るみちゃんの行方を探すために働いた佐古下という男が犯人である事件。語り手はピンボール。ピンボールにハマるタクという少年が,命を狙われる。ロクさんという男も登場する。ピンボールのハイスコアを出した佐古下が,ハイスコアがある事実を隠すためにピンボール台を破壊しようとするが,動機がばれないように,タクを狙ったと見せかけたというのが真相 ○ 帰れない場所 バグパイプという楽器が語り手。挑戦者の憂鬱で怪我をしたロクさんという男が失踪したという事件。真相は,ロクさんは過去に人を殺害してしまったことがあり,バグパイプを演奏している姿をみて,そのことを思い出し,失踪してしまったというもの ○ その一日 帰れない場所で語り手だったバグパイプをめぐる話。語り手は地蔵。バグパイプを演奏していた男が楽器を忘れてしまう。バグパイプを演奏したのは地蔵に聴かせるためであったが,バグパイプの持ち主は,妻に殺害されており,妻は愛人と愛人の子をはめて,アリバイを作ろうとしたという話。こちらもかなりダークな話。楽器をロッカーに入れなかったのは,バーゲンの日だったというもの ○ 楽園の終わり さくら婆さんのうどんの売店のスタンドが閉鎖されるという話。はじまりの物語でいじめられていた西尾隆一という少年が体を鍛え強くなったが,少女を殺害してしまったという話。これも相当やるせない話である。最後に杜田がかつて,さくら婆さんの子どもが事故で死んだ原因を作ったことを伝える。 ○ タクのいる風景 さくら婆さんも登場しない。盛岡のデパートの屋上に出かけたタクの話。デパートの売却のために工作をするタカさんという人が出てくる。タカさんの娘の大野昌子がひき逃げされてしまったことから,タクはタカさんが犯人と推理するが真相は,大野昌子の自殺騒ぎは,爆弾の被害者を出さないための狂言であり,ひき逃げは全くの偶然だったというオチ。これもやるせなーい話である。

Posted byブクログ

2021/01/16

再読5回目。 面白いなー。この人の作品には、なぜだかいつも美味しそうな物が出てくる。本筋には関係ないのだけど、それがあることで物語の統一感が出てくるというか。食べてみたい、さくらスペシャル。

Posted byブクログ

2012/03/26

北森さん好きの人から評価が高い作品、というイメージがあったので購入してみた。だってわたしも北森ファンだもん。でも北森さんの個人認定割こう傑作はやっぱり「孔雀狂想曲」か「狐闇」だなあ。 たしかに屋上に置かれた物たちが語り手となったり、さくら婆ァの過去や興行師杜田、やんちゃな高校生...

北森さん好きの人から評価が高い作品、というイメージがあったので購入してみた。だってわたしも北森ファンだもん。でも北森さんの個人認定割こう傑作はやっぱり「孔雀狂想曲」か「狐闇」だなあ。 たしかに屋上に置かれた物たちが語り手となったり、さくら婆ァの過去や興行師杜田、やんちゃな高校生タクなどの人間味あふれるユーモラスな描写や、容赦がない言葉達、もの悲しい過去などは北森鴻らしい。それをうまくまとめるのなんて、まさに北森鴻なのだ。 でも、なんか物足りない。もっともっと踏み込んで欲しかった。それはきっと物を語り手にしてしまったせいなのかもしれないが、もっと…!と求めるそれ以上の物をいくつも書いている作家さんだから。 ただ、解説はもの凄くいい!ああ、池袋ね。今度行こう、と思ってちょっと得した気分になったものだ。

Posted byブクログ

2011/11/10

デパートの屋上のモノ達目線で語られていく、短編連作。 さくら婆ァ、杜田のキャラは強烈のようでいて、思ったほどでもない。 後半に行くにつれ、マイルドになっていく。 全体に暗め。 文体が、ではなくて、ミステリーの内容が。

Posted byブクログ

2010/11/30

デパートの屋上という空間と、威勢のいいさくら婆ァという登場人物から、爽やかな雰囲気を期待してしまいました。 実際はどれも暗いお話ばかりで、可もなく、不可もなく、という印象です。

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2010/10/24

上品な作風の作者に似合わない、人がころころ死んでしまう展開に驚き。短編がその後に関係づけられて一編の作品となっている。”さくら婆”の設定をもう少し濃くしても良かったんじゃあないかな。大勢の好評には反して個人的にはつまらなかった。

Posted byブクログ

2010/09/07

舞台はデパートの屋上のみ(最終章以外)。 語り手は屋上にある稲荷の狐だったり、ベンチだったり、 観覧車だったり、ピンボールゲームだったり、屋上自体だったり。 (最近、モノ主観の小説ばっかり読んでる気がするな…) うどん屋の名物店員「さくら婆ァ」が 屋上で起こる様々な事...

舞台はデパートの屋上のみ(最終章以外)。 語り手は屋上にある稲荷の狐だったり、ベンチだったり、 観覧車だったり、ピンボールゲームだったり、屋上自体だったり。 (最近、モノ主観の小説ばっかり読んでる気がするな…) うどん屋の名物店員「さくら婆ァ」が 屋上で起こる様々な事件に触れる連作短編ミステリー。 やくざの杜田をうどん1杯で使いっ走りに使う 「さくら婆ァ」の豪快さがもの凄い。

Posted byブクログ

2010/02/04

 デパートの屋上を舞台にした連作ミステリー。  名物のうどん屋のおばちゃんはともかく、毎回変わる語り手が面白い。こういう視点で書く人は、ちょっといないだろう。  けらけら笑って読んでいたら、いつの間にか高校生の成長の物語になってるあたりも外連味があってよかった。  このあたり...

 デパートの屋上を舞台にした連作ミステリー。  名物のうどん屋のおばちゃんはともかく、毎回変わる語り手が面白い。こういう視点で書く人は、ちょっといないだろう。  けらけら笑って読んでいたら、いつの間にか高校生の成長の物語になってるあたりも外連味があってよかった。  このあたりは、北森鴻マジックといえるかww

Posted byブクログ

2011/02/22

良くも悪くも、あまりにも、北森作品らしい。 つまり、キャラの魅力はふんだんにあるが、謎解きに関しては、推理というには根拠が弱く、推測の域を出ない印象しか持てないということ。 などと、手厳しいことを言いつつ、実は私は北森氏の大ファンなんですが。 だって、ミステリと言えども『小説』...

良くも悪くも、あまりにも、北森作品らしい。 つまり、キャラの魅力はふんだんにあるが、謎解きに関しては、推理というには根拠が弱く、推測の域を出ない印象しか持てないということ。 などと、手厳しいことを言いつつ、実は私は北森氏の大ファンなんですが。 だって、ミステリと言えども『小説』ですもの、こんなに人物が描ける作家を、嫌いなワケないじゃないですか(笑) 胸が痛くなるようなストーリーが多かったけれど、痛快さを感じさせる3人のキャラ設定で、救われましたから。

Posted byブクログ