中途失聴者と難聴者の世界 の商品レビュー
自分はそれなりにこの手の知識がある方だとは思うが それでも読んでいてなるほどなと思わされることが多々あった。 平易で、たとえや引用を交えて非常にわかりやすい本だと思うのだが だからと言って一般の方が手に取るかと言えばそれも難しいように思う。 学校の道徳の時間などででもエピソード...
自分はそれなりにこの手の知識がある方だとは思うが それでも読んでいてなるほどなと思わされることが多々あった。 平易で、たとえや引用を交えて非常にわかりやすい本だと思うのだが だからと言って一般の方が手に取るかと言えばそれも難しいように思う。 学校の道徳の時間などででもエピソードを取り上げて 広く理解してもらえる社会になると良いなと思う。
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音が聞こえないということは、単に音が聞こえないだけでなく、常識的な振る舞いが分からないというコミュニケーション障害に発達しうることには驚いた。同じ音が聞こえなくとも、ろう者と難聴者ではまったく文化カテゴリーが違えばその人の根幹を支えるアイデンティティも異なり、聴覚障害者の多様性と...
音が聞こえないということは、単に音が聞こえないだけでなく、常識的な振る舞いが分からないというコミュニケーション障害に発達しうることには驚いた。同じ音が聞こえなくとも、ろう者と難聴者ではまったく文化カテゴリーが違えばその人の根幹を支えるアイデンティティも異なり、聴覚障害者の多様性と複雑性が問題の理解を難しくしている。中途失調者と難聴者について理解する良書。
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大学院の先生方に「入学前に読んでおくように」と言われ、読んだ本です。 自身が中途失聴を経験している著者であり、当事者という立場からの考察・心理学の専門家という立場からの考察など、精緻かつ説得力のある分析は、読んでいてまさに卓越と言えると思います。 当事者の苦悩を語る著作は星の数...
大学院の先生方に「入学前に読んでおくように」と言われ、読んだ本です。 自身が中途失聴を経験している著者であり、当事者という立場からの考察・心理学の専門家という立場からの考察など、精緻かつ説得力のある分析は、読んでいてまさに卓越と言えると思います。 当事者の苦悩を語る著作は星の数ほどにあるけれど、この本はそこをさらに掘り下げて、アイデンティティの危機という問題や、コンサマトリーという用語を用いてしっかりと背景を組み立てながら分析を行っています。 さらに、和田秀樹氏の論文を多分に引用して行った自己分析は、この本の中で最も読まれるべき部分だと言えるのではないでしょうか。 心理学の専門的な話になると若干難しいけれども、決して読めないことはない。これから「きこえ」のことについて考えたいという人に、ぜひ読んでいただきたい本です。 「私が思うには、街に出て行って音声コミュニケーションによる気持ちの触れ合いから見知らぬ健聴者との間に関係を築いていくというのはとても困難なのだから、健聴者の側にあらかじめある程度の知識に基づいた「理解」が必要だということになる。音声コミュニケーションを通じて「理解」を築いていくのではなく、聴覚障害と聴覚障害者に対する「理解」からコミュニケーションに入るのである。」(p190)
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