世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語 の商品レビュー
実在したアールデコ期のパリの花形イラストレーター、ガーダ・ヴェーナの出てくる作品ということで、兼ねてからのファン待望の予約購入。本作は彼女の夫、風景画家であり、史上初の性転換手術を受けたアイナー(リリー)をモデルにした半フィクション、愛と闘いの物語です。 しだいにリリーとして女性...
実在したアールデコ期のパリの花形イラストレーター、ガーダ・ヴェーナの出てくる作品ということで、兼ねてからのファン待望の予約購入。本作は彼女の夫、風景画家であり、史上初の性転換手術を受けたアイナー(リリー)をモデルにした半フィクション、愛と闘いの物語です。 しだいにリリーとして女性の自分を解放していくアイナーを支えるガーダの姿には心打たれました。 ガーダ・ヴェーナの画風から考えると、現実のガーダはレズビアン寄りのバイセクシュアルだったんじゃないかと思うのですが、この作品では性別が変わっていく夫への葛藤が描かれているなど、どうも腑に落ちない点が多々あり。ほとんど二重人格的に描かれたアイナー氏の心の変化も、どうも不自然な印象。 当時の男と女しか存在しない世界の中で、無理やり自己の矛盾した性自認を当て嵌めようとした結果、二重人格になってしまったという設定なのか? 半フィクションとして、あるいはDSD(性発達障害)/性別違和/トランスジェンダーの歴史的な物語としては興味深く読めました。
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