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9.11事件以後のロシア外交の新展開 の商品レビュー

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2009/10/07

 9.11以後のロシア外交における新展開、特に9.11という出来事をどのようにロシアが「利用」したのかが本論集の主軸にある。但し、これも一部の議論を除き明確性と具体性に欠く。但し、廣瀬陽子氏のコーカサス、ロシア関係の分析は他のものよりも具体性があり、且つ分類化もできていると思われ...

 9.11以後のロシア外交における新展開、特に9.11という出来事をどのようにロシアが「利用」したのかが本論集の主軸にある。但し、これも一部の議論を除き明確性と具体性に欠く。但し、廣瀬陽子氏のコーカサス、ロシア関係の分析は他のものよりも具体性があり、且つ分類化もできていると思われる。但し、女史はすでに改訂した原稿を彼女の著作に載せているので、こっちはあまり買う価値はないと思うが。いずれにしても木村汎氏らの『プーチンの変貌?』では「9.11以後、ロシアはアメリカに接近したと思われている・・・」という誤った前提を置いたが為に、結局何も言っていないに等しかった。彼らの実に低いレベルのエッセイ集は「ロシアは9.11以後も独自性を持っているし、そこには9.11以前からの連続性がある。加えてロシア国内の一枚岩ではない」という当たり前のことを主張したに過ぎない。それに比べれば、「ロシアは9.11以後、9.11という事件を効果的に利用したという意味では変化が生じた」という本論の主張は納得できるものだろう。

Posted byブクログ