ル・トロネ修道院“ロマネスク" の商品レビュー
ル・トロネ修道院はシトー会であり他のロマネスク会派に見られるような幻想を生み出すような図像は拒否されている。そういう意味でもっともミニマリスムでロマネスクの特徴がでている建築だという。 ロマネスクでは重厚な壁体と半円アーチが特徴。磯崎新さんによると『排除の法則』という。使うもの...
ル・トロネ修道院はシトー会であり他のロマネスク会派に見られるような幻想を生み出すような図像は拒否されている。そういう意味でもっともミニマリスムでロマネスクの特徴がでている建築だという。 ロマネスクでは重厚な壁体と半円アーチが特徴。磯崎新さんによると『排除の法則』という。使うものの数をへらし、構造的には石しか残らない。表面も石の肌のみであとは光だけ装飾はない。ミニマリズムに到達している。 光の入り方そのものが建築様式をヨーロッパの歴史の中で展開させてきた手がかりだったのでないか。ロマネスクもそういった中でみると解りやすい。
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磯崎氏の直感で「建築行脚」シリーズの第一回配本として選ばれたル・トロネ。当時は知る人ぞ知る、といった建物だったそうで、写真も偶然どこでも撮っていいということで撮れたらしい。もちろん写真は最高に良い。 磯崎氏が語るように、ル・トロネは美しい建築物なのだが、一方でその削ぎ落とし方と...
磯崎氏の直感で「建築行脚」シリーズの第一回配本として選ばれたル・トロネ。当時は知る人ぞ知る、といった建物だったそうで、写真も偶然どこでも撮っていいということで撮れたらしい。もちろん写真は最高に良い。 磯崎氏が語るように、ル・トロネは美しい建築物なのだが、一方でその削ぎ落とし方というか突き詰め方が人間や環境を拒絶しているし、その意味では特殊解ともいえる。逆にそのミニマルな部分が現代の眼から見て評価できるのだろうが。 単純にシンプルなだけではなく、その粗い石が分厚い壁の量感をもって迫ってくるところがモダニズムとは決定的に違った異質さだと思う。 ともあれ、我々は磯崎氏のおかげでル・トロネを知ることが出来たことは幸運だ。当初の前身である「建築行脚」のル・トロネ号と、フェルナン・プイヨンの「粗い石」にインスパイヤされてフランスに渡り、フランス人と結婚し、現在3人の母親となった同級生がいるくらいの影響力はある1冊。
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