ひきこもり文化論 の商品レビュー
ひきこもりは現象であって、病名ではない。直ちに治療を必要とするものではない。 医療以外の二つの方法。追い出すか現状の全面的肯定。この二つ以外の方法をとる必要がある場合にのみ、治療は有効。放置しても離脱は起こりにくい。 ひきこもり離脱支援団体のいかがわしさ。ルールの存在しない善意に...
ひきこもりは現象であって、病名ではない。直ちに治療を必要とするものではない。 医療以外の二つの方法。追い出すか現状の全面的肯定。この二つ以外の方法をとる必要がある場合にのみ、治療は有効。放置しても離脱は起こりにくい。 ひきこもり離脱支援団体のいかがわしさ。ルールの存在しない善意による暴力にある。 ひきこもりの心のうち、焦燥感と惨めさで充満し、誇大な自我理想をもつことでようやく自分を支えています。激しい空虚感、絶望的な怒りがたびたび襲ってくる。いつかは自力で立ち直ることができるというプライドにしがみつくために、他人に助けを求めることはおろか、治療機関を受診するなど思いもよらない。 万能感の排除の失敗。 母子の共依存の問題。 インターネットはむしろ有用。ただし、会話が最も有効。情報のやりとりではない、無意味性。会話の生命はこの無意味性に支えられている。 ひきこもりと世代論。 おたくが生じた新人類あたりから、ひきこもりかが取り沙汰されるように。 失われた孤独 孤独でいられない若者たち。孤独、ひきこもりにこそ、思索はある。 偶発的な出会いこそ人を成長させる。そこから心を閉ざしてしまっては、ひきこもりからでれなくなってしまう。
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定言命法がその妥当性を失い仮言名法が幅を利かせる中で、さらに人の欲求が減退すればするほど仮言命法の「○○したければ~」が薄くなる。その結果○○せよという環境が整わない。簡潔に分かりやすく説明した文言だと思った。 どうりで今の世の中は引きこもりだらけなわけだと、妙に納得した。
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エッセイに使用。筆者さんはとても優しく、芯のある方だなと思いました。ひきももりという複雑で未だ明確な答えのない問題に、真摯に向き合っているお姿がよく伝わってきました。分かりやすく、おすすめの1冊です。
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「ひきこもり」という言葉が市民権を得たのはバブル崩壊と同時期か。それは病名ではなく、システムだと言う。社会と自分との間にできるこの亀裂は、海外で英訳されることなく「hikikomori」と綴られるという指摘に愕然とした。「母と息子の密着」「去勢否認」「身内意識」というキーワード。...
「ひきこもり」という言葉が市民権を得たのはバブル崩壊と同時期か。それは病名ではなく、システムだと言う。社会と自分との間にできるこの亀裂は、海外で英訳されることなく「hikikomori」と綴られるという指摘に愕然とした。「母と息子の密着」「去勢否認」「身内意識」というキーワード。ひきもりは圧倒的に男性が多く、その誘導者は「母」であるという統計には参った。
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「ひきこもり」の社会的背景から、「甘え」文化との関連・欧米・韓国との比較、サイバースペースの特質、治療者としての倫理観にいたるまで、縦横無尽に展開してきた文化論・社会論的考察を収録。
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