ころんで学ぶ心理療法 の商品レビュー
心理療法家が面接においてつまずいたことをケースとして載せ、なぜつまずいたのかを分析していく本だった。 心理学系の本であるが、私が関わっている障害者福祉においても役に立ちそうなことが書かれていた。クライエントに対して陰性感情を持ったとしても、その後の対応がうまく行くにはどうしたらい...
心理療法家が面接においてつまずいたことをケースとして載せ、なぜつまずいたのかを分析していく本だった。 心理学系の本であるが、私が関わっている障害者福祉においても役に立ちそうなことが書かれていた。クライエントに対して陰性感情を持ったとしても、その後の対応がうまく行くにはどうしたらいいかや、境界例のクライエントへの対応はどうしたらいいか、また、セラピストの中にある動機には常に点検が必要であること……といった具合である。 セラピストの自分と、個人としての自分を分けてロールプレイしたり、面接を再現して客観的に五感で面接を感じとったりすることが有効だとわかった。 結局は、信頼できる人に相談することで道が開けるということであったが、しみじみと心に響いた。
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大満足。こういうクライエントにはこんな気持ちになって、こういう発言してしまう、というのがわかりやすかった。もっと良いセリフはどういうものがあるかも記載されてるので、イメージしやすかった。
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図書館本 椅子を行ったり来たりして、その立場による見方、考え方をぐるぐるっとしてみることもいいかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
p16 どんな指示が欲しいのですか?どんな効果が出ればいいでしょうか?どんな風に治っていきたいですか? p17 クライエントの言動には、程度の差はあっても必ず過去の体験がオーバーラップしているものである。 p27 ベテランはみな、自らの感情体験から距離をとり、それがどこからやってきて、何に由来しているのかを客観的に分析する視点を持っていることがわかる。 p38 融和型逆転移 p41 補足型逆転移 p48 間接的逆転移 p68 ベテランセラピストは、アセスメントを面接初期に終わらせるのではなく、セラピストとクライエントの相互作用の中で生じた逆転移を使って、当初のアセスメントをつねに点検していることがわかる。 p68 初心者がベテランに近づくための第一歩は、「逆転移を恐れるな。起きたらそれを情報として使え」という発想を知っておくことである。 p73 自分の中に「自己愛的動機」が存在していることを受け入れ、「今の自分は『自己愛的動機』にどれほど傾いているか?」とつねに自分に問いかけることが、面接の「毒」になる逆転移を取り除く手立てになるわけである。 p74 ネガティブな逆転移が起きて面接が行き詰まった時、そこでつまずいて失敗するか、あるいはそれを乗り越えて成功するかは、次の4つのキーポイントが決め手になっていることがわかった。 ①役割意識が保たれているか? ②手応え感はどれくらいか? ③期待の現実性は適切か? ④援助動機こ源泉はどこにあるか? p78 表3 セラピストの応答カテゴリー p77 失敗例の応答 【頻度が高い】①感情・欲求の明確化②困惑・弁明③意見・判断④否定・拒否 【頻度が低い】⑤解釈⑥支持・是認⑦自己開示⑧面接の印象 p79 成功例の応答 【頻度が高い】①自己開示②感情欲求の明確化③場面構成 【頻度が低い】④困惑・弁明⑤否定・拒否 p115 -116「よいこ」を見逃さないためのチェックポイント1から14 p126 病的な投影同一化 p132 分裂 ①理想化②脱価値化 p143 「病を憎んで人を憎まず」の精神が身についたら、全くの初心者からステップアップしたしるしである。 p169 境界例や統合失調症と診断される重症のクライエントには、逆転移分析の自己開示が逆効果になる p169 重症のクライエントには自己開示が全く使えないというと決してそうではない。「あなたを援助したい」というセラピストとしてごく当たり前の気持ちを伝えるシンプルな自己開示なら効果的なケースもある p185 もし自己開示すべきか迷ったら、開示しない方向を選ぶということである。また、自己開示の他に別の介入法が思い浮かんだ場合は、別の選択肢を優先すべきである。 p194 職場環境に由来する間接的逆転移を乗り越えるためには… 面接室を取り巻く人間関係を図解して整理することである…どこにつまずきの石が潜んでいるのか見取り図をこしらえた分、身動きが取れるようになった p195 そのとき自分が担当しているケース全体の面接状況をつねにチェックしておく…現在担当している心理療法のケースは何例あるか、そのうちうまくいってないと感じているケースは何割ぐらいか、特定のクライエントとの面接が重荷になってないかをまめにチェックする p197 数カ月に一度、担当しているクライエントすべてのリストを作って眺める…「このクライエントには手を焼いている」「このクライエントに会うと、どうも消耗してしまう」「このクライエントに会うとなんだかやる気が出てくる」など、それぞれのケースに自分がどんな気持ちを抱いているか「手応え感」はどのくらいか、会うこと自体にストレスを感じていないかなどをチェックして、そのときの自分の臨床活動全体のバランスを知っておくのである。 p222 五感を使って面接を振り返る①から④ p230 私の「心の成長」の定義は、「悩みや葛藤を心のなかに入れておけるようになること」である。 p230 心理療法で目指すべきことは、次々にやってくる悩みや葛藤を受け止める心の器を大きくすることである。
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「ころんでもただでは起きない」。心理療法の初心者が陥りがちな、そして見落としがちな失敗例のパターンを、逆転移の考え方を通してわかりやすく説明。自己分析を深めるためにも、自信をもってケースに取り組んでゆくためにも有効な一冊。
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