ことばと国家 の商品レビュー
社会言語学者の著者が、言葉と国家をめぐる複雑な問題を分かりやすく解説している本です。 言葉はダイナミックな政治の文脈に置かれており、そのことに早くから気づいていた言葉の研究者たちは、国家や民族といった言語外的な要因を慎重に取り除いていくことに注意を払ってきたと著者は言います。そ...
社会言語学者の著者が、言葉と国家をめぐる複雑な問題を分かりやすく解説している本です。 言葉はダイナミックな政治の文脈に置かれており、そのことに早くから気づいていた言葉の研究者たちは、国家や民族といった言語外的な要因を慎重に取り除いていくことに注意を払ってきたと著者は言います。そして、まさにこのことが、微細な権力構造が言葉に投げかけている影についての精妙な眼差しを社会言語学が獲得することを可能にしたと言ってよいでしょう。本書で取り上げられている諸問題は、そうした言葉と政治の絡み合いを垣間見せてくれます。
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20年以上前に書かれた言語の国家政策に関する名著。文章が非常に分かりやすく、説得力に富んでいる。 現代にも非常に重要な示唆を与えてくれる。言語がいかに政治と分かちがたいものか。 (2015.9)
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母語と母国語の違いは何か,こういうことを考えたことがあるだろうか.また,通じて「正しいことば」とは何か,ということも考える.方言や俗語もれっきとした「ことば」なのである.
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いやー、読み応えがあった。そして難しかった。もしかすると半分もわかってないかもしれない。 でも、思考することの根っこの根っこであることばを改めて考えるきっかけになって、そこで得たものは大きいと思う。特に話し言葉と書き言葉の関係はとても興味深かった。 個人的に、日本語、英語、イ...
いやー、読み応えがあった。そして難しかった。もしかすると半分もわかってないかもしれない。 でも、思考することの根っこの根っこであることばを改めて考えるきっかけになって、そこで得たものは大きいと思う。特に話し言葉と書き言葉の関係はとても興味深かった。 個人的に、日本語、英語、イタリア語がぐるぐるしている時期だったこともあり、いいタイミングに読めたなあと思います。 最後に、『ことばは近ければ近いほど差別感が生じ、遠ざかれば別の言語になりうる。』という一文がとても印象に残っており、ことばに限らず色々な面でこういうことあるよなと考えてしまいました。
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メモ。 ・「日本国語」「英国語」とは言わないけど「中国語」「韓国語」と言う。 ・琉球語は独立した言語なのか、方言なのか。
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丸谷某をはじめとした所謂日本の知識人への痛烈な批判の小気味良さは初めて読んだ時と今もって変わらない。 でも今回の再読で一番感じたことは、現在の否応なく巻き込まれているグローバルな環境、つまりは英語優先主義の現状をどのように見ているのだろうか?ということ。 アイデンティティーと深く...
丸谷某をはじめとした所謂日本の知識人への痛烈な批判の小気味良さは初めて読んだ時と今もって変わらない。 でも今回の再読で一番感じたことは、現在の否応なく巻き込まれているグローバルな環境、つまりは英語優先主義の現状をどのように見ているのだろうか?ということ。 アイデンティティーと深く結びつく言語の行く末を考えると、SF的世界を簡単に想像してしまう当方は完全に底の浅い輩と言うしかないかもね。
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痛快な文体で国家とことばの関わりについて述べた本。「国語」の始まりは日本の西欧化と密接な関わりがあること、方言滅ぼし教育の存在があったことなど、日本の中央集権的国家語統制の確立の道具としての国語の存在という視点を学ぶことができた。現在の標準語を特に違和感なく使用している自分の普段...
痛快な文体で国家とことばの関わりについて述べた本。「国語」の始まりは日本の西欧化と密接な関わりがあること、方言滅ぼし教育の存在があったことなど、日本の中央集権的国家語統制の確立の道具としての国語の存在という視点を学ぶことができた。現在の標準語を特に違和感なく使用している自分の普段の生活をあらためて振り返るための色んな考えを享受して頂きました。すばらしい名著だ!
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かつて、イタリア中部の一部属の話していたラテン語は、ローマ帝国の言語として、その支配地域と共に拡大していった。もちろん各地には、それぞれすでに話されていた言語があり、ラテン語は、支配階級の言語として、そこに覆い被さっていったのである。土着の言語はラテン語の影響を受けて、今日のロマ...
かつて、イタリア中部の一部属の話していたラテン語は、ローマ帝国の言語として、その支配地域と共に拡大していった。もちろん各地には、それぞれすでに話されていた言語があり、ラテン語は、支配階級の言語として、そこに覆い被さっていったのである。土着の言語はラテン語の影響を受けて、今日のロマンス諸語など俗ラテン語を形成していった。そして、ラテン語はその格式を守る為、より厳格に古典的硬さを強めていった。実は、このことこそラテン語の死を意味していたのである。ラテン語はローマ帝国唯一の書き言葉としてなお君臨し続けたが、もはや誰もそれを話さなくなってしまった。人の営みはその心と共に移ろい、くずれず、乱れず、変化しない言葉で、何を表現できるだろうか。言語は、それを話す人と共に、生きているのである。
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言語と方言。祖国と故国。母国語と母語。話し言葉と、書き言葉。 母語とは、母から口語で聴いて自然と受け継いだ言葉。 ユダヤ人や、第二祖国を持たない、日本人である自分は、母語≠母国語でなく、故国・故郷とは別の祖国を意識する事がないが、都内で仕事・生活を続けるにあたって、方言が自分の...
言語と方言。祖国と故国。母国語と母語。話し言葉と、書き言葉。 母語とは、母から口語で聴いて自然と受け継いだ言葉。 ユダヤ人や、第二祖国を持たない、日本人である自分は、母語≠母国語でなく、故国・故郷とは別の祖国を意識する事がないが、都内で仕事・生活を続けるにあたって、方言が自分の中から失われようとしている現実は、故国、母語をも失い兼ねない事になるのだと気付かされた。
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目次: 一 「一つのことば」とは何か 二 母 語 の 発 見 三 俗語が文法を所有する 四 フランス革命と言語 五 母語から国家語へ 六 国語愛と外来語 七 純粋言語と雑種言語 八 国家をこえるイディシュ語 九 ピジン語・クレオール語の挑戦 あ と が き
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