魔女狩り の商品レビュー
魔女狩りが被告の財産を回収するために行われたこともあったとは知っていたけど、それが表向きには「裁判でかかった費用の回収」とされていたことは知らなかった。
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当時のカトリックは免罪符など、お金の力で清浄が買えるとし、聖職の地位までお金次第というような体たらくなくせにプライドはやたら高くて、聖職者の下位のものですら一国の王よりも地位は上だなんてやっていたようです。そういう腐敗した土壌から魔女狩りが生まれていく。王も聖職者も文化人も科学者も、社会的に発言力のある人々のみんなといっていいほどの多くが魔女狩りに賛同して、たくさんの残酷な火刑などによる死をもたらしたわけで。魔女狩りの前段階に異端審問の制度がととのい、さらにその前段階にはカトリックの異端を根絶やしにするためのアルビ十字軍が殺戮を行った。ヨーロッパのこういった血なまぐさい歴史が現代のヨーロッパ人の奥深さに繋がっているのかもしれない。また、なにか、この魔女狩りへの過程から社会学的に教訓としうるものって多くあると思う。権威ある教会や貴族たちがみな魔女狩りに同意するということ、負の側にオーソリティがついて、それが正しいとされてしまうこと、これは怖いことだ。民主主義じゃなかったから魔女狩りだとか異端審問はおこったのだ、という考えもありそう。民主的な自由な気風の南フランスから、自由な思想としてのアルビ派などの異端が出てきたように、民主的な雰囲気自体がマイノリティだったから、力で弾圧されたとも見れるかも。しかし、そうやって民主主義がマジョリティになると、魔女狩りなどは起こりにくくなるかというと、アメリカではセイラムで大きな魔女狩りがあったりして。じゃ、IT革命後の現代ではどうかというと、炎上だの誰誰叩きだのがあって、これは一種の軽い魔女狩りの様相を持っているように見える。カトリック協会は、自分自身が腐っていってだめになっていったせいで、異端を生んだりなどし、立場が危うくなったのに、自分のせいには決してしないから、魔女狩りという悲劇を生んだと考えられもする。自分は絶対に悪くないという立場。魔女狩りの時代はそういう種類の輩がのさばるんだから、社会の不公平っていうのは原理的にそういうものなのかな、なんて悲しく思えたりもする。当時のカトリックをひとつの人格ととらえてると、自省せよ、内省せよと言いたくなる。自分の言動や行いを省みることのない人は、かなり迷惑な人になると日ごろから考えています。魔女狩りを例にとっても、それは言える。けして自らの過失や間違いを認めない者は迷惑な者である。以上から、きっと、ネットの炎上も誰誰叩きも、それをやる人の多くは、なにか間違いやいたらない点があっても、自分のせいにしないタイプの人なんじゃないかなあなんて考えたりもしました。
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17世紀に最盛期を迎えた魔女狩りはどういった経緯で起きたのだろうか。キリスト教の魔女に対する捉え方の変化と異端審問から説明している。 また、魔女狩りが起きた社会的背景ついてキリスト教国での比較を通じて述べられている。
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魔女狩りが経済的または政治的な事情をはらんでいることについて、非常に腑に落ちる印象を受けた。 富の争奪と政治権力の獲得におけるひとつのツールが異端審問であり、本来の異端審問とは無縁であった魔女であることがわかる。 ツールは為政者の都合の良いように組み合わさり、絶対に否定できない価...
魔女狩りが経済的または政治的な事情をはらんでいることについて、非常に腑に落ちる印象を受けた。 富の争奪と政治権力の獲得におけるひとつのツールが異端審問であり、本来の異端審問とは無縁であった魔女であることがわかる。 ツールは為政者の都合の良いように組み合わさり、絶対に否定できない価値のもとに人を拘束する。 現存のかちのもとにレッテルの貼りあいをし続けるという点では、現代の異端審問とは科学的な正しさや自由や平等といったところだろうか。
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カトリックによる異端審問という側面から魔女狩りについて考察してある一冊です。魔女狩りについて何も知らないわたしでも、順を追って説明がなされているので楽に読むことができました。ここに書いてあることだけが正しいとは限りませんが、一読する価値はあると思います。
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中世ヨーロッパの異端審問から派生した魔女狩りについてまとめられた本。 今の価値観で言うところの「善良な人」なんてひとりもいそうにない中世ヨーロッパは魅力的だ。 爪をはがすのは「予備拷問」で、記録としては「拷問なし」に区分されることにいささかショックを受ける。「ひぐらし」なんて...
中世ヨーロッパの異端審問から派生した魔女狩りについてまとめられた本。 今の価値観で言うところの「善良な人」なんてひとりもいそうにない中世ヨーロッパは魅力的だ。 爪をはがすのは「予備拷問」で、記録としては「拷問なし」に区分されることにいささかショックを受ける。「ひぐらし」なんて拷問にもなってないじゃないか。 興味のツボにピンポイントで、得るところのおおい読書だった。魔女狩りに興味のある人が概要を知るための本として、絶対的におすすめ。
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魔女はファンタジーで扱われることが多いが、歴史的な位置付けを知りたかったために購入した ひたすら狂気を感じる 疑心暗鬼、謀略、保身、ほんとうにこわいのは人間だ
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中世のキリスト教の不寛容さが、いかに魔女狩りの狂気に走らせたのかをすごく明快に解説されています。 有罪ありきの裁判、死の方がマシと思わせるひどい拷問の数々、財産没収目当ての告発、、、人間が人間にこんな酷いことが出来るのかと、読んでいて胸が痛い。。 本書からの引用。 『人間は宗教的信念(Conscience)をもってするときほど、喜び勇んで、徹底的に、悪を行うことはない。』
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「新書」なるものを初めて読んだ本。 その当時、「魔女狩りは日本でも起きている。。」と思ったものだ。
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今回の地震も魔女のせいにされたのだろう。当時ならば。 神の名の下、教会の名の下、また法王の名の下で行われた残虐行為。 ダビンチコードはフィクションだが、なるほどなんとなくあの作品が伝いたいとしている事はわかった気がした。
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