クラシック極上ノート の商品レビュー
本書は、「現代ギター」と「CDジャーナル」という雑誌に連載していた1997年〜2003年の記事をピックアップし、まとめたものである。 エッセイという体裁と、本としてのまとまりのなさは、いかにも寄せ集めという感じがする。 文章や内容は悪いものではない。むしろ、良い方に分類されるだ...
本書は、「現代ギター」と「CDジャーナル」という雑誌に連載していた1997年〜2003年の記事をピックアップし、まとめたものである。 エッセイという体裁と、本としてのまとまりのなさは、いかにも寄せ集めという感じがする。 文章や内容は悪いものではない。むしろ、良い方に分類されるだろう。エッセイは、発売されたCDや、聴いたライヴなどをテーマとして、そこから話を広げていくスタイルで書かれている。 もし毎月買っている雑誌に、本書の様な記事が連載されていたら、そのページは毎月必ず読むだろう。読みやすい文章だし、記事としての質もなかなか高いと思うからだ。 だが、その記事を切り抜いて保管し、また繰り返し読みたいとまでは思わない。これは何も私に限った話ではなく、大多数の意見でもあるだろう。雑誌の記事をスクラップして、また読み返す人は多くない。雑誌の記事というものは、往々にしてその様な性質を帯びている存在である。 時折折の話題を発展させて、短くまとめてあり、楽しめれば、それは良い記事であると言える。そういう面で、本書の個々の記事は優れていることは疑いようがない。 しかしながら、個々の記事としてみた場合には優れていても、1冊の本としてみた場合には優れているとは言い難いというのが、私の感想である。 雑誌の連載記事は文字数が決まっているため、深い内容は書けないこと(書き手によって例外はある)。また、本書の記事は、雑誌連載時の旬の話題で構成されているため(『祝ジャン・フルネ90歳」、『「フジ子」は誰なのか?』という記事タイトルからも旬の話題を取り上げていることがわかるだろう)、旬の時期が過ぎると、その価値は下がることも、本としてみた場合の評価に影響を与えている。 2003年に発売された本書を、20年経った2023年に読む価値はあまりない。
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