西行 の商品レビュー
西行の評論としてはよく知られている。部分的に読んでいたが、改めて通読してみた。研究者とは異なる精神面や創作意識に踏み込んだ内容であり、文学の読み方を改めて考え直した。 西行は平安時代末から鎌倉時代初頭の激動期を行き、その内面を言葉にして表現した。御子左の歌風が幽玄という言葉で...
西行の評論としてはよく知られている。部分的に読んでいたが、改めて通読してみた。研究者とは異なる精神面や創作意識に踏み込んだ内容であり、文学の読み方を改めて考え直した。 西行は平安時代末から鎌倉時代初頭の激動期を行き、その内面を言葉にして表現した。御子左の歌風が幽玄という言葉で表現される一種の象徴主義に傾いていく中で、西行の歌風は異質だと考えていたが、本書によれば西行もまた心の表現を象徴として描くことで時代の流れの中にあったということである。 また、早くから伝承の人物となり、変形していった歴史も論じている。貴種流離譚ではなく、貴種と庶民の中間的存在として語られていった様が語られていた。 西行がなぜ魅力的な歌人として後世の評価を得てきたのか。それが分かる一書である。
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西行の生涯と歌、さらにかずかずの西行伝説なども参照して、西行の「心」について考察をおこなっている本です。 著者はまず、西行の桜についての歌を参照して、「散る桜」において悲しさと明るさが融合していることをたしかめ、「桜」と「心」のあいだに成り立っている関係に目を向けています。そし...
西行の生涯と歌、さらにかずかずの西行伝説なども参照して、西行の「心」について考察をおこなっている本です。 著者はまず、西行の桜についての歌を参照して、「散る桜」において悲しさと明るさが融合していることをたしかめ、「桜」と「心」のあいだに成り立っている関係に目を向けています。そして、藤原俊成と定家の父子とは異なり、花の「美」のもとへ「心」が消え去っていくのではなく、花の「美」へと「心」が吸い寄せられつつもその「心」を凝視しつづける自意識が、西行の歌を特徴づけていると論じられます。また著者は、西行伝説のなかに登場する西行像や、能のさまざまな演目で西行にはつねにワキの役が割りあてられていることにも注目して、「見る人」としての西行のありかたを明らかにしています。 これらの議論を踏まえて、西行の「心」がさまざまに移ろいゆく世の中に寄り添いつつも、それらから自由であると著者は考えます。こうした西行の態度は、彼の仏教へのかかわりかたにおいても見られると著者は論じています。 最後に著者は、西行と芭蕉の関係についても考察をおこない、西行の歌が「動」と「静」の一致を五七五七七の形式で表現していたのに対して、芭蕉がよりいっそう「静」の表現に傾いているところに、五七五の形式の本質が発見されることになったという主張が展開されています。
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願わくは花のしたにて春死なんそのきさらぎの望月のころ・・・の西行。 フォトリーディング&高速リーディング。
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兎に角「西行」という人物は分からない。今から800年も前の人物だから、なおさら想像しにくいのかもしれない。芭蕉なら何となくイメージ出来るのだが・・・(これも実体とは違って、自分本位のイメージですが) 政治とも関わらず、和歌の本流からも外れ、だけど時の天皇や上皇、最大の権力者の平...
兎に角「西行」という人物は分からない。今から800年も前の人物だから、なおさら想像しにくいのかもしれない。芭蕉なら何となくイメージ出来るのだが・・・(これも実体とは違って、自分本位のイメージですが) 政治とも関わらず、和歌の本流からも外れ、だけど時の天皇や上皇、最大の権力者の平清盛とも近く、更には源頼朝ともサシで話をする。また全国各地に西行伝説があり、歴史に名を留めている。 西行から500年後の芭蕉は、西行を理想として「おくのほそ道」に旅立った。一介の歌人が何故こうまで、後世に影響を与えているのかが分からず、この本を手にした次第ですが、やはり「西行」のイメージは湧いてきませんでした。 この5月から「西行」の勉強会が始まったので、じっくりと時間をかけて私なりの「西行」のイメージを作って行くつもりです。
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冬休みの年越し本。白洲正子さんなど数多くの著名人に愛される西行だけど、昨年の「平清盛」で狂言回しとして登場した時には、どー考えても「なぜそこで出る?つーか見てるだけで何もしないのか、このいるだけでモテるイケメソ美坊主は」などとツッコミをいれたくなる存在であった(笑。意見には個人差...
冬休みの年越し本。白洲正子さんなど数多くの著名人に愛される西行だけど、昨年の「平清盛」で狂言回しとして登場した時には、どー考えても「なぜそこで出る?つーか見てるだけで何もしないのか、このいるだけでモテるイケメソ美坊主は」などとツッコミをいれたくなる存在であった(笑。意見には個人差があります)。彼の歌や出自から民間伝承までを参考資料にして考察されたこの本を読み、西行の人間くささを垣間見ることができたのはよかった。そして清盛で描かれた西行像がこれとあまりズレてなかったのに感心した(こらこら)。西行が人骨を集めて人間を作ろうとして失敗する逸話を大河スピンオフとしていつか作って欲しい(苦笑)。
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