大阪の文化と笑い の商品レビュー
【概略】 「笑い」が持つパワーは、万国共通であり、人と人との距離を縮める最高の武器である。笑いの持つ「誘引作用」「親和作用」「浄化作用」「解放作用」は、絶対無二とは言わないものの、コミュニケーションにおける必須の事柄・・・であるにも関わらず、江戸時代の侍文化・明治維新から始まる...
【概略】 「笑い」が持つパワーは、万国共通であり、人と人との距離を縮める最高の武器である。笑いの持つ「誘引作用」「親和作用」「浄化作用」「解放作用」は、絶対無二とは言わないものの、コミュニケーションにおける必須の事柄・・・であるにも関わらず、江戸時代の侍文化・明治維新から始まる富国強兵下の日本では、「笑い」=不謹慎とされてきた。そんな中、「大阪」という地域は、変わらず「笑い」を中心に置いてきた。そして今もなお、大阪は笑いの中心地として君臨している。何故、こうも多くのお笑い芸人を輩出するのか?日本笑い学会会長であり、関西大学名誉教授である著者が、大阪の芸能の歴史とともに、「笑い」に対して切りこむ。 2019年01月02日 読了 【書評】 まず事情説明。☆2つの理由は、単純に「自分が求めていた内容ではなかった」だけであり、内容そのものは、勉強になった。とりわけ「俄(にわか)」というもの、町人学者、大阪の人達の「する文化」というものについては、腑に落ちるものばかりだったなぁ。 自分が求めていた内容、というのは、「どうやったら自分を面白くできるのか?」「なにかお笑いに関するヒントはないか?」というもの。そういう意味で、ちょっと違ってたんだよね。 しかし、そうはいったも、「笑いのチカラ」、その重要性、そして、タテに広がる社会である「大阪以外(主に関東?)」であるのに対し、ヨコに広がる社会「大阪」の違いなども、納得。士農工商が強い江戸から東京、そして地方出身者が多く集まる東京が、身分や肩書といったステータスによって上下が決まるのに対し、商人の世界である大阪は、横に広がる、日本国内の中で、一番「英語が持つ文化圏」に近いのではないか?と思った。 先日の山田玲司さんが著書で海女さんの話に触れてた。危険な素潜りという作業をするにあたって、海女さんはココロの状態に気を配るそうだ。いわゆる不機嫌な状態ではなく、ご機嫌な状態にして海に入るよう、心がけるそうだ。本書でも、ベテランのタクシー運転手さんの話題が出てきた。仕事中(運転中)、事故が起きる時は決まって、「奥さんと喧嘩」した後だそうだ。「奥さんと喧嘩」というのは単なる事例の1つであって、いわゆるココロがざわめいている時は、細やかな作業などはすべきではない、ことを示している。逆に、笑いをまとっている時、ココロが晴れやかな時は、事故の発生率は低いそうだ。そして、大阪の方達は、(商人文化という)その背景から、笑顔がもたらす効果を無意識に理解しているということだそうだ。すばらしい。 ただ、いっこだけ。そうは言っても、著者は大阪との距離がかなり深い立場にいらっしゃる方。外側から見た大阪という立場からすると、美化し過ぎてる部分もあるかなとも。なんというか、歯に衣着せぬ発言が、キツい時あるからね(笑)そのテンションで切り返していいのか、わからないこと、あるし(笑) 参加してみたい「国際ユーモア学会」の文字が出てきた。ちょっと首、突っ込んでみようと思う。
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大阪の笑いとは「人間が本来備えている笑いの能力を活かし、笑いを大事と心得、長年、笑いの文化を育ててきたという意味でのタイトルだと冒頭説明がある通り、大阪ではなぜ笑いを重視してきたのかその歴史を語り、笑いの効用など実に楽しく語ってくれます。「言え」は標準語では8通りの表現しかないが、大阪弁では28通りあるというのは実に楽しい紹介です。(P71)「上方文化」以来の伝統の上に「お笑い」があるのですね。 言えや、いいな、いいや、ゆうて、ゆうてえな、ゆうてや、ゆわんか、ゆわんかい、ゆわんかいな、ゆわんかいや、いいんか、いいんかい、いいんかいな、いいんかいや、ゆうてんか、ゆうてんかいな、いいなはれ、いいなはれや、いいなはらんか、いいなはらんかいな、ゆうとくなはれ、ゆうよくなはれや、ゆうとくなはらんか、ゆうとくなはらんかいな、ゆうとくなはれしまへんか、ゆうとくなはれしまへんかいな、ゆうとくなはれしまへんやろか。共通語では、言え、言えよ、言って、言ってよ、言わないか、言わないかい、言いなさい、言いなさいよ、の8通りだそうです。笑いの効用、漫才の8パターンの説明などに至っては少し平板でした。
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