チョムスキー、世界を語る の商品レビュー
ノーム・チョムスキーの「生成文法」論は、ちょっと間違っているんじゃないかという気がしているが、政治・社会分野で鋭くユニークな発言をしているらしいので、こういう本も読んでみることにした。 ただし、本書は「インタビュー」を記録したものである。この手のものはみんなそうだが、奥行きがあま...
ノーム・チョムスキーの「生成文法」論は、ちょっと間違っているんじゃないかという気がしているが、政治・社会分野で鋭くユニークな発言をしているらしいので、こういう本も読んでみることにした。 ただし、本書は「インタビュー」を記録したものである。この手のものはみんなそうだが、奥行きがあまりなく、思想主題も結局は語り尽くされずに終わってしまうため、思考の全体像がどうにも掴めないという欠点がある。 本書の中では、多国籍企業は「組織の方が個人よりも上位に立つという原理につらぬかれ」ており、共産主義やファシズムと同様の「全体主義」の形態をしめしている、といったチョムスキーの指摘が気に入った。 そのうえで、チョムスキーは現在について、企業と国家とが、それぞれ異なる次元に属するものでありながら、支え合い強力な権力となって、世界を覆い尽くそうとしている、と語る。大衆はニュースを観客として目撃しながらも、ある程度以上は政治に参加できない、という状況に追いやられている。 チョムスキーはどういうところから世界情勢の情報を入手しているのかわからないが、特に合衆国的な体制を鋭く批判し、権力のシステムを見破ろうとつとめるその姿勢には、とても好感が持てる。 とはいえ、やはりこの本はインタビュー本なので、彼の思考に深く分け入っていくことが難しい。ちゃんと「書かれた書物」として、この分野での彼の著作を読んでみたい。
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さすがチョムスキー。 その慧眼には驚きます。 出来事の裏に隠された本質的な変化、動きを捉えること、考えること、これは確かにとても大切なこと。そういった視点を忘れないでいたい。
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当たり前のように思っている民主主義が、実はほとんどその理念を達成していない。 メディアや知識人、大企業の実態を暴き、本当に世の中を動かしているものは何なのかに迫る。 チョムスキーは権力側を単純に悪者扱いせず、彼らのリアルも取り上げて真実を見ようとしていて、とても真摯な印象を受ける...
当たり前のように思っている民主主義が、実はほとんどその理念を達成していない。 メディアや知識人、大企業の実態を暴き、本当に世の中を動かしているものは何なのかに迫る。 チョムスキーは権力側を単純に悪者扱いせず、彼らのリアルも取り上げて真実を見ようとしていて、とても真摯な印象を受ける。
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ゼミでやってきたことと、フランスで学んだことがシンプルに分かりやすくまとめられている。 うまくまとめられない自分にはもってこいの本でした。
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