デフレとバランスシート不況の経済学 の商品レビュー
①金融の実務経験があり、②経済学の素地もきっちりあり、③アメリカと日本経済に関しての豊富な知識、さらに④日本を中心に企業関係者と多数の接触があるクー氏ならではの本である。全般的に説得力がありかつ的を射た指摘が沢山掲載されているので、何度も目から鱗が落ちた。 上記4つを備えた人はな...
①金融の実務経験があり、②経済学の素地もきっちりあり、③アメリカと日本経済に関しての豊富な知識、さらに④日本を中心に企業関係者と多数の接触があるクー氏ならではの本である。全般的に説得力がありかつ的を射た指摘が沢山掲載されているので、何度も目から鱗が落ちた。 上記4つを備えた人はなかなかいない。経済学者はしばしば理論的には正しくても実現可能性の低いことを言うし、B/SやP/Lすら読めない人も沢山いる。また統計だけでものごとを判断しようとして実際の現場の声を聞かない政策立案者も多い。クー氏の最大のアドバンテージは「現実がよくわかっている」ことと、「因果関係を見抜くことが出来る」ことだ。 本中では様々な処方箋が書かれており、いくつかは過激な印象も受けるが、GDPを増やすという意味では正しい。ただここで同意しにくい点がある。つまりクー氏が一貫してGDPという数字をどう増やすか、何で埋め合わせるかを議論していて、GDPにとらわれすぎている点だ。本質はもっと広いはずだ。環境、福祉、幸福感などなど。GDPがこれら全てを正確に反映しているとは思えない。しかしいずれにせよ現在のSNA体系下の各種指標を上向かせるにはクー氏の指摘が大変的を射ているし、目から鱗が落ちたことは間違いない。この本を読めば他の評論家の底の浅さがわかるようになります。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ヘリコプターマネーは、金融当局の信認を失うことによってのみ機能する したがって、バランスのいいヘリコプターマネーやインフレターゲットはありえない。 デフレは、一物一価への構造的変化と、それを上回る総需要の縮小からくるものがある。前者は本来のデフレではないが、後者は金融政策の不適切さを表している。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「バランスシート不況」 この概念はまさに今の日本にも当て嵌まる、「まだ」当て嵌まっていると言える。長期金利もこの本が書かれた時より低くなっている。 そしてまたこの概念を用いれば、日本の状況がよく分かる。 「財政政策」に関しては全く考えたことがなかった、というかこれまでが感覚で「財政政策は無駄なもの」という偏見が頭に定着していた。 しかし実際に数字で見せられ、日本のデフレギャップ分を財政政策が賄っていたと分かると、その見方を変えざるを得ない。 住宅問題、土地問題に関してはもう少し他の人の著書などをよく読んでみたい。
Posted by
循環型不況とバランスシート不況の違い、アジア通貨危機の本質、それによって潤った国、危機の原因、教訓などの箇所は特に興味深く読んだ。 国債の借金を恐れず個人の消費を増やす政策を採り、住宅面積・休暇の倍増を図る。
Posted by
池田信夫氏にはボロクソ言われてますが、今までモヤモヤしていた胸の痞えが下りたような、言葉に置き換えられたような気がします。 よく銀行勢から聞こえてくるのが「資金需要が無い」という嘆きの声です。儲かっている企業は自己資金で事業を拡大、家計も借金が嫌いでせっせと債務の返済に明け暮れ...
池田信夫氏にはボロクソ言われてますが、今までモヤモヤしていた胸の痞えが下りたような、言葉に置き換えられたような気がします。 よく銀行勢から聞こえてくるのが「資金需要が無い」という嘆きの声です。儲かっている企業は自己資金で事業を拡大、家計も借金が嫌いでせっせと債務の返済に明け暮れています。経済に参加するプレーヤーが、何を考え、どう行動しているか。金融政策の限界とは。そして、どこで経済学は間違えてしまっているのか。非常に重要な指摘に溢れ、個人的には読んで良かったと思える本です。 ケインズとフリードマンの理論の橋渡しをするといった内容です。ただ財政政策には無視するわけにはいかない非効率が付きまとうので、そこを解決するのか、無視するのかで今のところ★マイナス1です。市場の失敗もありますが、それと同じかそれ以上に政府の失敗も酷いものですので。
Posted by
今までとは不況の構造が違うという話 ケインズが看過し、マネタリストたちが見落としてきたバランスシート不況のメカニズムを明らかにし、小泉経済政策の大誤解を糾す。日本経済の変化を誰よりも早く指摘し、的確な診断と治療法を提示し続けてきたクー理論の集大成。 小泉経済政策の間違いを独...
今までとは不況の構造が違うという話 ケインズが看過し、マネタリストたちが見落としてきたバランスシート不況のメカニズムを明らかにし、小泉経済政策の大誤解を糾す。日本経済の変化を誰よりも早く指摘し、的確な診断と治療法を提示し続けてきたクー理論の集大成。 小泉経済政策の間違いを独自の観点で指摘した本。 小泉経済政策って何をやったんだっけ?郵政改革は記憶にあるけど、、というくらい過去の話になっています。 確かに日本経済への影響は多少あったかもしれないけれど、今の経済危機のほうがよほど深刻です。 この不況に彼の理論は生かせるのでしょうか。
Posted by
財政緩和が効かないのはなぜか。個々の企業がバランスシートの補修=過剰債務の返済に狂奔するから、とします。
Posted by
感動した本です。 経済書を読んで感動するとは思いませんでした。 債券市場、金利、国債の市場の受入の許容度(弾力性)、バランスシート不況、財政政策と金融政策の評価、政策の提言、全てが高いレベルにあります。この作者をバラマキ論者と括られるパンピーはぶち殺されるべきだと思います。合成の...
感動した本です。 経済書を読んで感動するとは思いませんでした。 債券市場、金利、国債の市場の受入の許容度(弾力性)、バランスシート不況、財政政策と金融政策の評価、政策の提言、全てが高いレベルにあります。この作者をバラマキ論者と括られるパンピーはぶち殺されるべきだと思います。合成の誤謬が本書のキーワード。
Posted by
この不況はなぜ長引いたのか。ケインズが看過し、マネタリストたちが見落としてきたバランスシート不況のメカニズムを明らかにした。日本経済の変化を誰よりも早く指摘し、的確な診断と治療法を提示し続けてきた「クー理論」の集大成。
Posted by
財政出動は害悪で効果の無かったものだと私は思っていた時期があったのだけど、クー氏の著書「日本経済 生か死かの選択―良い改革悪い改革」を読んで考えを変えた。 初めて読んだ経済学者の本は、私はクー氏の「日本経済 生か死かの選択―良い改革悪い改革」だった。そんな私がこの本を読ん...
財政出動は害悪で効果の無かったものだと私は思っていた時期があったのだけど、クー氏の著書「日本経済 生か死かの選択―良い改革悪い改革」を読んで考えを変えた。 初めて読んだ経済学者の本は、私はクー氏の「日本経済 生か死かの選択―良い改革悪い改革」だった。そんな私がこの本を読んで考えを変えるという事は、分かりやすく説得力のある本だったからというのが一つの理由になるかと思う。 今現在は「日本経済 生か死かの選択―良い改革悪い改革」よりも、「デフレとバランスシート不況の経済学」の方を丹念に読んでいる。たいした理由ではないが、なんとなく、「デフレとバランスシート不況の経済学」の方がよくまとまっているんじゃないかという感じがするからだ。 普通一般の人には気づかれていない点を指摘していると思うので、そういう人たちにとっては示唆的な本ではあると思う。
Posted by
- 1