宦官 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
宦官の古今東西における存在の事例や、去勢手術、職務や宦官禍の盛んとされた」、前後漢・唐・明の事績を叙述している。特に手術や手続きに関する部分は生々しく読むのに目を背けたくなる。 終章で日本に宦官制が定着しなかった理由として、殷にて羌族捕虜がされたことを事例に、去勢はそもそも他民族が大将だったことから、単一民族である日本ではその芽がなかったと推論している。しかし、その後の中国では自民族にも刑罰や自宮の例があり、また歴代で交流はあったのにも関わらず日本にはついぞ輸入されなかった点への言及が足りないように思う。
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中国の歴史を背後から支え動かしてきた宦官について解説がなされており、中国の裏面史ともいうべき内容の本です。 中国史の全体にわたって、宦官が果たしてきた役割を一般の読者向けにわかりやすく説明しており、ダイナミックな中国史のなかでそのときどきの権力中枢と密接に結びついてきたこの制度...
中国の歴史を背後から支え動かしてきた宦官について解説がなされており、中国の裏面史ともいうべき内容の本です。 中国史の全体にわたって、宦官が果たしてきた役割を一般の読者向けにわかりやすく説明しており、ダイナミックな中国史のなかでそのときどきの権力中枢と密接に結びついてきたこの制度の実態を知ることができました。 終章は、「宦官はなぜ日本に存在しなかったか」「現代における宦官的存在」の二部から成っています。著者は異民族の征服と宦官の発生を結びつけ、日本の歴史において宦官が存在しなかったことの説明をおこなっています。他方で「宦官的存在」については、現代の日本もけっして無縁ではないどころか、そうした存在がますます社会のなかで大きな役割を果たすようになっているという著者の感想が語られていて、かなり自由なエッセイになっています。
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3ページで国が滅ぶ位の勢いである。 中国における(日本以外の世界における)、宦官の発端は、どうやら「人に非ず」というものあるらしい。まぁ男性的で合理的な発想だ。 しかしながら中国における宦官の扱いというのは、きわめて人間くさい。正確に言うと、皇帝という存在の非常さを支える、...
3ページで国が滅ぶ位の勢いである。 中国における(日本以外の世界における)、宦官の発端は、どうやら「人に非ず」というものあるらしい。まぁ男性的で合理的な発想だ。 しかしながら中国における宦官の扱いというのは、きわめて人間くさい。正確に言うと、皇帝という存在の非常さを支える、人間的な部分。宦官であるが故に中国人特有の気の強さを失った人たち。 中国を支えてきたのは彼らなのだなぁ……と思う。 誰がどう見ても極悪にはなれず、人の弱い部分を残しながらも権力を握る宦官の姿は、どこか哀れである。 ちなみに、中国で最後の宦官が亡くなったのは、1996年。ごく最近まで、宦官は居たのである。
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白州正子の「両性具有の美」の中で紹介されていたので、読み始めた。中国の国土の広さ、人種の多様さ、結果として生存競争の厳しさ・・・当然、男でも女でもない存在のあり方もスケールが大きくて残酷。 歴史本と侮るなかれ。現代の企業内の構造と照らし合わせて考えると面白い。
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私の人生を大きく歪めた一冊。この本を読まなければ、中国史をやりに×××大学に行かなかったのに。。。 そんな恩讐を越えて恩師の名著をお薦めします。
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