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なぜ日本経済は殺されたか の商品レビュー

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2012/02/09

≪読みたい≫ 懲りずにヴェルナー本。ただ対談相手が吉川元忠という日本でもそれなりに評価されている経済学者というところがポイント。 単なるトンデモと思われているヴェルナーの主張に対し、日本人経済学者はどう反応しているのか。今回の興味はそこですね。 ≪読んだ≫ ヴェルナーと吉川氏は...

≪読みたい≫ 懲りずにヴェルナー本。ただ対談相手が吉川元忠という日本でもそれなりに評価されている経済学者というところがポイント。 単なるトンデモと思われているヴェルナーの主張に対し、日本人経済学者はどう反応しているのか。今回の興味はそこですね。 ≪読んだ≫ ヴェルナーと吉川氏は意見の相違が少なくなかった。たとえばバブルの発生と崩壊は日銀の策略であり、 大蔵省は無力だったというヴェルナーに対し、吉川氏大蔵省にも権力は十分にあるという。また、 ヴェルナーは信用創造さえすれば景気をいくらでも回復させられると主張するが、 吉川氏は信用創造はそこまでオールマイティーではないと主張する。ただ、両者ともに日本の金融政策がアメリカの思惑通りでしかなく、 決して日本国民のために行われてはいないという主張は共通している。吉川氏は竹中平蔵氏をはじめ政策の中心に居る人間はほとんどが 「アメリカのエージェント」だと非難していて、日本人はもっと自国の経済について関心を持ち、 アメリカのいいなりにならないようにすべきだと提言している。 対談は全体を通して、極端ともいえるヴェルナーの仮説に対して距離を置きつつも方向としては賛同している吉川氏という展開となっている。 対談を通じて意見の相違が解消されていくわけではないので少々消化不良の感は残るが、 逆にお互いに同意しまくる対談というのも気持ちが悪いので、ちょうどよいだろう。 最近読んだ「会社はこれからどうなるのか」や「黒字亡国」とリンクした内容が非常に多かったのも印象的だった。 さて、吉川氏は本書で対談時点のアメリカ追従型日本の状況を憂い、その処方箋としての提言もいくつか行っていた。 2006年現在の日本の状況に対してどのような分析を行っているか興味深かったのだが、惜しくも2005年秋に逝去されたらしい。 たいへん残念である。

Posted byブクログ