ブッシュの「神」と「神の国」アメリカ の商品レビュー
「米国ブッシュ大統領の対外政策はキリスト教右派に大きな影響を受けている」という解説を、ときどき日本の「良心的」マスコミに見出すことがある。そして日本の「進歩的」神学者たちも好んで同調している。この本はまさにそのような立場で書かれている。内容はなるほど神学者が書いたものらしく、一般...
「米国ブッシュ大統領の対外政策はキリスト教右派に大きな影響を受けている」という解説を、ときどき日本の「良心的」マスコミに見出すことがある。そして日本の「進歩的」神学者たちも好んで同調している。この本はまさにそのような立場で書かれている。内容はなるほど神学者が書いたものらしく、一般マスコミとは比べ物にならないぐらい詳しく書かれており、信頼できそうである。この程度の知識は日本のマスコミの担当記者の皆さんには持ってもらいたいものである。しかし、ある薄さが気になるのも確かである。その薄さとは、「キリスト教右派」の内在的理解の欠如ゆえの薄さである。「キリスト教右派」と呼ばれる教会に属し、ブッシュを応援している多くの一般米国民は、おどろくほど柔和で信仰深く、家族の絆を大切にするクリスチャンたちである。そのようなクリスチャンたちが、なぜ「結果的に」ブッシュを支持するに至っているのか。この部分を理解しなければ、彼らとの有効な対話を持つことも不可能であろう。「われらのキリスト教こそリベラルで正しいもの。彼ら原理主義は本来のキリスト教でない。」などという態度を取って押し込めておけるほど、キリスト教保守派はマイノリティーではない。彼らこそ、伝統的なキリスト教を最も大きく受け継いでいるのである。
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