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エコノミスト 南の貧困と闘う の商品レビュー

4.2

12件のお客様レビュー

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2018/10/18

[more]教育投資の重要性への疑問 ?人的資本以外への関連投資があるかどうかによる。単なる就学率向上だけでは成長につながらない。 出生率について 「望まないのに子供が生まれる」のではない→避妊具配布の無意味 人口抑制は本当に必要か? 人口増加率が高い→才能原則 「アイデア」...

[more]教育投資の重要性への疑問 ?人的資本以外への関連投資があるかどうかによる。単なる就学率向上だけでは成長につながらない。 出生率について 「望まないのに子供が生まれる」のではない→避妊具配布の無意味 人口抑制は本当に必要か? 人口増加率が高い→才能原則 「アイデア」は共有する人数が増えてもその分ゼロ・コストで共有されうる 人口増加は新しいアイデアを思いつくよう迫るインセンティブである。 1台のミシンを100人で使うことはできないが、アイデアは同時に利用可能 ドナー(援助国)と貧困層の悪質なインセンティブによる悪循環 補完関係と罠 個人と社会全体の関係が重要 同じ社会の他の人が同じような努力をしないと、自分がいくら努力しても意味がなくなってしまう。 そうすると自分も何もしなくなってしまう。誰もがそうする方が合理的だと思うと誰も努力しなくなる→貧困の罠 金持ちと貧乏人は互いに嫌い合っている。 貧困の罠の中でも、「期待」があれば実現する。 「技術」は素晴らしいが、使うインセンティブがなければたいしたことは起こらない。 保護主義擁護の問題 貧しい国が工業製品の輸入を許せば、工業化を始めるチャンスがある前に殺されてしまうと信じられていた。 工業の発展には学習曲線がある→幼稚産業論 しかし過去10年で、開かれた国ほど成長するということは明らかになっている。 政府の行動と成長は、相関関係はあるが因果関係はない 汚職の多さと成長は明らかに関係がある ?但し地方分権的汚職と中央分権的汚職では影響が異なる 民族多様性が高いと汚職がよりひどい(社会的分断の有無) アメリカがなんとか成功しているのは中産階級の多数化に成功したから まとめ 貧困を脱して豊かになるには、ドナー、途上国政府、途上国国民が三位一体となって、インセンティブに反応するという人間の本性を生かすことができれば、経済発展は必然的に起こる。

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2016/02/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

長らく本棚の肥やしとなっていた同書をやっと読破。前編を通して人はインセンティブに反応するという事、そして間違ったインセンティブを与え続けてしまった事を様々な角度から提起していると言える。 世界銀行、IMFと直接関わった事は無いが、短期間とはいえJICAと接点のあった者として非常にリアルに感じる事のできる話が多かった。その時に感じた違和感がやはり失敗に繋がっていたのだろうと思えた一冊だった。以下、気になったところを忘備録・・と思いきや、備忘録のために明記。今まで忘備録だとずっと思ってきたことを今知る・・(恥)。 P65 設備や機械の増加が成長の主因だという考え方を”資本原理主義”と呼んでいる。 P86 現在の富裕国に関し、90%以上の所得が1820年以降に作り出されたのである。それにも関わらず、貧困国が富裕国に追いつくという考え方が経済学の中に長い間染み込んでいる。 P113 教育とインセンティブ:問題の一つは教育を受けた人々が技術をどのように使っているかにある。政府の介入が多い国では、技術に彩光の収益をもたらすにはロビー活動を働きかける事になる。政府の介入により儲けの機会を作り出す。技術を得た人々は、経済成長に繋がる活動をせず、所得再分配に繋がる活動を指向する。 P152 ドナー側は財政赤字に関する条件が達成されない事についても無頓着のようである。援助を受けながら財政赤字が低下しない国には意図的にそうしている国が含まれる。プロジェクトが増えれば増えるほど、援助も赤字も増えるだろう。また構造調整融資が、汚職の多い政府と少ない政府をあまり区別しなかった事である。世銀の研究によると、援助はその国の政策選択に影響を与える事ができないという。またドナー側の専門家も、どの国を援助するかを決定するのに、途上国の政策の適切性を評価することができないのである。援助はドナー側の戦略的な利益によって決定されるものであって、途上国の政策選択によっては決まらないと思われる。 P190 債務救済をしても、援助を悪用する能力にきわめて長けた途上国に援助を与えてしまうだけである。債務救済は、政府の行動が改まらない国には無駄である。 p223 これまでエコノミストは、比較生産費の違いによって農産物生産をしたり、工業品生産をするパターンが決まると考えてきた。しかし技術獲得の考え方のほうがより現実を説明する。 P233 貧困の罠に関する収穫逓増の物語は、調整の失敗によって引き起こされるといっているのと同じである。残念ながら、市場だけではこのような調整ができないので、以前として貧困が存在し続ける。 P235 基本的要因が分かっても、成功のために考えられる全てのインセンティブを与えたとしても、我々には将来どんな経済が待っているか知る由もない。 P305 良くない政府は不運と同じで成長を阻害する。高インフレ率、為替レートの闇プレミアムが高い事、マイナス実質利子率、多額の歳入不足、自由貿易制限、粗末な公共サービス等は、成長にとって悪いインセンティブを生み出す。 P331 因果関係と相関関係を間違える話はたくさんある。それらを間違えないためにはどうしたらいいのだろうか。マイナス成長は、政府が投げやりな施策をとる原因となりうるだろうか。 P365 コモンズの悲劇 P375 不平等度が高い社会では、少数独裁は大衆教育に反対票を投じるだろう。大衆教育は、大衆の政治参加を育て、エリートから多数派への再配分を求めるかもしれない。他方、比較的平等な社会では、エリート集団は大衆教育に賛成票を投じるだろう。そのような社会では、成長から得られる利益に比べて再配分から得られる利益は小さいので、再配分に賛成票は投じないだろう。 P382 民族多様性の尺度と内戦の関係 P387 ドナーは民族の分断を全く認識してこなかった。援助資金が特定の民族集団に偏って役立つ場合があり、そうすると民族間の緊張を高めることについて十分検討しなかった。

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2014/03/31

[購入] 所属するゼミの課題図書で出会った一冊。様々な観点から既存の援助のあり方を批判し、疑問を投げかける。 教育に関する章の議論の前提の作り方など所々疑問点は残るものの、全体的に様々なデータを用いて理解しやすくまとめられているので国際開発の議論の入門のうちの一冊として役に立つ...

[購入] 所属するゼミの課題図書で出会った一冊。様々な観点から既存の援助のあり方を批判し、疑問を投げかける。 教育に関する章の議論の前提の作り方など所々疑問点は残るものの、全体的に様々なデータを用いて理解しやすくまとめられているので国際開発の議論の入門のうちの一冊として役に立つ。援助に懐疑的でない他の著者、推進派(ビッグプッシュ型)やオルタナティブ派の著作にも同時に触れることでバランスを保つことが出来ると感じた。

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2014/01/24

ビックプッシュが必要であると主張するサックスに真っ向から反対する論客として有名なイースタリーの本。すごくリアリティがあって開発経済学に対するモチベーションが湧く一冊だった。

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2010/05/11

非常に興味深い内容だった 貧困をなくすにはどうしたらよいか、ということに焦点を当てつつも、 彼が立つポジションは、ジェフェリーサックスとは一線を画している 自分は個人的にボノやサックスの考えが好きでこういう分野に興味を持っただけに、刺激を受けた ただ、今回もまた自分の...

非常に興味深い内容だった 貧困をなくすにはどうしたらよいか、ということに焦点を当てつつも、 彼が立つポジションは、ジェフェリーサックスとは一線を画している 自分は個人的にボノやサックスの考えが好きでこういう分野に興味を持っただけに、刺激を受けた ただ、今回もまた自分の知識や経験が絶対的に足りていないので、 理解も及ばないし、納得のいく評価もできないでいるが、 この先またこの本に戻ってくる価値があると思う 完全に理解ができていないという意味で☆4つ

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2010/04/19

William Easterly,The Elusive Quest for Growth: Economists' Adventures and Misadventures in the Tropics(2001)の全訳。 貧困を脱して豊かになるには、ドナーが、途上国...

William Easterly,The Elusive Quest for Growth: Economists' Adventures and Misadventures in the Tropics(2001)の全訳。 貧困を脱して豊かになるには、ドナーが、途上国政府が、途上国の市民が、三位一体となって、インセンティブに反応するという人間の本性を活かすことができれば、経済発展は必然的に起こる。そうしなければ、発展は起こらない。しかしながらドナー、途上国の政府と市民は、しばしば経済学の基本原理を間違って適用し、正しいインセンティブを活用せず、その結果発展は起こらなかった。貧しい国を研究するエコノミストは、過去の傲慢さを忘れてはならない。貧しい国を豊かにすることは、考えるほどにはやさしくないのだ。貧しい国が直面する問題を明らかにすることはできるが、実行可能な処方箋を提示することはとても難しい。難しくはあるけれども、成長を求める旅をあきらめることほど間違ったことはない。 2001年に発表されたものなので、今読むと彼の主張することに特別目新しいものは感じない。しかし当時これほどまでにはっきりと援助の失敗をはっきりと指摘したことは、世の中に大きな衝撃を与えたのではなかろうか。これからの援助を考える上で、過去の失敗から学ぶことはこの上なく重要なことだ。 4章教育は成果をもたらしたか 「私は28歳までの22年間を学習に費やしたため、教育の重要性を当然視してしまう傾向がある。私にかぎらず高学歴の研究者には同様な傾向の人が多い。」(P99)という書き出しで、イ―スタリ―はこれまでの教育開発の経済成長への貢献があまりに小さいことを指摘している。就学率や就学期間の上昇がGDP成長との間に関連がないことを示す研究もあるし(P103〜)、それに異論を唱える研究者も数多くいる(P108〜)。どちらの主張にも説得力があるように見えるし、何かしら問題点があるようにも思われる。しかしながら、少なくとも現状の教育開発が経済成長の必要条件であったとしても十分条件でないことは明らかであろう。 教育とインセンティブ(P113〜) 経済成長をするためには、ただ教育を施すだけでなく将来へ投資するインセンティブを高めなければならない。 そのインセンティブが小さい、存在しないことによって起こる(またそのインセンティブを妨げる)3つの問題 問題その1:教育を受けた人々がその技術をどのように使っているか。政府にロビー活動をすることが唯一儲かる方法であるような国では、教育を受けた人の技術が発展に活かされるような形で使われることはない。 問題その2:政府が就学率にだけ気を配り教育の質が低い。汚職、教師の低すぎる(まれに高すぎる)給料、教科書・ノート・鉛筆の不足。生徒は授業に意欲的に取り組まなかったり、親が子供を学校から連れ出して働かせたりする。将来へ投資するインセンティブが高い国では、生徒は自ら進んで勉強し、親は教育の質をモニターし、教師は教育へのプレッシャーを感じている。 問題その3:その国に人的資本以外の関連投資があるかどうか。高い技術が生産性を発揮するのは、ハイテク機械、先進技術の応用、関連投資が同時に備わったときであって、それが起こるのは経済成長を指向するインセンティブが働いている経済の場合である。技術を補完するハイテク機械や先端技術がない場合、それは技術の需要がないのに技術を供給してしまったことになる。そういう場合、技術は無駄に使われてしまったり(たとえば、高等教育を受けたタクシー運転手のように)、あるいは技術習得者がハイテク機械や先端技術の備わった豊かな国に移住してしまったりする。

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2009/10/15

IMFや世界銀行のこれまでの政策にどんな問題点があったのか。 それはインセンティブを無視をした政策だったことが原因だ。 債務救済はなぜうまくいかないのか?コンドームを配っても人口抑制できないのはなぜなのか?教育はどこに消えたのか? 興味深いトピックがいっぱい。読み物だけど少...

IMFや世界銀行のこれまでの政策にどんな問題点があったのか。 それはインセンティブを無視をした政策だったことが原因だ。 債務救済はなぜうまくいかないのか?コンドームを配っても人口抑制できないのはなぜなのか?教育はどこに消えたのか? 興味深いトピックがいっぱい。読み物だけど少しは理論もかじってるほうが理解は進みやすいと思う

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2012/10/07

途上国について経済学から考える上では避けて通れない本。これまでの援助の数々の失敗を、ひとつひとつ分析して解き明かす。ここから学ばないと有効な援助はできない。

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2009/10/07

(2008/10/17読了)3連休から読んでたんですが、やっと終わったー!読み応えある本でした。途上国援助は援助だけじゃだめで、単に援助金を与えたら、独裁者や汚職官僚のフトコロに入るだけで、貧困層には届かない。単に就学率を上げるだけでもダメで、その他いろいろと、先進国の発想で「こ...

(2008/10/17読了)3連休から読んでたんですが、やっと終わったー!読み応えある本でした。途上国援助は援助だけじゃだめで、単に援助金を与えたら、独裁者や汚職官僚のフトコロに入るだけで、貧困層には届かない。単に就学率を上げるだけでもダメで、その他いろいろと、先進国の発想で「こうすればよくなるはず!」というのがいかに通用しないかについて詳細に述べられている。

Posted byブクログ

2009/10/04

開発経済学、経済発展論に関する本の中で間違いなく名著。 人生で初めて読んだ開発経済学の本ながら、十分読めたし面白かった。これまでの経済援助を批判し、「人はインセインティブに反応する」という経済学の基本原理を活かすように政策を変えなければならない、というのが著者の主張です。

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